〜高値相場で焦らず“待ち”、配当で報われる投資を〜
第1章|なぜ今「高配当株ETF」を“待ち伏せ”すべきなのか
2025年10月現在、日経平均もS&P500も史上最高値圏で推移しています。
景気は一見堅調に見えますが、金利上昇や為替の乱高下、地政学リスクなど、不安定要因も山積みです。
そんな中で注目を集めているのが、「高配当株ETF」。
しかし、今のような高値相場では、無理に買うタイミングではないとも言えます。
理由はシンプル。株価が上がると配当利回りが下がるからです。
つまり「配当の旨味が薄れている」時期なのです。
そこで今回は、次の下落相場で“買うために今準備しておく”という発想で、
・どのETFを選べばよいのか
・どのように買えばリスクを抑えられるのか
を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
第2章|米国の高配当ETFとの違いと日本市場の課題
米国ではHDV、VYM、SPYDといった有名ETFが安定した人気を誇ります。
これらは「財務健全性」「連続増配」「セクター分散」が徹底されており、
いわば“守りながら増える”高配当投資の代表格です。
一方、日本の高配当ETFは、ここ数年でようやく充実してきましたが、
・銘柄数が少ない
・セクター偏り(商社・銀行・エネルギーに集中)
・増配文化がまだ定着しきっていない
という課題があります。
しかし、これこそがチャンスでもあります。
日本企業は「株主還元」を強化し始め、DOE(株主資本配当率)や累進配当方針を導入する企業が増えています。
この流れは中長期的に続くと考えられ、**“配当で報われる時代”**がやっと日本にも来ようとしているのです。
第3章|今チェックしておきたい主要日本高配当ETF 6選
ここからは、下落相場で買いたいETFを6本ピックアップし、
それぞれの特徴・メリット・デメリットを詳しく見ていきます。
🥇① iシェアーズ MSCIジャパン高配当利回りETF(1478)
- 信託報酬:年0.209%
- 特徴:高配当+財務健全性のスクリーニング。
REITは除外され、安定企業中心の設計。 - メリット:
・“質”の高い配当を狙える
・大型・中型株中心で安定性が高い
・信託報酬が低く、NISA成長枠対象 - デメリット:
・見た目の利回りはやや控えめ(2〜3%程度)
・銘柄入れ替えにより瞬間的に配当が下がる場合あり
▶ 総評:高配当ETFの“王道”。配当よりも「減配しない安心感」を求める投資家向き。
🥈② NEXT FUNDS 日経平均高配当株50ETF(1489)
- 信託報酬:年0.28%
- 特徴:日経平均構成銘柄から、利回り上位50社を選出。
- メリット:
・高配当株を“濃縮”して構成
・分かりやすく投資しやすい
・配当利回りが3〜4%台と比較的高い - デメリット:
・銀行、商社など景気敏感業種に偏りやすい
・ボラティリティ(値動き)がやや大きい
▶ 総評:インカム重視の中上級者向け。“太い利回り”を狙いたい人に最適。
🥉③ NEXT FUNDS 野村日本株高配当70(1577)
- 信託報酬:年0.352%
- 特徴:推定配当利回りが高い70銘柄を等ウェイトで構成。
- メリット:
・分散性が高い(70銘柄均等)
・個別銘柄ショックに強い - デメリット:
・信託報酬がやや高い
・「推定利回り」基準のため、実際の分配変動あり
▶ 総評:分散型のバランス派におすすめ。
1本で幅広く日本企業をカバーできる万能型。
🌿④ iFreeETF TOPIX高配当40(1651)
- 信託報酬:年0.19%
- 特徴:TOPIX100から高配当上位40銘柄を抽出。
- メリット:
・コストが最も低い水準
・実績配当利回りベースで構成
・年4回分配(季節ごとのキャッシュフロー安定) - デメリット:
・構成40銘柄と少なく、業種偏りあり
・減配時の影響がやや大きい
▶ 総評:シンプルで低コスト。
“堅実派”のメインETFとして優秀。
💎⑤ One ETF 高配当日本株(1494)
- 信託報酬:年0.308%
- 特徴:S&P/JPX 配当貴族指数に連動。
「10年以上連続増配・維持」の企業を中心に構成。 - メリット:
・増配企業を重視した“質の高い配当”
・安定性と成長性の両立
・NISA成長枠対象 - デメリット:
・利回りは控えめ(2%台)
・構成銘柄が少なく、やや集中
▶ 総評:米国のVIG(増配貴族ETF)の日本版。
「安心して長く保有したい人」におすすめ。
⚡⑥ Global X Japan 高配当(2564)
- 信託報酬:年0.45%前後
- 特徴:MSCI Japan High Dividend Select 25に連動。
REITを含む25銘柄構成で、分配利回りは高め。 - メリット:
・高配当を濃縮
・REITを含み、インカムの厚みが出る - デメリット:
・銘柄数が少なく集中リスク高い
・金利上昇局面ではREIT部分が逆風
▶ 総評:高配当を“攻めて取りに行く”タイプ。
短期の分配金重視派に向く。
第4章|ETFの比較表(目的別)
| 目的 | おすすめETF | 特徴 |
| 安定した長期運用 | 1478 / 1494 | 財務健全・増配継続型 |
| 配当利回りを太く取りたい | 1489 / 1651 / 2564 | 高配当集中型 |
| バランス重視 | 1577 | 分散性の高い70銘柄構成 |
| NISAで長期保有 | 1478 / 1494 | 成長枠対象・低コスト |
第5章|いつ買うか?——下落局面での買い戦略
高配当ETFは「安く買って長く持つ」が最もシンプルで成功しやすい戦略です。
そのためには、買う基準(トリガー)を数字で決めておくことが大切です。
💡利回りトリガーの目安
- 現在の平均利回りに対し +0.5〜1.0% 上乗せした地点で「買い」
- 例)1478の平均利回り2.4% → 3.0%到達で第1弾
- 1489の平均利回り3.5% → 4.0%で第1弾
💡価格下落トリガーの目安
- 直近高値から ‐10%/‐20%/‐30% の3段階で資金を分ける。
- ‐10%:小口(お試し)
- ‐20%:中口(本格)
- ‐30%:大口(勝負)
- ‐10%:小口(お試し)
こうして買付を「3トランシェ(3段階)」に分けることで、
心理的にも“怖さ”が軽減されます。
第6章|買い方:一括 vs 積立(どちらが正解?)
