2025年も直ぐそこまで来ています。23年24年と一般の投資家のみなさんにとっては値上がりが大きくさぞ含み益が多かった事と思います。しかし25年はどのような年になるのか、ドル円価格、地政学リスク、トランプ政権リスクと様々なリスクが控えていると考えていますがその中で敢えてJ-REIT投資信託に注目してみました。
1. J-REIT投資信託の概要
(1) J-REITとは
- J-REIT(Japanese Real Estate Investment Trust)は、日本国内の不動産を投資対象とする不動産投資信託です。投資家から集めた資金をもとにオフィスビルや商業施設、住宅、物流施設、ホテルなどを購入・運営し、その賃料収入や売却益などを投資家に分配します。
- 一般的に、証券取引所に上場しているため、株式と同様に時価で売買することができます。
(2) J-REIT投資信託の仕組み
- 投資信託(ファンド)を通じてJ-REITに投資するケースでは、投資家が個別REIT銘柄を選ぶ必要はなく、複数のJ-REITに分散投資する商品となります。
- 投資信託の運用会社が、投資方針に沿って複数のJ-REITを組み入れ、分散効果が得られるようポートフォリオを構築するのが特徴です。
- ただし、投資信託であってもリスクは存在し、金利変動リスクや不動産市況リスクなどの影響を受ける点には注意が必要です。
2. 人口減少と首都圏での不動産需要
(1) 人口減少の影響
- 日本全体で少子高齢化が進み、総人口は減少傾向にあります。一方で、 大都市圏(首都圏・名古屋圏・関西圏など)への人口集中は続いており、特に東京23区などでは国内外からの企業進出や居住需要が強い傾向があります。
- 一般的には、地方や郊外の不動産市況は人口減の影響を受けやすい一方、都心部や再開発が進むエリアにおいては比較的需要が堅調に推移する可能性が高いと考えられます。
(2) 需要が減少する可能性はあるか
- オフィス需要はリモートワークの普及などの影響も受け、コロナ禍を経てその在り方が変化しています。ただし、一等地・駅近などの優良物件は依然として需要が高い傾向があるため、立地や物件の質によって二極化する可能性があります。
- マンションや戸建てなど住居系不動産については、従来の「都心回帰」傾向が続いている一方、コロナを機に郊外や地方移住を選択する動きも見られます。ただ、全体としては大都市圏に人口が集まりやすい構造が続くと予想されます。
- 物流系不動産はECの普及で需要が底堅いとも言われますが、競争激化による賃料下落や、金利上昇によるREIT全体の下落リスクにも注意が必要です。
3. 今後のJ-REIT投資戦略
(1) 金利動向に注意
- J-REITは多くの場合、資金を借り入れて不動産を購入する構造になっています。よって、金利が上昇すると借入コストが増加し、分配金が減るリスクがあります。
- 日本でも長期金利が徐々に上昇する傾向が見られるため、金利動向がJ-REITの価格に与える影響には注意が必要です。
(2) 物件タイプ別に分散を検討
- J-REITには、オフィス特化型、住居特化型、物流特化型、商業施設特化型、ホテル特化型などがあります。
- 特に物流施設や住居系を中心に分散投資を行うことで、景気後退時にも一定の耐性を持たせる狙いがあります。
- 投資信託を利用する場合は、どのセクターにどの程度投資しているかを確認し、リスク許容度や目標リターンに応じて検討すると良いでしょう。
(3) 投資比率(総資産に占める割合)の目安
- 投資の最適配分は、投資家のリスク許容度や運用目的、投資期間、他の資産との相関関係などによって変わります。
- 一般的に、株式:債券:リートなどのオルタナティブ資産といった資産配分の中で、リートを5〜15%程度組み入れるケースが多いといわれています。
- 保守的な投資家であれば5%前後。
- 積極的な投資家であれば10〜15%程度。
- ただし、昨今の金利上昇局面や不動産市況の先行き不透明感を考慮し、投資比率を見直す投資家も存在しますので、定期的にマーケットやファンドの運用状況を確認し、リバランスを行うことが重要です。
4. まとめ
- J-REIT投資信託は、日本国内の不動産を分散して投資できる魅力がある一方で、金利上昇や不動産市況の変動といったリスク要因があります。
- 人口減少による影響は地方や郊外で顕著になる一方、首都圏(特に都心部)においては依然として需要が堅調である可能性が高いと考えられています。
- 投資比率は投資家の状況によりますが、一般的にはポートフォリオの5〜15%程度を目安にしつつ、定期的なリバランスが推奨されます。
J-REIT投資信託の具体例
では具体的に個別の人気REIT銘柄を見ていきましょう。執筆時点での一般的な傾向や、公開情報・過去のデータを参考にした概算的な内容です。
