■はじめに:最高値更新の裏で、静かに近づく“暴落の足音”
2025年秋、日米ともに株価は歴史的な高値を更新しています。
S&P500、ナスダック、そして日経平均までもが連日高値圏で推移。
SNSでも「株価バブル再来か?」「このまま上がり続けるのでは?」という声が溢れています。
しかし、相場の世界では昔からこう言われます。
「強気相場の中にこそ、次の下落の種がある」
つまり、“今”こそ冷静に備える時期。
とすさんのように、**高配当株を中心に堅実に資産形成を進めている方にとって、暴落は決して恐れるものではなく「待っていたチャンス」**でもあります。
なぜなら、暴落時には優良企業の株が一時的に割安になるからです。
では、どのように備え、どのように買い増せば良いのでしょうか?
本記事では、全資産における買い増し資金比率・投入の段階・銘柄選定の基準・実践シミュレーションまでを体系的に解説します。
■第1章:暴落は必ず来る——市場サイクルの原理を理解する
どんなに上昇相場が続いても、永遠に続くことはありません。
これは自然の摂理と同じで、「相場にも四季がある」と言われます。
- 春(上昇初期):期待感と資金流入が始まる
 - 夏(好景気期):利益が拡大し投資家心理が強気に
 - 秋(高値圏):過熱感が出て投機的資金が増加
 - 冬(下落・暴落期):過剰評価が修正され割安化
 
現在の市場は明らかに「秋」。
つまり、暴落(冬)の前段階にあると考えるのが自然です。
ウォーレン・バフェットはこう言いました。
「潮が引いて初めて、誰が裸で泳いでいたかが分かる。」
相場の波が去った時、真に価値ある企業だけが残ります。
その瞬間こそ、高配当株投資家が“仕込み”を始めるチャンスなのです。
■第2章:暴落に備える——まず「買い増し資金」を確保せよ
●なぜ待機資金が必要か
暴落時に「買いたくても現金がない」というのは、投資家にとって最も悔しい瞬間です。
逆に、暴落時に余裕資金を持っている人は、割安に優良株を拾えます。
山崎元氏は著書でこう指摘しています。
「現金はリスクを取る“余裕”を作る。余裕がなければ冷静な判断はできない。」
つまり、待機資金=暴落時の冷静さを保つ武器なのです。
●最適な買い増し資金比率の考え方
総資産が3,000万円の場合、
暴落に備えて現金比率(待機資金)を 10〜20%程度(300〜600万円) 確保しておくのが理想です。
| 待機資金比率 | 金額(目安) | 投資姿勢の特徴 | 
| 10% | 約300万円 | 成長・収益優先型。積極的な攻めも可能 | 
| 15% | 約450万円 | バランス型。下落時にも安心感あり | 
| 20% | 約600万円 | 防御・再投資重視。暴落チャンスを最大限活用 | 
●待機資金の置き場所
ただ現金で寝かせるのはもったいない。
そこで「お金の駐車場」として次のような運用先が考えられます。
- 短期国債・MMF(マネー・マネジメント・ファンド)
→ 安全性が高く、利息も得られる。 - 定期預金 or ネット銀行の高金利普通預金
→ 住信SBIネット銀行などでは、連携預金で0.1〜0.2%の利息が得られることも。 - ドルMMF
→ 為替リスクはあるが、米ドル資産分散として有効。 
要は「いつでも使える安全資金」であることが大切です。
■第3章:暴落時の“買い増し方”——段階的に攻める
●一気買いはNG!「分割投資」が鉄則
相場が暴落しても、底値を当てることは誰にもできません。
孫子の兵法にこうあります。
「勝つべからざるは守るなり。勝つべきは攻むなり。」
つまり、「守るべき時(高値圏)に現金を蓄え、攻むべき時(暴落時)に冷静に出る」ことが勝利の基本。
そのためには、段階的に買い増す戦略=分割投資が有効です。
●5段階投入ルール(CP推奨)
| 下落率(目安) | 投入比率 | コメント | 
| -10% | 20% | 「調整」と見て小口で参戦 | 
| -20% | 20% | 割安感が出てくる水準。追加買い | 
| -30% | 20% | 本格的な恐怖局面。好機の始まり | 
| -40% | 20% | 強者だけが買えるゾーン。覚悟の買い | 
| -50% | 20% | 歴史的買い場。静かに全力投入 | 
これを待機資金に当てはめると以下の通り。
総資産3,000万円 × 待機資金15%(450万円) → 各段階で90万円ずつ投入
 → 5銘柄なら1銘柄あたり約18万円ずつの買い増し。
リスクを細かく分散しながら「平均取得単価を下げる」ことが目的です。
●シミュレーション例(とすさんモデル)
| 待機資金比率 | 下落率 | 投入比率 | 投入金額(総額) | 1銘柄あたり投入金額 | 
| 10% | 10〜50% | 各20% | 各60万円 | 各12万円 | 
| 15% | 10〜50% | 各20% | 各90万円 | 各18万円 | 
| 20% | 10〜50% | 各20% | 各120万円 | 各24万円 | 
暴落の深さに応じて投入を増やすことで、「底なし沼」に見えても計画的に攻めることができます。
■第4章:銘柄選定のコツ——“配当維持力”を最重視せよ
●高配当=必ずしも安全ではない
暴落時に高配当株を買う際、多くの初心者が「利回りが高いから得」と考えますが、
その裏に「減配リスク」や「業績悪化の兆候」が潜んでいることがあります。
配当が続く企業を選ぶことが肝心です。
●選定ポイント(日本株の場合)
- 10年以上連続増配または維持している企業
例:花王、積水ハウス、KDDI、INPEXなど。 - DOE(株主資本配当率)や累進配当方針を明示している企業
→ 企業が配当を“経営方針”として守る姿勢を持つ。 - ROEが高く、営業利益率が安定している企業
→ 業績の波に強く、減配しにくい。 - 配当性向が100%を超えていないこと
→ 無理な配当支払いは危険。 - PBR1倍以下・自己資本比率40%以上が望ましい
 
