この記事は今後の世界情勢をめぐる歴史に残る背景を基にして記載しています。1章から9章(まとめ)まで大変長くなりますので3回に分けて投稿させていただきます。
🔷第1章:トランプ氏の声明とイラン核施設攻撃の全容
📰 1-1. 衝撃の声明──トランプ氏がXに投稿した「イラン攻撃」の事実
2025年6月、米大統領ドナルド・J・トランプ氏が、自身の公式X(旧Twitter)アカウントで世界を震撼させる投稿を行いました。
「私たちは、イランの3つの核施設に対する非常に成功した攻撃を完了しました。」
投稿によると、攻撃対象には「フォルドウ」「ナタンズ」「エスファハン」といった、イラン核開発の中枢的な施設が含まれており、主要なフォルドウ施設には「全弾薬」が投下されたと強調されています。さらに、「すべての航空機は無事帰還中」と報告。米軍の軍事的成功を強く印象づける内容でした。
この投稿が公開された直後から、X(旧Twitter)、各国メディア、そして国際原油市場は一気に緊張感を強め、瞬間的に原油価格は10%以上上昇。市場は一斉に「地政学リスクの臨界点」を意識し始めたのです。
🏗 1-2. 攻撃対象となった3つの核施設とは?
イランの核関連施設の中でも、今回名指しされた3施設は特に重要とされています。それぞれの施設について、背景を整理します。
🧪 フォルドウ(Fordow)
- 首都テヘランから約160km南にある地下核施設
- 濃縮ウランの生産拠点
- 堅牢な山中に建設されており、**米軍でも破壊が難しい“最後の砦”**とされてきた
- トランプ氏の投稿では「全弾薬を投下」と明言され、最も注目された標的
⚛ ナタンズ(Natanz)
- イラン中部イスファハン州にある大規模ウラン濃縮施設
- 国際原子力機関(IAEA)でもたびたび査察対象となる施設
- 以前にもサイバー攻撃(スタックスネット事件)や爆発事件で損害を受けており、核技術の中核とも言える存在
🏭 エスファハン(Isfahan)
- 軽水炉を含む核関連複合施設が複数存在
- ウラン転換施設があり、核燃料サイクルの重要拠点
- 軍事用ミサイル基地との併設も噂される地域
⏳ 1-3. 背景にある「米・イランの緊張関係」と対立の歴史
アメリカとイランの対立は、決して今に始まったものではありません。以下のような長年の緊張の積み重ねが今回の爆発的な事態を導いたのです。
年 | 出来事 | 内容 |
1979年 | イラン革命 | 親米パーレビ国王が退位し、反米イスラム政権誕生 |
1980年代 | イラン・イラク戦争 | 米国はイラク支援、対イラン敵対姿勢を強める |
2000年代 | 「悪の枢軸」発言 | ブッシュ政権がイランを名指し(北朝鮮・イラクと共に) |
2015年 | 核合意(JCPOA) | オバマ政権下で合意も、後にトランプ政権が離脱 |
2020年 | ソレイマニ司令官暗殺 | 米軍がイランの精鋭司令官を空爆、報復攻撃の応酬 |
2025年 | 今回の核施設攻撃 | トランプ氏が「成功した」と発表し市場大混乱へ |
これらの経緯を踏まえると、今回の攻撃は単なる一過性の事件ではなく、数十年にわたる「米・イランの憎悪と警戒の連鎖」の延長線上にあると考えられます。
🌐 1-4. 各国の反応と国際社会の分断
このトランプ氏の発言と実際の軍事行動について、世界各国の反応も割れました。
- 🇪🇺 EU諸国(ドイツ・フランス・イタリアなど):即座に「対話の再開」を呼びかける声明
- 🇷🇺 ロシア:アメリカの一方的な行動に強く抗議
- 🇨🇳 中国:国連安保理の緊急招集を主張し、イラン支援の姿勢を強める
- 🇯🇵 日本:中東からの原油依存度が高いため、経済的ダメージ懸念を表明(岸田政権は“極めて遺憾”とのコメント)
これらの反応を見る限り、**「米国の単独行動が国際社会を再び分断しかねないリスク」**を孕(はら)んでおり、単なる軍事的成功では終わらない複雑さを感じさせます。
✍ 総括:第1章のポイント整理
- トランプ氏の「X投稿」が国際的な波紋を呼び、原油価格・株式市場に大きな影響を与えた
- 攻撃対象となった3つの核施設は、イラン核開発の中心拠点
- 長年の米・イランの緊張の“出口なき歴史”が今回の攻撃を誘発
- 世界各国の対応は分裂気味で、今後の外交関係にも影響が広がる可能性あり

🔷第2章:原油急騰!市場は何を織り込んでいるのか?