実際の数値(特に「キャピタルゲイン(基準価額の値上がり分)」と「インカムゲイン(分配金など)」の正確なデータ)を確認するには、各ファンドの最新運用報告書や運用会社の公式ウェブサイト、または金融情報サイト等をご参照ください。
また、投資信託の場合、「インカムゲイン=受取分配金」としても、再投資しているか・毎月分配型か・年数回分配型かなどで実質的なトータルリターンは変わってきます。あくまで目安としてご覧ください。
1. インデックス型ファンドの概況
(1) SMT J-REITインデックス・オープン
- 運用会社:三井住友トラスト・アセットマネジメント
- ベンチマーク:東証REIT指数(時価総額加重型)
- **5年トータルリターン(年率)**の目安
- 東証REIT指数は、直近5年(2018〜2023年頃)のトータルリターンが年平均でおおむね1〜3%程度(※1)と報じられることが多いです。
- インカムゲインは年率3〜4%前後の分配金利回り(※2)を得られる時期があった一方、基準価額の値動き(キャピタルゲイン)は金利上昇懸念などで上下が激しい局面がありました。
- 全体としては「分配金でそこそこ稼げるが、キャピタルゲインはここ数年やや伸び悩み気味」な時期もあった、というのが大まかな傾向です。
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/64317081
(2) たわらノーロード 国内リート
- 運用会社:アセットマネジメントOne
- ベンチマーク:東証REIT指数
- **5年トータルリターン(年率)**の目安
- 同じく東証REIT指数に連動するパッシブ型なので、上記SMT J-REITインデックス・オープンと概ね同様のリターンに近い動きです。
- キャピタルゲインはほぼインデックスと同等、インカムゲインも分配金方針が類似(どちらも再投資型)なら大きな差異はありません。
- ただし、信託報酬の差などでわずかに運用成績が変動します。
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/4731A15C
(3) eMAXIS Slim 国内リート
- 運用会社:三菱UFJ国際投信
- ベンチマーク:東証REIT指数
- **5年トータルリターン(年率)**の目安
- こちらも上記2商品同様に東証REIT指数連動のパッシブファンドです。
- 信託報酬が低水準なので、長期的には「インデックス-コスト」に近いリターンとなることが多いです。
- インカムゲイン(分配金相当)は原則自動的に再投資される設定が多いので、「キャピタルゲイン+インカムゲイン」がトータルリターンとしてまとめて表現されることがほとんどです。
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/0331119A
(4) iFree 国内リート
- 運用会社:大和アセットマネジメント
- ベンチマーク:東証REIT指数
- **5年トータルリターン(年率)**の目安
- 同様に東証REIT指数に連動し、他の国内リートインデックスファンドとほぼ同じ動きをしてきました。
- 過去5年間のざっくりとした傾向は、インカムゲイン(=分配金部分)で年間3~4%前後(※2)の時期がある一方、基準価額(キャピタルゲイン)は金利上昇などで伸び悩む場面もあり、トータルでは年率1~3%程度のレンジに収まっていると考えられます。
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/0431V169
2. アクティブ型ファンドの概況
(1) ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)
- 運用会社:大和アセットマネジメント
- 特徴:毎月分配型の代表例
- **5年トータルリターン(年率)**の目安
- 過去には純資産総額が大きく、分配金を高めに設定していた時期があります。
- 毎月分配型では**「受け取り分配金(インカムゲイン)」が多い反面、基準価額が下落しやすい(=キャピタルゲインが伸びにくい)**というケースもよくあります。
- 直近5年単位のパフォーマンスを見てみると、受け取り分配金を含むトータルリターンは年率0〜2%台にとどまっている時期もあったようです(※3)。
- 一方で、毎月の分配金をすべて再投資する「累積投資口」であれば、もう少しリターンが高くなる傾向もあります。
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/04311045
(2) 野村J-REITファンド(愛称:フォルティス)
- 運用会社:野村アセットマネジメント
- 特徴:アクティブ運用で優良J-REIT銘柄を絞り込み
- **5年トータルリターン(年率)**の目安
