― Claude Coworkが突きつける“アプリ不要時代”の衝撃と、日本IT銘柄の生存戦略 ―
1. 市場が震えた理由
2026年、ソフトウェア株は大きく売られた。
その象徴が、アンソロピックの高度AIエージェント
Claude Cowork
の登場である。
単なるチャットボットではない。
- PC操作を横断
- アプリをまたいで作業実行
- データ収集・整理・レポート作成を自動化
- ワークフローを自律的に完遂
つまり、
「アプリを開かずに仕事が終わる」
可能性が見えた。
市場は瞬時にこう連想した。
- 会計ソフトは不要になるのでは?
- グループウェアは不要では?
- ワークフローSaaSは代替されるのでは?
結果、世界的にアプリケーションソフト株が急落した。
2. しかし“消える”のはどの層か?
結論は明確です。
AIが破壊するのは
「薄いソフトウェア」
です。
薄いソフトウェアとは?
- UI中心
- 機能の寄せ集め
- CRUD型(入力・更新・検索・削除)
- 価格競争に巻き込まれやすい
- 業務の“中心”ではない
Claude Coworkのようなエージェントが最も得意なのは、
「人間がUIを触る作業」
の代替です。
つまり、入力や操作の自動化。
一方で、消えにくいのは
- 基幹データの台帳
- 規制・監査を伴うシステム
- 社会インフラ
- セキュリティ
- 運用責任を伴うIT
ここです。
3. 生き残る企業の条件(AI時代の防御力)
① System of Recordを握る
会計、金融、ERP、公共基幹。
AIが何をしても、最後に参照するのは
「正しいデータの台帳」
ここを押さえる企業は強い。
② スイッチングコストが高い
金融・公共・社会インフラ。
止めた瞬間に社会が止まる。
この領域はAIでも簡単に置き換えられない。
③ 規制と責任を抱えている
AIは「提案」はできるが、
- 法的責任
- 監査対応
- 障害復旧責任
- BCP
は負えない。
ここに価値が残る。
④ 実行レイヤーを持つ
決済、インフラ制御、セキュリティ。
AIが指示を出しても、
現実世界を動かせるのは基盤企業
です。
4. 日本企業の生存確率(推論)
ここからは、バリュエーションも含めた分析です。
【コア候補】
■ 富士通
PER:約15〜16倍
PBR:約3倍台
AI時代において、
- レガシー更改
- クラウド移行
- 運用責任
- セキュリティ統合
の需要は増える。
このPER水準は、同業比較で割安寄り。
市場が「AIに壊される」と過度に織り込んだ可能性がある。
■ 野村総合研究所(NRI)
PER:約22倍
PBR:約4〜5倍
金融基幹+コンサル。
金融システムは最も置き換えが怖い領域。
AIは補助にはなるが、代替は難しい。
価格転嫁力もある。
安くはないが「壊れにくい」。
■ トレンドマイクロ
PER:約23〜24倍
PBR:約5〜6倍
AI普及=サイバー攻撃高度化。
守りは削れない。
セキュリティはAI時代の“必需品”。
■ 日本オラクル
PER:約20倍
PBR:約7倍
データベースは消えない。
むしろAIが普及するほど、
データ基盤の重要性は増す。
PBRは高いが、PER20倍は妥当水準。
■ オービック
PER:約24倍
PBR:約3倍台
ERPは業務の心臓部。
AIは入力補助。
台帳は残る。
【中立〜やや割高】
■ NEC
PER:約30倍
PBR:約2〜3倍
公共・安全保障は強い。
ただしPERはやや高い。
押し目戦略向き。
■ 日立製作所
PER:約30倍
PBR:約3倍台
Lumada×OTは強い。
しかし高評価ゾーン。
成長鈍化で調整リスク。
【ハイリスク領域】
■ freee
高PER(100倍超の局面あり)
高PBR
会計SaaSはAIと相性が良いが、
競争も激化する。
バリュエーションが重い。
■ マネーフォワード
赤字〜高PER局面あり。
プロダクトは強いが、
利益とFCFが焦点。
■ サイボウズ
PER低めの日もあるがPBR高い。
kintoneはAIと融合可能。
ただし成長鈍化で評価が急変。
■ チームスピリット
小型SaaSはAIで差別化が難しい。
最も圧縮リスク。
5. 投資戦略(実務)
Claude Coworkが本当に市場を変えるなら、
「一括投資」は危険。
分割戦略
① 25日移動平均乖離 -10%で1回目
② -15%で2回目
③ -20%で3回目
決算でガイダンス悪化なら停止。
コア・サテライト案
守備型コア
- 富士通
- NRI
- トレンド
- 日本オラクル
- オービック
攻め(小さく)
- NEC
- 日立
ハイリスクSaaSは比率小。
6. 結論
Claude Coworkは
「ソフトウェアを消す」
のではない。
薄いUIを消す。
生き残るのは
- 基幹
- 規制
- 運用
- セキュリティ
- データ基盤
を握る企業。
AIは脅威ではなく、
“格差拡大装置”です。
強い企業はさらに強くなる。
弱い企業は圧縮される。
投資家は
「技術」ではなく
どの企業が“責任”と“データ”を握っているか
を見るべき局面だと考えています。





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