NISAで活かすブラックロック米国債ETF戦略
― 金利・為替・税制を味方につける資産防衛ポートフォリオ ―
はじめに|「債券30%」をどう使うかで、資産寿命は大きく変わる
近年の株式市場は、AI・半導体を中心に歴史的な上昇局面を迎えています。一方で、
「株価が高い」「いつ調整が来てもおかしくない」
そう感じている投資家も多いのではないでしょうか。
そこで改めて注目されているのが、債券の役割です。
本記事では、
- 株60%・債券30%・現金10%
- 総資産5,000万円
- 債券は米国債ETF中心
- ブラックロック(iシェアーズ)製品を活用
という前提で、
👉 「債券30%をNISAと特定口座にどう配置するか」
👉 なぜNISAで運用する米国債ETFが重要なのか
を、初心者にもわかりやすく、かつ実務レベルで解説します。
第1章|なぜ今、米国債ETFなのか
1-1 米国債は「世界の無リスク資産」
米国債は、事実上「世界で最も信用力の高い債券」とされています。
- 発行体:米国政府
- 流動性:世界最大
- 市場規模:桁違い
株式市場が急落した局面では、リスク回避先として資金が流入しやすいという特徴があります。
1-2 個人投資家にとってのETFという選択
個別債券ではなくETFを選ぶ理由は明確です。
- 少額から分散投資が可能
- 年限(デュレーション)を簡単にコントロールできる
- 売買が容易(流動性が高い)
中でもブラックロックのiシェアーズ米国債ETFは、
- コストが低い
- 年限別に細かく分かれている
- NISA対応商品が多い
という点で、個人投資家にとって非常に使いやすい存在です。
第2章|改めて確認:今回の前提ポートフォリオ
資産全体(5,000万円)
- 株式:60%(3,000万円)
- 債券:30%(1,500万円)
- 現金:10%(500万円)
債券30%(1,500万円)の完成形
| ETF | 年限 | 為替 | 金額 |
| 2620 米国債1-3年 | 短期 | 無 | 375万円 |
| 1656 米国債7-10年 | 中期 | 無 | 450万円 |
| 1482 米国債7-10年 | 中期 | 有 | 300万円 |
| 2621 米国債20年超 | 長期 | 有 | 225万円 |
| 238A 米国債25年超STRIPS | 超長期 | 有 | 150万円 |
| 合計 | 1,500万円 |
ここからが本題です。
第3章|NISAと特定口座の「役割の違い」を整理する
3-1 NISAの本質
新NISA(成長投資枠)の最大の強みは、
👉 売却益・分配金が非課税
という一点に尽きます。
したがって、NISAに向いている資産は、
- 値上がり益が期待できる
- 分配金・利息が発生する
- 長期保有する可能性が高い
この3条件を満たすものです。
3-2 特定口座の役割
一方、特定口座は、
- 売却益・分配金が課税
- 損益通算が可能
- 売買の自由度が高い
という特徴があります。
👉 機動力・調整用・現金代替
これが特定口座の主な役割です。
第4章|結論:債券30%のNISA/特定口座 配置最適解
結論(先に答え)
👉 「値動きが大きく、長期で保有したい米国債ETF」はNISA
👉 「安定性・調整用の短期債」は特定口座
第5章|NISAに置くべき米国債ETF(ブラックロック)
5-1 NISA配置【合計:675万円】
| ETF | 年限 | 金額 | 理由 |
| 1482 | 7-10年(ヘッジ有) | 300万円 | 為替影響を抑えつつ値上がり益 |
| 2621 | 20年超(ヘッジ有) | 225万円 | 株暴落時の保険 |
| 238A | 25年超STRIPS | 150万円 | 最大の価格変動=非課税メリット |
| 合計 | 675万円 |
なぜNISAなのか?
- 超長期債は金利低下時の値上がり幅が非常に大きい
- 課税口座だと利益の約20%が税金で消える
- NISAなら丸ごと自分の利益
👉 **「最も非課税の恩恵が大きいゾーン」**をNISAに置くのが合理的です。
第6章|特定口座に置くべき米国債ETF
6-1 特定口座配置【合計:825万円】
| ETF | 年限 | 金額 | 役割 |
| 2620 | 1-3年 | 375万円 | 準現金・機動力 |
| 1656 | 7-10年 | 450万円 | 為替含み益も許容 |
| 合計 | 825万円 |
特定口座に置く理由
- 短期債は値上がり益が小さい
- 売却して株に回す可能性が高い
- 為替益は課税されても問題になりにくい
👉 「動かす可能性がある債券」は特定口座
これが鉄則です。
第7章|この配置がもたらす3つのメリット
① 税制効率が最大化される
- 大きく動く部分は非課税
- 小さく動く部分は課税でも影響軽微
② 心理的にブレにくい
- 短期債=安心
- 長期債=保険
③ 暴落時の選択肢が増える
- 株下落 → 短期債売却で買い増し
- 金利低下 → 長期債が自動で上昇
第8章|よくある失敗パターン
❌ 米国債ETFを全部NISA
→ 調整したくても動かせない
❌ 超長期債を特定口座
→ 利益の20%を税金で失う
❌ 為替ヘッジを極端にする
→ 円高・円安どちらかで後悔
第9章|60代以降を見据えた微調整の考え方
- 60代後半:
→ 2620(短期債)を徐々に増やす - 70代:
→ 超長期債を減らし、7-10年中心へ
👉 NISAの中身は極力動かさず、特定口座で調整
まとめ|債券30%は「守り」ではなく「戦略」
- 債券は株を持ち続けるための装置
- NISAは“値動きの大きい資産”に使う
- ブラックロックの米国債ETFはNISA制度と相性が良い
この構成は、
✔ 金利
✔ 為替
✔ 税制
✔ 心理面
すべてをバランスさせた、非常に完成度の高い設計です。
バリュエーションが高くなっている米国株市場を考えると暴落時のクッション役の債券にも目を向けみなさんの握力を少しでも強くして長期運用を目指せればと考えています。😊







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