🛢 2-1. 原油価格が10%以上急騰──その背後にある“市場心理”
トランプ氏のイラン核施設攻撃声明が出た直後、WTI原油先物は一時85ドルから96ドル台へと急上昇。1バレルあたり10ドルを超える上昇は、短期的にはリーマン・ショック後やコロナ暴落直後を除けば異例の事態です。
なぜここまで原油価格が急騰したのか?
それは市場が以下のリスクを「先読み」して織り込んだからです。
📉 2-2. 地政学リスクプレミアムとは?原油が跳ねやすい理由
原油価格は、単なる需給バランスだけでなく、**「地政学的な緊張=供給リスク」**によって大きく動きます。これを「地政学リスクプレミアム」と呼びます。
地政学リスクプレミアムの発生条件:
- 原油の**産出国・輸送路(ホルムズ海峡など)**に軍事的脅威が生じる
- 政治・外交の不確実性が拡大し、将来の供給リスクが意識される
- 市場参加者が「先に買っておこう」と先物や現物を買い漁る
→ 結果として、価格が急騰
今回のケースでは、
- イランという中東の要所でありOPECプラスの一角が絡む
- 米国という主要エネルギー国家が軍事行動を実行した
という2点から、原油市場が敏感に反応したのは当然といえます。
🗺 2-3. 実際に供給は止まるのか?ホルムズ海峡がカギ
現在、世界の原油輸送の約20〜30%は、中東ペルシャ湾沿岸から出発し、ホルムズ海峡を通過しています。
🚢 ホルムズ海峡の要点 | 内容 |
幅 | 最も狭い部分で約33km |
通過量 | 世界の海上輸送原油の1/5超 |
影響国 | イラン・サウジ・UAE・カタール・クウェートなど |
紛争影響度 | 軍事衝突や封鎖が起きれば、原油価格が100ドルを超える可能性大 |
今回の米軍による攻撃でイランが反撃を試みる場合、最も可能性が高いのがホルムズ封鎖の示唆またはミサイル発射です。これにより、「物理的な供給不安」が高まる可能性があると市場は警戒しています。
📈 2-4. 原油10ドル上昇で経済にどんな影響があるか?
ここで1つ重要な試算を紹介します。
✅「原油価格が10ドル上昇すると、米国のインフレ率は約0.2〜0.3%上昇、GDPは0.1〜0.2%低下する」
これはゴールドマンサックスやOECDが示す分析ですが、原油価格の上昇はエネルギーコストの増加を通じて、輸送・製造・農業・電力コストに波及し、すべての産業にインフレ圧力を与えるのです。
例えば:
- 🛒 ガソリン価格上昇 → 可処分所得の圧迫
- 🍜 食品価格上昇 → 生活必需品への波及
- 🚚 物流・輸送コスト上昇 → 小売・EC業界の粗利低下
- 🛠 製造コスト増 → 建設・素材・化学などのマージン悪化
このように、原油価格の急騰はまさに**「すべての産業を通じたコストの連鎖爆発」**を引き起こす引き金ともなりかねません。
📊 2-5. チャートで見る:原油価格の動きと警戒ライン
現在(2025年6月時点)のWTI原油価格は約95ドル前後。
以下のチャートで、過去5年間の重要な原油価格の水準を確認しておきましょう(※画像イメージを記事に挿入)
年月 | 出来事 | 価格帯(WTI) |
2020年3月 | コロナ暴落 | 一時マイナス~30ドル前後 |
2022年2月 | ロシアのウクライナ侵攻 | 約100〜120ドル |
2023年 | サウジ減産 | 80〜95ドル |
2025年6月 | トランプ氏のイラン攻撃 | 一時96ドル台(今) |
✅ 100ドル超えが続けば、「インフレ警戒+リスクオフ+株価調整」の三重苦が現実味を帯びると見られています。
🔮 2-6. 市場の“織り込み”が意味する今後の行方
市場は「最悪は避けられる」という**“年末情勢収束シナリオ”**も同時に織り込んでいます。
つまり:
- 短期的にはリスクプレミアムで原油急騰
- 中長期では外交的交渉やOPECの生産調整で価格落ち着きへ
- よって、“今がピーク”と見て利確の動きも生じやすい (実際、値下がりし始めています。)
こうした「上にも下にも動きやすい“高原相場”」に入っている今、投資家は
👉 感情で売買せず、冷静に“資産配分”と“調整戦略”をとるべき時期にあると考えています。
✍ 総括:第2章のポイント整理
- トランプ氏の声明で原油価格が急騰(10ドル以上)
- 原因は「地政学リスクプレミアム」=供給不安の先読み
- ホルムズ海峡などが封鎖されればさらなる上昇リスク
- 原油高は世界経済に広範なインフレ圧力を与える
- ただし、“収束見通し”を織り込んだ戻り期待も同時進行中

🔷第3章:インフレと景気後退のダブルパンチ到来?
