「日経平均やS&P500は高すぎて買いにくい」
「円安が156円まで進んだが、これから円高になったら資産が目減りするのでは?」
「日銀の利上げと米国の利下げ、この転換点で何を買えばいい?」
2025年に向けて、投資環境は大きな転換点を迎えています。多くの機関投資家が「株式から債券への資金シフト(ローテーション)」を検討する中、個人投資家にとっても債券はポートフォリオの守護神となり得ます。
しかし、債券投資は株式以上に「商品選び」が複雑です。
「日本の銀行で勧められる投資信託」「ネット証券で見るETF」「生の米国債」……どれが正解なのでしょうか?
この記事では、「日本の金利上昇・米国の利下げ」「短期的円高・長期的円安」という極めて現実的なシナリオに基づき、具体的な銘柄名・商品名を挙げながら、あなたの資産を守り増やすための最適解を提示します。
1. 市場予測の整理:なぜ今、この「銘柄」を選ぶのか
具体的な銘柄を紹介する前に、前提となる「勝ち筋(シナリオ)」を共有します。
- 日本: インフレ定着により日銀は利上げへ。 → 金利上昇局面で価格が下がる「固定利付債」はNG。「変動金利」が必須。
- 米国: 景気減速によりFRBは利下げへ。 → 金利低下局面で価格が大きく上がる「長期債」が狙い目。
- 為替: 日米金利差縮小で一時的に140円台への円高も。しかし長期的には日本の国力低下で円安へ。 → 短期の評価損に耐えられ、長期で報われる「仕組み」が必要。
このシナリオに合致する「具体的な商品」を選定していきます。
2. 【国内債券編】絶対王者「個人向け国債 変動10年」
日本の債券クラスにおいて、現在これ以外の選択肢はほぼありません。
なぜ「eMAXIS Slim 国内債券」ではダメなのか
投資信託の人気ランキング上位にある「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」などは、日本の国債市場全体(固定利付債)に投資します。
これから日本の金利が上がると、これらの中に含まれる債券の価格は下落します。「守りの資産のはずなのに、じわじわ資産が減る」という現象が起きます。したがって、現時点での積立や一括購入は推奨しません。
「個人向け国債 変動10年」が最強である理由
財務省が発行するこの商品は、市場の理論を無視した「個人投資家へのボーナスステージ」のような設計になっています。
- 商品名: 個人向け国債 変動10年
- 証券会社での表記: 変動10
- 最強の理由:
- 金利上昇に連動: 半年ごとに適用利率が見直されます。日銀が利上げをすれば、あなたの受取利子も増えます。
- 元本保証: 金利が急騰して市場の国債価格が暴落しても、国が額面での買い取りを保証しています。
- 最低金利保証: どんなに金利が下がっても0.05%は保証されます(メガバンクの普通預金より高金利)。
【結論】 日本円の現金(無リスク資産)は、銀行預金から「個人向け国債 変動10年」へ資金移動させてください。SBI証券や楽天証券などで毎月購入可能です。
3. 【米国債券編】ETF vs 生債券 徹底比較
ここが本題です。米国の利下げ(債券価格上昇)を取りに行きつつ、為替リスクをコントロールするための「3つの具体的な選択肢」を提示します。
候補①:王道の米国ETF「TLT」
米国市場に上場している、世界で最も有名な債券ETFの一つです。
- ティッカー: TLT (iShares 20+ Year Treasury Bond ETF)
- 特徴: 残存期間20年以上の米国超長期国債に投資します。
- メリット:
- 値動きが軽い(デュレーションが長い): 米国の金利が1%下がれば、理論上、価格は約17%上昇します。キャピタルゲイン狙いに最適です。
- 流動性: 株と同じようにリアルタイムで売買できます。
- デメリット: ドル建て決済が必要。分配金(配当)が出るたびに米国で10%、日本で約20%課税されるため、再投資効率がやや落ちます。
- 類似銘柄: EDV (Vanguard Extended Duration Treasury ETF)。TLTよりさらに期間が長く、値動きが激しい「じゃじゃ馬」です。リスク許容度が高い人向け。
候補②:東証で買える「2621」
わざわざドルに両替するのが面倒、という方は東証上場のETFが便利です。
- 銘柄コード: 2621 (iシェアーズ 米国債20年超 ETF・為替ヘッジなし)
- 特徴: 中身は「TLT」とほぼ同じですが、日本円で売買できます。
- 為替ヘッジ「なし」を選ぶ理由:
- 現在は日米金利差による「ヘッジコスト」が年率5%以上かかります。為替ヘッジあり(2622)を選ぶと、せっかくの米金利(約4.5%)がコストで消滅し、リターンがマイナスになるリスクがあります。
- あなたの「長期的には円安」という見通しがあれば、ヘッジなしで持ち続けるのが正解です。
候補③:究極のガチホ「米国財務省証券 ストリップス債(ゼロクーポン)」
今回のシナリオにおいて、最も推奨したいのがこの「生の米国債(既発債)」です。
- 商品種別: 米国国債(トレジャリー) ストリップス債
- 特徴: 利払い(クーポン)がなく、そのぶん額面より大幅に安く買える債券です。満期になると額面金額(100ドル)で償還されます。
- 具体例:
- 残存期間: 約20年(満期2045年頃)
- 単価: 40ドル前後(仮定)
- 仕組み: 今40ドルで買うと、20年後に100ドルになって返ってくる。この差額が利益。
- なぜこれが最強なのか?(メリット):
- 為替の影響を「満期まで無視」できる: ETFは毎日価格が変わりますが、生債券は満期まで持てば「ドルベースの利益」は確定します。
- 複利効果と税の繰り延べ: 利払いが毎年あると、その都度税金を取られます。ゼロクーポン債は満期まで課税されないため、複利効果が最大化されます。
- 「将来の円安」へのタイムカプセル: 短期的に円高(130円など)になっても売る必要がありません。20年後、再び円安になったタイミングで円に戻せば、為替差益も狙えます。
4. 銘柄別シミュレーション:156円から円高になっても勝てるか?