投資の世界では「一括投資が有利」という統計が多いのは事実です。
しかし、それは長期的な平均リターンの話。
心理的に「高値で一括投入」は、後悔する人も多いです。
✅ 一括投資の特徴
- メリット:資金効率が高く、早く利益を得やすい
- デメリット:高値掴みのリスクが大きい
✅ 積立投資の特徴
- メリット:ドルコスト平均法でリスクを平準化
- デメリット:上昇相場ではリターンがやや劣る
💡折衷戦略
「一括+積立」のハイブリッド型がおすすめです。
- 下落局面に向けて資金を3分割
- 第1弾を小口で積立開始(例:月1万円)
- 利回り・価格トリガー到達で第2・第3弾を投入
つまり、「待ちながら積み立てる」方式です。
これなら市場のタイミングを完全に読む必要がありません。
第7章|実践!ETFの買い方と設定方法
🧭 自動積立設定(SBI証券・楽天証券など)
- ログイン → ETF自動積立を選択
- 銘柄を選び、少額(月1万円など)を設定
- 設定メモに「‐10%で倍額、‐20%で3倍」など自分ルールを書いておく
🎯 指値注文(トリガー型)
- 各ETFの直近高値を確認
- 10〜30%下落した価格を3段階で設定
- 有効期限を90日にして放置(自動約定)
この「積立+指値の併用」が、最も効率的で失敗しにくい買い方です。
第8章|分配金の再投資で“複利の力”を育てる
ETFの魅力は、定期的に分配金が入ること。
ただし、受け取るだけで満足せず、再投資することが重要です。
再投資することで、次の分配金もさらに増え、
まさに“雪だるま式”の複利が働きます。
NISAを活用すれば、分配金も非課税で再投資できるため、
「長期・非課税・複利」という最強のトリオが完成します。
第9章|下落は恐れず「未来の利回り」を見る
高配当ETFは、株価が下がるほど利回りが上がる特性があります。
だからこそ、下落局面は「怖い時ほどチャンス」。
例として、
- 1478(通常2.5%)→株価‐20%なら利回り3.2%前後へ
- 1489(通常3.6%)→株価‐30%なら4.8%前後へ
つまり、恐怖=利回り上昇です。
このタイミングを狙えるよう、事前に“指値リスト”を作っておきましょう。
第10章|ポートフォリオ例:分散でリスクを下げる
下記のように3本組み合わせると、安定感と利回りのバランスが取れます。
| 役割 | ETF | 比率 |
| 安定・増配コア | 1478 or 1494 | 40〜50% |
| 利回りサブ | 1489 or 1651 | 30〜40% |
| 高配当スパイス | 2564 | 10〜20% |
これで「質×利回り×分散」を実現。
どの局面でも“収益の柱”を維持できます。
第11章|注意すべきポイント
- 利回りだけで判断しない
配当が高い=リスクが高いケースもあります。 - 業種の偏りをチェック
商社・金融に偏り過ぎないよう複数ETFで分散。 - 増配・減配のトレンドを見る
「増配傾向の企業が多いETF」を選ぶ。 - 長期保有を前提に
短期での値上がりを狙うと配当戦略の旨味が薄れます。
第12章|まとめ:焦らず、準備こそが最強の戦略
いま市場は高値圏。
だからこそ「買わない勇気」「待つ準備」が大切です。
✔ 今やるべきは「ETF候補を選び、指値と積立を準備」
✔ 下落したら「ルール通りに淡々と買う」
✔ 配当は「再投資して雪だるま化」
この3ステップだけで、将来のインカムは確実に積み上がります。
投資の神様ウォーレン・バフェットも言いました。
「他人が貪欲なときに恐れ、他人が恐れているときに貪欲になれ。」
高値で焦って買う必要はありません。
恐怖の中こそ、最高の配当利回りが眠っています。
💬あとがき
ETF投資は難しそうに見えて、実は「ルールを守るだけ」の世界です。
今回のように“買うETF”“買う価格”“買う方法”を決めておけば、
どんな相場でもブレずに投資が続けられます。
もし次に相場が下がったとき、
「あのとき準備しておいて良かった」と思えるように、
今こそ冷静に、計画的に備えましょう。😊






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