はじめに
株式市場が不安定になると、多くの投資家が「債券」に目を向けます。
しかし実際には、
- 債券ETFと生債券は何が違うのか?
- 短期・中期・長期はどう使い分けるのか?
- 金利が下がると本当に儲かるのか?
- 暴落時の買い資金として機能するのか?
このあたりを体系的に理解している投資家は意外と少ないのが現実です。
本記事では、一般投資家の方向けに、
✔ 債券ETFの基礎
✔ 生債券との違い
✔ デュレーションの考え方
✔ 金利低下時の具体的リターン試算
✔ 為替ヘッジあり・なしの差
✔ 暴落時の買い資金としての活用法
まで、実践的に解説します。
第1章|そもそも債券ETFとは?
債券ETFとは、国債や社債をまとめてパッケージ化し、株式のように市場で売買できる金融商品です。
代表例として挙げられるのが、
- iシェアーズ 米国債20年超 ETF
- iシェアーズ 米国債20年超 ETF(為替ヘッジあり)
これらは米国の超長期国債に投資するETFです。
特徴は以下の通りです。
✔ 株と同様にリアルタイム売買可能
✔ 少額で分散投資可能
✔ 満期がない
ここが「生債券」との大きな違いになります。
第2章|生債券との決定的な違い
■ 生債券(個別債券)
- 満期がある
- 満期まで持てば元本が戻る(国債ならほぼ確実)
- 利回りは購入時に確定
- 途中価格は気にしなくてよい
生債券は「満期保有型の資産」です。
■ 債券ETF
- 満期がない
- 常に銘柄を入れ替える
- 毎日価格が変動
- 元本保証はない
つまり債券ETFは「価格変動型の商品」です。
ここを理解せずに「債券=安全」と考えるのは危険です。
第3章|なぜ債券価格は動くのか?
鍵は「金利」です。
債券価格は金利と逆に動きます。
- 金利上昇 → 債券価格下落
- 金利低下 → 債券価格上昇
この価格変動の大きさを示す指標が「デュレーション」です。
第4章|デュレーションとは何か?
デュレーションとは、
金利が1%変動したときに、価格が何%動くか
を示す指標です。
例えばデュレーション15年の債券ETFなら、
金利が1%下がると
約15%価格が上昇します。
超長期債ETF(2255・2621)のデュレーションは約15.4年程度。
つまり金利変動の影響を非常に強く受けます。
第5章|短期・中期・長期の違い
短期債(1〜3年)
特徴:
✔ 値動きが小さい
✔ 現金に近い
✔ 暴落待機資金向き
中期債(7〜10年)
特徴:
✔ バランス型
✔ 株との逆相関期待
長期債(20年以上)
特徴:
✔ 金利低下で爆発的上昇
✔ 金利上昇で大きく下落
✔ ボラティリティ高い
長期債は「守り」ではなく「攻めの債券」です。
第6章|金利低下局面での期待リターン試算
ここからが本題です。
前提
デュレーション:約15.4年
利回り:約4.9%
シナリオ① 金利▲0.5%
価格上昇:7.7%
インカム:4.9%
合計:約12.6%
シナリオ② 金利▲1.0%
価格上昇:15.4%
インカム:4.9%
合計:約20.3%
シナリオ③ 金利▲1.5%
価格上昇:23.1%
インカム:4.9%
合計:約28%
シナリオ④ 金利▲2.0%
価格上昇:30.8%
インカム:4.9%
合計:約35%超
これが長期債ETFの「爆発力」です。
第7章|為替ヘッジあり・なしの違い
米国債ETFには、
✔ ヘッジなし(2255)
✔ ヘッジあり(2621)
があります。
円高シナリオ(160→140)
円高幅:約▲12.5%
ヘッジなし
+28% − 12.5%
= 約+15%
ヘッジあり
+28% − ヘッジコスト(仮2%)
= 約+26%
暴落局面では円高が同時に起こることが多いため、
「買い資金としての確実性」はヘッジありが高くなります。
第8章|暴落時の買い資金として使えるのか?
例えば債券3000万円保有している場合:
ヘッジなし:約450万円増
ヘッジあり:約780万円増
買い増しの火力がまったく違います。
第9章|注意点
✔ インフレ再燃時は逆に大きく下落
✔ 長期債は株以上に荒れることがある
✔ 為替変動がリターンを削る
「債券=安全」という思い込みは危険です。
第10章|実践ポートフォリオ戦略
例:
株式60%
債券30%
現金10%
債券内訳:
短期債60%
長期債40%
守りと攻めを分けるのが合理的です。
結論
債券ETFは、
✔ 現金代替
✔ リスクヘッジ
✔ 暴落時の買い資金
として非常に有効です。
しかし、
満期がない価格変動商品である
という本質を理解することが何より重要です。
生債券は「守り」
債券ETFは「戦略資産」
この違いを理解すれば、債券ETFはポートフォリオの強力な武器になります。





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