1. はじめに:なぜ今、債券投資なのか?
2025年8月、米国では利下げ期待が高まり、日本では日銀の利上げ検討が報じられるなど、金利環境は大きな転換点を迎えています。
このような局面では、「株式中心の資産配分」だけではリスクが高まります。一方で、債券はこのタイミングでこそ「価格上昇+安定収入」が狙える魅力的な資産です。
2. 米国の利下げ観測と市場の転換期
7月の米雇用統計では、失業率の上昇や平均時給の伸び鈍化が確認され、FRBは年内利下げへと一歩踏み出す可能性が強まりました。
- 2025年9月FOMCでは25bpの利下げがメインシナリオ
- 債券価格は利下げ時に上昇
- 特に**長期債ETF(TLTなど)**は強く反応
3. 日本の金利動向と為替のゆくえ
一方、日本は物価上昇と春闘での賃上げを背景に、利上げへ舵を切る可能性があります。
- 日銀の利上げ=円高要因
- 米国の利下げ=ドル安要因
結果、「一時的な円高」が発生する可能性が高いのです。
📌このタイミングで「ドル建て資産を仕込む」戦略は理にかなっています。
4. 債券投資の基本とメリット
債券の魅力は以下の2点に集約されます。
- 利回り収入(インカムゲイン)
- 金利低下時の価格上昇(キャピタルゲイン)
特に、今のような「利下げ予想」がある局面では、長期債の価格が上がりやすいため、ETFでの分散投資が有効です。
5. 為替リスクとの付き合い方
外国債券の投資では、「為替」がパフォーマンスを大きく左右します。
- ✅ 為替ヘッジを使えばリスク低減
- ✅ 円建てETFを組み合わせることで「実質ヘッジ」も可能
- ✅ 為替が有利な時にドル建てETFを買い増し
戦略的に組み合わせることが安定した債券収益につながります。
6. 債券ETFの種類と選び方
タイプ | 商品例 | 特徴 |
長期米国債 | TLT | 利下げに敏感、値動き大きめ |
中期米国債 | VGIT | 安定性あり、利回り控えめ |
投資適格社債 | LQD | 格付け高、利回り3~4% |
ジャンク債 | JNK | 利回り6%前後、リスク高め |
円建て債券ETF | 1345など | 為替リスクなし、利回り1%以下 |
ヘッジ付外債 | 野村 外国債券インデックス等 | 米欧債券+為替ヘッジ付き |
劣後債戦略ファンド | ピムコ等 | 世界中の高利回り債券を分散投資 |
7. 為替リスク軽減型 債券ポートフォリオ(モデル)
資産カテゴリ | 商品例 | 割合 | 特徴 |
米長期国債 | TLT | 20% | 利下げ恩恵大、キャピタル狙い |
中期国債 | VGIT | 10% | 安定収益、価格変動抑制 |
社債(投資適格) | LQD | 10% | 企業信用力高い |
高利回り社債 | JNK | 10% | 高インカムだがリスクも |
円建て国債ETF | 1345 | 20% | 為替リスクゼロ |
円ヘッジ外債 | 野村投信など | 15% | 米欧債券+為替安定 |
劣後債ファンド | ピムコなど | 10% | 世界高利回り債を網羅 |
現金 or 円MMF | – | 5% | 機動力確保のための待機資金 |
8. 商品詳細と特徴
▶ TLT(iShares 20年超米国債)
- 米国長期国債に投資
- 利下げ局面で価格上昇が期待
- 信託報酬:約0.15%
▶ LQD(iShares 投資適格社債)
- アップル、マイクロソフトなどの債券を含む
- 安定したインカムゲイン
▶ JNK(ジャンク債ETF)
- 高利回りだがリスク高め
- 小比率でスパイス的に使うのが吉
▶ 野村外国債券インデックス(ヘッジあり)
- 為替変動の影響を抑えた外債投信
- iDeCo/NISAでも取扱あり
▶ 上場インデックスファンド日本国債(1345)
- 東証上場の円建て債券ETF
- 株式市場との逆相関性あり
9. 想定利回りとリスクバランス
商品分類 | 想定利回り | リスク水準 |
長期米国債 | 4.0〜4.5% | 中〜高 |
社債・劣後債 | 5.0〜6.5% | 高 |
円建債券 | 0.7〜1.2% | 低 |
為替ヘッジ外債 | 3.0〜4.0% | 低〜中 |
💡平均利回り:3.6〜3.9%程度(円建てベース)
10. 購入方法(SBI証券・楽天証券など)
- ETFは「米国株」カテゴリーから検索(例:TLT、LQD)
- 投資信託は「野村」「ピムコ」で検索
- 円建てETF(1345)は国内株式から購入可能
- 為替コストにも注意(外貨建てはドル転も検討)
📌定期積立、買付タイミングの分散もおすすめ!
11. よくある質問(FAQ)
Q:ETFと投資信託、どちらがよいですか?
- ETF:機動的に売買したい方向け
- 投資信託:iDeCo・つみたてNISA対応あり
Q:為替が怖いですが大丈夫ですか?
- 円建てETFやヘッジ型を組み合わせればリスク軽減可能
Q:利上げに転じたらどうする?
- 中期債や短期債へのリバランスで対応
12. まとめ:金利転換期こそ「債券投資」が主役
2025年は「株ではない選択」が資産防衛において重要な年となります。
特に、利下げが視野に入る米国と利上げに傾く日本の金利差から、為替と債券価格の両面でチャンスが生まれています。
以下を意識して、賢いポートフォリオを構築しましょう👇
✅ 為替リスクをヘッジする構成
✅ 社債や劣後債で利回りを底上げ
✅ 円建て資産でバランスをとる
✅ 定期的なリバランスでリスク管理
✍ 最後に:バフェット流の視点で
❝金利がピークを打つ時、それは債券投資の春が来る合図だ❞
今こそ冷静に、そして戦略的に。
この瞬間は次の10年に向けた「黄金の債券スタートライン」なのです。


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