●セクター別の着眼点
| セクター | 特徴 | おすすめ例 | 
| 銀行・保険 | 金利上昇局面に強い | 三菱UFJ、第一生命HD | 
| 商社 | 資源・為替に左右されるが配当厚い | 三菱商事、双日 | 
| エネルギー | 原油価格・政策依存 | INPEX | 
| 不動産 | 金利上昇に弱いが安定配当 | 三井不動産、ヒューリック | 
| 通信・インフラ | 景気に左右されにくい | KDDI、NTT、ENEOS | 
高配当株は、暴落時でも「配当収入が得られる」ことで、心理的にも安定します。
バフェットの言葉を借りれば、
「マーケットが閉まっても10年保有したいと思える株を買いなさい。」
■第5章:買い増し後の管理とリバランス
買った後も放置ではいけません。
- 年に1〜2回は業績・配当・自己資本比率・配当性向を確認。
 - 配当性向が上昇しすぎていれば、売却や乗り換えも検討。
 - 暴落後の回復期には「高配当株の比率が高くなりすぎた」場合、一部をグロース株・ETFにリバランス。
 
特に**配当再投資(DRIP)**を活用すれば、複利効果が生まれます。
“雪だるま式”に配当が増えることで、再び買い増し余力が生まれます。
■第6章:感情を制御する——暴落時こそ「平常心」が武器
暴落局面ではSNS・ニュースが恐怖を煽ります。
「もう終わりだ」「株なんてやめておけばよかった」という声があふれます。
しかし、恐怖のど真ん中こそ最高の買い場であることを、歴史が何度も証明しています。
孫子の兵法に曰く:
「戦いは、勝てる時に勝ちを取るのではない。勝てる備えをしておく者が勝つのだ。」
つまり、暴落が来る“その時”に備え、
資金・心構え・ルールを整えておくことが、最大の防御であり攻めです。
■第7章:モデルの「戦略テンプレート」まとめ
| 項目 | 内容 | 
| 総資産 | 3,000万円 | 
| 待機資金 | 10〜20%(300〜600万円) | 
| 買い増し対象 | 日本・米国の高配当株5銘柄 | 
| 買い増し段階 | 5段階(‐10%/‐20%/‐30%/‐40%/‐50%) | 
| 各段階投入率 | 各20% | 
| 1銘柄投入上限 | 約12〜24万円 | 
| 選定基準 | 増配・DOE・ROE・配当性向・PBR・セクター分散 | 
| 運用方針 | 長期保有+配当再投資+年次リバランス | 
このテンプレートをExcel化すれば、自分の資産規模に応じて「いつ・いくら・何を買うか」が明確になります。
感情ではなくルールで動く投資が実現します。
■第8章:暴落を“恐れず”迎えるために
暴落は投資家にとって試練であり、同時に最大のチャンスです。
その瞬間に“買える人”と“動けない人”の差は、平時の準備で決まります。
ウォーレン・バフェットの有名な言葉をもう一度。
「他人が貪欲なときに恐れ、他人が恐れているときに貪欲であれ。」
この言葉を実践するには、
暴落を“チャンスに変える計画”が必要です。
それこそが今回ご紹介した「待機資金+段階的買い増し+配当重視ポートフォリオ」の三位一体戦略です。
■第9章:行動のすすめ——あなたの暴落準備はできていますか?
最後に、読者のみなさんへ。
もし今、株価が高く感じて投資を控えているなら、
「買わない」ではなく、「買う準備を進める時期」です。
- 総資産のうち10〜20%を暴落用に分ける
 - 買いたい高配当株を5銘柄リストアップ
 - 買い増しルールをエクセルやメモに明文化
 - そして暴落が来たら、ルール通り淡々と実行する
 
このサイクルを1回経験するだけで、
あなたの投資は“感情”から“戦略”へと進化します。
■おわりに:暴落こそ、真の投資家が試される瞬間
暴落は避けられません。
しかし、備えていれば恐くありません。
配当を受け取りながら、
少しずつ資産を増やし、
次の上昇相場で笑顔になれる——
それが「高配当株投資の真の醍醐味」です。
冷静に、誠実に、計画的に投資を続ける人こそ、
暴落を「敵」ではなく「味方」にできる人です。
📘まとめ一言:
「暴落は終わりではなく、始まりの合図。」
備えある者だけが、その合図をチャンスに変えられるのです。
あるインフルエンサーは売り買いのポイントはその会社の時価総額がいくらになったかで売買を行っているようです。売買する会社の時価総額の目標値を定めてみるのも一考です。😊
 





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