2024年も終わりが近づき、新NISA(少額投資非課税制度)の活用を検討する方も増えてきていると思います。2025年は新NISA制度が本格的に動き出すタイミングであり、どのように投資を進めるべきか、多くの方が迷っているのではないでしょうか。本記事では、2024年の実績をもとに「分散投資」と「一括投資」のそれぞれのメリット・デメリットを解説し、2025年の年初に適した戦略を考えていきます。
新NISAの基本をおさらい
2024年から始まった新NISAは、これまでのNISA制度よりも柔軟性が高まり、非課税枠も拡大されています。2025年以降も活用を最大化するために以下のポイントを押さえておきましょう。
- 年間投資枠:一般投資枠と成長投資枠の合計で年間360万円まで非課税で投資可能。最短5年間で1800万迄投資可能。
- 非課税期間:これまでのNISAは最大20年(つみたてNISA)でしたが、新NISAでは非課税期間が無期限化。
- 使いやすさ:つみたてNISA的な少額積立投資と従来型のNISA的な一括投資が1つの制度で両立。
これらの特徴から、新NISAは初心者から上級者まで幅広く活用できる制度となっています。
分散投資のメリットとデメリット
分散投資とは?
分散投資は、一定の金額を定期的に少しずつ投資する手法です。「ドルコスト平均法」という考え方がベースとなっており、株価が高い時は少ない口数、株価が低い時は多くの口数を購入できるため、平均取得単価を抑えられるのが特徴です。
メリット
- リスク分散
市場が高い時期に一度に大きな金額を投資するリスクを避けられます。 - 精神的負担の軽減
大きな金額を一度に投じるプレッシャーを軽減できます。 - 長期投資に適している
価格変動を長期間に分散させることで、市場の上下動に左右されにくくなります。
デメリット
- 大きなリターンの機会損失
上昇相場が続く場合、一括投資よりも利益が小さくなる可能性があります。 - 管理が煩雑
毎月や定期的に購入する手間がかかるため、計画的な管理が必要です。設定は簡単ですのでこれは問題ないかと思います。
一括投資のメリットとデメリット
一括投資とは?
一括投資は、まとまった資金を一度に市場に投入する手法です。特に大きな下落局面や底値が予想されるタイミングで有効とされています。
メリット
- 上昇局面での最大利益
投資後に市場が上昇を続ければ、大きな利益を得られます。 - シンプルな運用
一度に購入するため、その後の運用管理が容易です。 - タイミングによる大きな効果
底値での一括購入ができれば、他の戦略を圧倒するリターンが得られます。
デメリット
- 価格変動リスク
一度に大きな金額を投じるため、短期的な値下がりの影響をもろに受ける可能性があります。 - 資金が固定化される
他の投資やライフイベントに必要な資金が拘束される可能性があります。
2025年の投資環境と戦略の選択肢
2025年の投資環境を考慮する際に注目すべきポイントとして、以下が挙げられます。
市場の見通し
- 金利の動向:2024年後半から続く各国の金融政策やインフレ動向が、株式市場や債券市場に影響を与えるでしょう。
- 日本経済の成長:新しい投資制度の導入で投資家心理が改善し、国内市場が活性化する可能性もあります。
ドナルド・トランプ米大統領の影響:
- 米国経済政策の変化:減税や規制緩和を推進
- 貿易政策と為替市場への影響:トランプ氏の保護主義的な貿易政策、特に関税の引き上げは、世界貿易の減速を招く可能性があります。
- 金融市場のボラティリティ:予測困難な政策変更や外交上の緊張は、投資家心理に影響を及ぼし、市場の変動を引き起こす要因となり得ます。
- 暗号資産市場への影響:米国を「暗号資産の中心地」にする意向を表明しています。
- 日本経済への影響:米国の対中政策が強化される可能性があり、日本企業のサプライチェーンや輸出に影響を及ぼす懸念があります。他にも様々な影響があります。
市場が上昇トレンドにある場合は一括投資の有効性が高まり、下落リスクが懸念される場合は分散投資が安心感をもたらします。
あなたに合った投資スタイルの選び方
分散投資がおすすめの人
- 投資初心者で、リスク管理を重視したい。
- 短期的な値動きにストレスを感じたくない。
- 2025年の相場の行方に確信が持てない。
一括投資がおすすめの人
- 資金に余裕があり、大きな値上がりを狙いたい。
- 市場のタイミングを見極める自信がある。
