高配当ETFと米国債ETFで作る「崩れにくい投資戦略」
― 高配当が減る時代に“配当と防御”をどう両立するか ―
はじめに|「高配当株が見つからない」時代に入った日本株市場
現在の日本株式市場は、日経平均・TOPIXともに歴史的な高値圏にあります。
その背景には、
- 海外投資家の日本株回帰
- 円安による企業収益の押し上げ
- 自社株買い・増配など株主還元の強化
- PBR1倍是正を軸とした構造改革
といった、ファンダメンタルズ面での好材料が重なっています。
しかしその一方で、多くの投資家が次のような違和感を覚えているのではないでしょうか。
「以前より“利回り4%以上”の高配当株が明らかに減っている」
「良さそうな銘柄は、すでに株価がかなり上がっている」
これは偶然ではありません。
株価上昇=配当利回り低下という、配当投資にとって避けられない構造が、
今の日本株市場でははっきりと表れているのです。
本記事では、こうした環境下で
- 高配当ETFをどう使い分けるべきか
- 債券ETFをどう組み合わせるべきか
- 「攻めすぎず、降り遅れない」ための守備型ポートフォリオとは何か
を、実践的かつ再現性のある形で整理していきます。
第1章|日本高配当ETFは「同じようで役割が違う」
代表的な日本高配当ETF
ここでは、実際に多くの投資家が利用している以下のETFを比較します。
- iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)
- NEXT FUNDS 東証配当フォーカス100(1698)
- iFreeETF 日本株配当ローテーション戦略(435A)
まず重要なのは、
これらは「すべて高配当ETF」だが、目的は同じではないという点です。
① 1478|少数精鋭・質重視の高配当ETF
1478は、MSCIが算出する高配当指数に連動し、
- 財務の健全性
- 配当の持続性
- 一定の流動性
といった条件を満たした少数精鋭の高配当銘柄で構成されます。
特徴
- 銘柄数は比較的少ない
- 信託報酬が低水準
- 長期保有向き
向いている投資家
- 「日本株の高配当“コア”を作りたい人」
- 配当の安定性を最重視したい人
② 1698|分散重視・配当フォーカス型
1698は、100銘柄で構成される配当フォーカス指数に連動します。
特徴
- 銘柄数が多く分散が効く
- 分配金は年4回
- 特定業種への偏りを抑えやすい
向いている投資家
- 「配当は欲しいが、集中は避けたい」
- 定期的な分配金を重視したい人
③ 配当ローテーションETF|配当を“取りに行く”戦略
一方、配当ローテーションETFは性格が大きく異なります。
このETFは、
- 配当権利確定日が近い銘柄
- 予想配当利回りが相対的に高い銘柄
を毎月入れ替えながら保有する設計です。
つまり、
高配当株を「持ち続ける」のではなく
配当を取り終えたら次へ移る
という、回転型・ルールベース戦略です。
第2章|なぜ今「高配当が減っている」のか
株価上昇局面で起きる3つの変化
現在の日本株市場では、次の現象が同時に起きています。
- 株価上昇 → 配当利回りの低下
- 高配当銘柄への資金集中
- 利回り基準だけでの投資が難化
特に注意すべきは、
「良い高配当株ほど、すでに高い」
という点です。
この環境下で、
「利回り◯%以上」という単純な基準で探すと、
- 業績悪化リスク
- 一時的な高配当(減配予備軍)
を掴む可能性が高まります。
第3章|だからこそ「ETFの役割分担」が重要になる
ここからが本題です。
高配当ETFの正しい使い分け
- 1478 / 1698
→ 高配当“コア”として持ち続ける - 配当ローテーションETF
→ 高配当が減る局面での補助エンジン
個別株で高配当を探す難易度が上がるほど、
ルールで動くETFの価値は相対的に高まります。
第4章|守備の要:米国債ETF(2255 / 2621)
株式だけでは、最高値圏では不安定です。
そこで重要になるのが、次の2本です。
- iシェアーズ 米国債20年超 ETF(2255)
- iシェアーズ 米国債20年超 ETF 為替ヘッジあり(2621)
この2本の違いは「為替」
- 2255:為替の影響を受ける(円安に強い)
- 2621:為替ヘッジあり(円高耐性)
株が下がる局面では、
- 金利低下 → 債券価格上昇
- リスク回避 → 円高
が同時に起きやすいため、
2621は“暴落時の防御力”が高いETFです。
第5章|守備型ポートフォリオの実例
例:日本株最高値圏を想定した構成
- 日本高配当ETF(1478 or 1698):30%
- 配当ローテーションETF:5〜10%
- 米国債ETF 2255:10〜15%
- 米国債ETF 2621:10〜15%
- 残り:世界株・米国株インデックス
ポイント
- 配当で心を安定させる
- 債券で下落時のクッションを作る
- すべてを一度に売らなくて済む設計
おわりに|「攻めない勇気」がリターンを守る
相場が好調な時ほど、
「もっと取れるはずだ」
「まだ上がるのではないか」
という感情が強くなります。
しかし、長期で資産を守り増やす人は、
「上がり切った後に、どう生き残るか」
を常に考えています。
高配当ETFと債券ETFの組み合わせは、
派手さはありませんが、相場が変わっても耐えられる構造を作ります。
債券をETFで購入しておけば株の暴落時に債券を売って高配当になった株を購入する事が出来ますね。
日本株が最高値圏にある今だからこそ、
「守りの設計」を一段階引き上げてみてはいかがでしょうか。





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