「156円で買って、もし140円になったら損じゃないか?」
この不安を数字で検証しましょう。
前提: 利回り4.5%の米国債を購入。
シナリオ: 2年後に米金利が1%低下し、為替が140円(約10%の円高)になった場合。
| 投資対象 | インカム(金利収入) | キャピタル(価格変動) | 為替差損(円高) | トータルリターン |
| 貯金 (円) | ほぼ0% | 0% | 0% | ほぼ0% |
| TLT / 2621 | +約7% (2年分) | +約17% (金利低下益) | ▲10% (円高) | +約14% (プラス!) |
| 生債券 (10年物) | +9% (2年分) | +約7% (金利低下益) | ▲10% (円高) | +約6% (プラス!) |
解説:
ご覧の通り、債券投資は「金利収入」と「金利低下による値上がり益」という2つのエンジンがあるため、多少の円高(為替差損)であれば吸収してプラスに持っていける可能性が高いのです。
もし為替が156円のまま維持されれば、リターンはさらに跳ね上がります。
5. 年代・目的別「最強ポートフォリオ」具体案
年齢やリスク許容度によって、選ぶべき「具体的な銘柄」の配分は変わります。
【20代〜40代】資産形成期の「攻め」構成
目的: 株価暴落時のクッション役 + 米利下げ時の大きな値上がり益狙い
- 株式(オルカン/S&P500): 60〜70%
- 債券: 20〜30%
- おすすめ銘柄: TLT または 東証ETF 2621
- 理由:残存期間が長いETFは、金利低下時の爆発力があります。若いうちは流動性が高く、リバランスしやすいETFが適しています。
- 現金/個人向け国債: 10%
【50代〜60代】資産保全期の「守り」構成
目的: 老後資金の確定 + インフレヘッジ
- 株式: 40%
- 債券: 50%
- おすすめ銘柄①(守り): 個人向け国債 変動10年 (日本円資産の半分)
- おすすめ銘柄②(利回り): 生の米国債(既発債・残存5〜15年)
- 理由:生の債券にすることで「〇年後に〇ドルが返ってくる」という出口を確定させます。老後のキャッシュフロー計画が立てやすくなります。
- 現金: 10%
6. 購入のタイミングと具体的な証券会社の画面操作
「よし、買おう」と思った方へ、最後の注意点です。
タイミング:156円での一括投資は避ける
いくら長期的には円安予測でも、直近の高値圏で全額投入するのは精神衛生上よくありません。
- 時間分散(ドルコスト平均法):
資金が100万円あるなら、今すぐ30万円、150円台前半で30万円、145円前後で40万円、のように分けて購入します。 - ETF(2621/TLT)の場合:
指値注文を活用し、少し下の価格で待つのも有効です。
証券会社での探し方(SBI証券/楽天証券の場合)
- 個人向け国債:
トップページ → 「債券」 → 「個人向け国債」 → 「変動10年」を選択。毎月募集期間が決まっています。 - 米国債ETF(TLT):
「外国株式」検索窓に「TLT」と入力。 - 東証ETF(2621):
「国内株式」検索窓に「2621」と入力。 - 生の米国債(既発債):
トップページ → 「債券」 → 「外貨建債券」 → 「既発債」を選択。
通貨を「米ドル」で絞り込み、利回りと残存期間(償還日)をチェックして購入。
7. まとめ:不確実な未来への「確定」したリターン
今回の戦略をまとめます。
- 日本の金利上昇リスクには、「個人向け国債 変動10年」で完全対応する。
- 米国の利下げチャンスには、「TLT/2621」または「生の米国債(ゼロクーポン)」で乗る。
- 円高リスクは、「高利回り」と「時間分散」で相殺する。
株価が最高値圏にあり、いつ調整が入るかわからない今、ポートフォリオに「債券」というブレーキ役を組み込むことは、投資家としてレベルアップするための必須条件です。
特に「生の米国債」は、買った瞬間に満期のリターンが約束される、株式にはない安心感があります。「夜、安心して眠れるポートフォリオ」を目指して、まずは少額から債券投資を始めてみてはいかがでしょうか。




コメント