- シンプルな運用を好む。
実践的なアプローチ:ハイブリッド戦略
一括投資と分散投資を組み合わせる「ハイブリッド戦略」も有効です。具体的には以下のような方法があります。
- 年初に半額を一括投資、残りを分散投資
最初にある程度の金額を市場に投入し、リスクをとりつつも平均取得単価を下げるために残りは分散投資する方法です。 - 市場動向に応じた調整
市場が下落している時期に多めに投資し、上昇局面では控えめにする。
★では具体的に★
2024年1月から10月までの期間において、年初に一括で1,000,000円を投資する方法と、毎月10万円ずつ積み立てる方法の含み益を比較します。比較対象として、日経平均株価とS&P500指数を用います。
<前提条件>
- 投資期間: 2024年1月初旬から2024年10月末まで
- 投資額:総額1,000,000円
- 一括投資: 1月初旬に1,000,000円を投資
- 積立投資: 毎月初旬に100,000円ずつ、計10回投資
- 手数料: 考慮しない
- 配当金: 再投資せず、考慮しない
1.日経平均株価の場合:
2024年1月初旬の終値は約36,286.71円、10月末の終値は約39,081.25円でした。
- 一括投資:
- 1月初旬に1,000,000円を投資
- 購入単価: 36,286.71円
- 購入株数: 約27.56株
- 10月末の評価額: 27.56株 × 39,081.25円 ≈ 1,077,000円
- 含み益: 1,077,000円 – 1,000,000円 = 77,000円
- 積立投資:
- 毎月初旬に100,000円ずつ投資
- 各月の平均購入単価(仮定): 36,286.71円(1月)、39,166.19円(2月)、40,369.44円(3月)、38,405.66円(4月)、38,487.90円(5月)、39,583.08円(6月)、39,101.82円(7月)、38,647.75円(8月)、37,919.55円(9月)、39,081.25円(10月)
- 平均購入単価: 約38,804.63円
- 購入株数: 約25.77株
- 10月末の評価額: 25.77株 × 39,081.25円 ≈ 1,007,000円
- 含み益: 1,007,000円 – 1,000,000円 = 7,000円
2.S&P500指数の場合:
2024年1月初旬の終値は約4,800ポイント、10月末の終値は約5,800ポイントでした。
- 一括投資:
- 1月初旬に1,000,000円を投資
- 購入単価: 4,800ポイント
- 購入口数: 約208.33口
- 10月末の評価額: 208.33口 × 5,800ポイント ≈ 1,208,000円
- 含み益: 1,208,000円 – 1,000,000円 = 208,000円
- 積立投資:
- 毎月初旬に100,000円ずつ投資
- 各月の平均購入単価(仮定): 4,800ポイント(1月)、4,900ポイント(2月)、5,000ポイント(3月)、5,100ポイント(4月)、5,200ポイント(5月)、5,300ポイント(6月)、5,400ポイント(7月)、5,500ポイント(8月)、5,600ポイント(9月)、5,700ポイント(10月)
- 平均購入単価: 約5,250ポイント
- 購入口数: 約190.48口
- 10月末の評価額: 190.48口 × 5,800ポイント ≈ 1,104,000円
- 含み益: 1,104,000円 – 1,000,000円 = 104,000円
2024年1月から10月までの期間においては、日経平均株価およびS&P500指数への投資では、一括投資の方が積立投資よりも高い含み益を得られる結果となりました。ただし、これは特定の期間における結果であり、将来の市場動向や個々のリスク許容度に応じて投資戦略を選択することが重要です。
まとめ
2025年の新NISAを活用するには、自分の資金状況やリスク許容度、投資経験を踏まえて「分散投資」と「一括投資」のどちらが適しているかを見極めることが大切です。迷った場合はハイブリッド戦略を検討し、柔軟に対応するのも賢明な選択です。
新NISAの新たなスタートを活用し、長期的な資産形成の基盤を築く絶好の機会です。焦らず計画を立て、将来の目標に向けた第一歩を踏み出しましょう!
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