株式投資における「想定リターン」と「想定リスク」とは?──資産取り崩し時代のリアルな向き合い方

老後資産の形成や取り崩しを考えるとき、単に“どの株を買えばいいのか”だけでなく、「その投資がどれだけ増える可能性があるのか」そして「どれだけブレるのか(減る可能性も含めて)」をちゃんと理解しておく必要があります。

今回は、株式投資における「想定リターン」と「想定リスク」について徹底解説しながら、具体的な資産取り崩しのシミュレーションも行い、どんな風に運用と生活資金のバランスを取ればいいのか、リアルな視点で掘り下げていきます!



🔍 そもそも「想定リターン」とは何か?

✅ 想定リターン(Expected Return)とは?

ある投資対象に対して、将来的に得られる収益の“平均的な見込み値”のことです。

【例】

  • 年間リターン6%の投資信託に100万円を預けると、1年後に106万円になっている可能性が高いという期待。
  • ただしこれは”平均的な数字”なので、実際には年によってブレがあります。

✅ 想定リターンの求め方

  • 過去の実績リターン(例:S&P500の平均は年6〜8%)
  • 企業の成長率(EPS成長率やROE)
  • アナリスト予想や業界の将来展望

📉 一方の「想定リスク」とは?

✅ 想定リスク(Expected Risk)とは?

主に標準偏差(ボラティリティ)として定義され、リターンがどれくらいブレるかを数値化したものです。

【例】

  • 年リターン6%、リスク(標準偏差)20%の場合
    • 資産は毎年平均して -14%〜+26% の範囲で動く可能性が高い(約68%の確率)

✅ よく使われるリスク指標

指標説明
標準偏差リターンのばらつき。高いほど不安定。
ベータ(β)市場全体との連動度。β=1なら市場平均と同等。
シャープレシオリスク1単位あたりのリターン効率。高いほど良い。

🧮 モンテカルロ・シミュレーションで可視化!

以下の前提でシミュレーションを行ってみました。

  • 初期資産:3,000万円
  • 毎月の生活費取り崩し:15万円
  • 想定リターン:年6%
  • 想定リスク:年20%
  • 運用期間:65歳〜100歳(35年間)

🎲 結果:

  • 中央値では資産が93歳ごろまで持続
  • 10%の悲観シナリオでは、80歳前後で枯渇することも
  • 90%の楽観シナリオでは、100歳時点で1,000万円以上の資産が残るケースもあり

🧠 ここでの教訓:

想定リターンだけで設計すると、下振れリスクに弱いポートフォリオになる!


🧱「リスクを取る」と「下振れに備える」は違う!

この部分、非常に誤解されやすいのですが超重要ポイントです。

  • リスクを高めに取る=振れ幅の大きい投資(例:半導体株、新興国株)で“リターンを狙う”こと
  • 下振れに備える=資産が大きく減ったときに生活が破綻しないよう、現金や安定資産を別に準備すること

高リスク=備えになるのではなく、高リスクには高い備えが必要なんです!


🏠 2階建てポートフォリオモデルとは?

🎯 概要

資産を機能で分けて、生活を守る「1階(安定資産)」+資産を増やす「2階(リターン資産)」という構造で運用する手法です。

1階(安定資産)

資産タイプ
高配当株JT、三井住友FG、伊藤忠など(累進配当やDOEあり)
国債・社債個人向け国債変動10年、優良社債、インフレ連動債
キャッシュ普通預金、定期預金、生活防衛資金(1〜2年分)

2階(リターン資産)

資産タイプ
グロース株東京エレクトロン、アドバンテスト、NVIDIAなど
海外ETFQQQ、SOXX、S&P500、VTIなど
テーマ型投信AI、EV、インド関連、再エネファンドなど

運用のコツ:

  • 生活費は基本「1階」から取り崩し
  • 相場が好調な時だけ「2階」から利益確定 or リバランス
  • 暴落時には2階に触れず、1階でしのぐ

📈 リスクとリターンのバランス感覚を持つ

投資の基本は、「どれくらいのリターンが欲しいか」ではなく、「どれくらいのリスクに耐えられるか?」を基準にすること。

📌 CP流・判断ポイント

  • 生活費を安定確保できる現金・債券は2年分以上確保
  • 株式(リターン資産)部分は10年以上取り崩さず運用できる設計
  • 年1回の見直しで配分バランスを調整

🧠 まとめ:想定リターンとリスクを理解すれば、未来への不安は軽減する!

株式投資においては、「上がるか下がるか」の“ギャンブル感覚”ではなく、 「どこまで下がっても耐えられる設計になっているか」という冷静な視点が必要です。

想定リターンと想定リスクのバランスを理解し、自分のライフスタイルに合った運用方針を持つことが、老後の安心と自由を生み出す鍵です。

「不確実な未来」だからこそ、数字に基づく現実的な設計が、心の安定にもつながります。

三菱UFJアセットマネージメントの取り崩しシュミレーションでみなさんもいろいろな数値を入れて試してみてください。資産形成も大変ですが上手な取り崩しかたは更に大変と言う事を頭のどこかにおいておいてくださいね!

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