- 一般的に、東証REIT指数を大きく上回るパフォーマンスが出る年もあれば、下回る年もあり、アクティブゆえにブレが大きいことが特徴です。
- 直近数年はリート全体が金利上昇などで大きく伸び悩んだ時期があるため、年率1〜3%程度で推移している可能性があります(※4)。
- インカムゲイン(分配金)は多めに出る時期があっても、キャピタルゲインが伴わないとトータルリターンはインデックス並み、あるいは下回ることもあり得ます。
- https://finance.yahoo.co.jp/quote/0131C10B
3. ざっくりとした「5年間の平均キャピタルゲイン」「インカムゲイン」のイメージ
- インデックス型(再投資型)
- 東証REIT指数がベンチマークとなるため、過去5年平均のキャピタルゲインは±数%(ほぼ横ばい〜緩やかにプラス)に留まる時期が多い。
- インカムゲイン(分配金相当)は平均して3〜4%前後/年になる年が多かったが、実際には年による変動あり。
- 結果としてトータルリターン(=キャピタル+インカム)はおおむね1~3%/年程度になるケースが多かった。
- アクティブ型(特に毎月分配型)
- 分配金を多めに出す傾向があるため、インカムゲインは高めに見える場合もあるが、基準価額(キャピタルゲイン)が下がりやすい点には要注意。
- トータルリターンとして見ると、分配金をしっかり再投資しなければ、インデックス型を下回ることも珍しくない。
- 近年の金利上昇局面により、REIT全体が頭打ちになる場面もあったため、5年平均で年率0〜2%台にとどまっているファンドも多い。
東証REIT指数の分配金利回りは、市場環境や金利動向に応じて変動しますが、直近5年間(2019年~2023年)の平均分配金利回りは、概ね3.5%前後で推移しています。
4. 注意点
- 毎月分配型は「分配金=すべて実質的な利益」ではない
- 基準価額の下落を伴う「タコ足分配」になっている場合、単純にインカムゲインが高いとは言い切れません。
- 公表されるリターンは「トータルリターン」が中心
- 投資信託の運用報告書などでは、キャピタルゲインとインカムゲインを厳密に分けて公表しないケースが大半です。トータルリターン(基準価額の値動き+分配金再投資ベース)としてまとめて示されることが多いです。
- 運用期間・購入タイミング・再投資の有無によって大きく変動
- 過去5年といっても、2019年〜2020年初頭にかけては新型コロナショック前の上昇局面もありますし、その後の急落・回復局面もあり、投資タイミングで実質リターンは大きく違います。
- 最新の運用報告書・公式サイトを必ず確認
- ファンドごとに細かい数値は異なります。実際には年ごと・半期ごとの運用報告書に記載のデータを参照してください。
5. まとめ
- インデックス型(SMT、たわらノーロード、eMAXIS Slim、iFree)は、東証REIT指数との連動を目指すため、ここ5年ほどの平均トータルリターンはおおむね年率1~3%台程度に収まる年が多かったとの報告が散見されます。
- このうち**インカムゲイン(=実質の分配金利回り)**は年率3〜4%前後の時期もありましたが、キャピタルゲインは金利動向などで伸びにくいことも多かったです。
- **アクティブ型(ダイワJ-REITオープン、野村J-REITファンド/フォルティス など)**は、分配方針や銘柄選定によりインカムゲインが高めになることがありますが、キャピタルゲインが伴わなければトータルリターンはインデックス並みかそれ以下にとどまる可能性もあります。
- 毎月分配型の場合、キャピタルゲインがマイナスになっている(=基準価額が下落している)時期もしばしば見られますので注意が必要です。
※上記は原則としてSBI証券で購入可能です。
参考リンク(※)
- 各ファンドの「最新運用報告書」「月次レポート」「目論見書」(運用会社の公式サイト、証券会社のファンド情報ページなど)
- 金融情報サイト(モーニングスターやQuickなど)のファンド検索機能
(※1〜4)…東証REIT指数および各ファンドの過去データを参照した概算値。
最新のデータは公表ソースごとに表記期間や方法が異なることもあるため、必ず公式データでご確認ください。
最後に
最終的な投資判断に際しては、必ず公式の運用報告書や目論見書、金融情報サイトなどで「正確な実績値」をご確認ください。また、必要に応じて金融機関やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)など専門家にご相談ください。
様々な投資商品がある中で、不動産投資は敷居が高すぎると考えているが不動産に間接的に投資したい方、爆上げはしないが安定した配当を狙う投資家のみなさんに向いていると考えます。この機会にぜひ関心を持っていただきたいです。
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