💣 3-1. 原油高が引き起こす「第2波インフレ」への警戒
中東情勢の悪化と原油価格の高騰は、ただ単にエネルギー価格を押し上げるだけではありません。
今、世界が最も警戒しているのは──**インフレの再燃(=第2波インフレ)**です。
特に米国や欧州では、2022〜2023年にインフレ退治のために金利を急激に引き上げてきたばかり。
インフレがようやく落ち着いてきた矢先の「原油ショック」は、以下のような連鎖をもたらします。
📌 インフレ再燃のメカニズム:
- 原油高 → ガソリン・灯油・電気代の上昇
- 物流・輸送費が上がり、商品価格全体が値上がり
- 小売・飲食・製造業が値上げを開始
- CPI(消費者物価指数)が上昇し、市民の実質所得が圧迫される
- 企業のコスト増 → 利益減少 → 株価下落
- 中央銀行(FRB、ECBなど)が利下げに踏み切れず、景気が冷え込む
つまり、原油高はインフレと景気悪化の「同時進行」を招く非常に厄介な存在なのです。
🏛 3-2. FRBは利上げに踏み切るのか、それとも様子見か?
市場では現在、FRBが年内に1〜2回の利下げを行うと期待されていたタイミングでした。
しかし今回の事態により、「インフレが再加速するなら利下げは難しい」という認識が急速に広がっています。
注目しているのは、次の2点:
✅ ① インフレ期待の再上昇
- FRBが最も重視する「PCEコアデフレーター」が再び上昇傾向に転じる可能性あり
- 金利市場(FFレート先物)では、年内利下げ幅が0.5%から0.25%に縮小予想
✅ ② 長期金利(10年債利回り)の上昇
- 原油高+インフレ懸念で米10年国債利回りは4.5%台に上昇
- これは企業・住宅ローンなどの金利上昇にも直結し、景気のブレーキ要因となる
📉 まとめると…
「インフレが加速するのに利下げできない」という矛盾した状況=スタグフレーションリスクが強まっているのです。
📉 3-3. 消費者は“我慢”の限界へ──リセッション突入の兆候
エネルギー・食品価格の高騰は、家計の可処分所得を削り、結果として消費全体の冷え込みを引き起こします。
特に米国のようにGDPの7割を個人消費が占める経済では、この影響は極めて大きいです。
🛒 現在の懸念材料:
- 小売売上高の伸びが減速(5月時点で前年比+1.1%)
- クレジットカード債務が過去最高水準に
- 自動車ローン延滞率の上昇傾向
- サブプライム層の消費が減少し始めている
⛔ このままいけば、**2025年Q3〜Q4にかけて景気後退入り(technical recession)**の可能性も現実味を帯びてきます。
📊 3-4. セクター別パフォーマンスの明暗くっきり
インフレと景気後退のダブルリスク下では、株式市場全体が下落するだけでなく、セクターごとの「勝ち組・負け組」が明確に分かれる構造になります。
分類 | セクター | 状況 |
明るい | エネルギー | 原油高の恩恵。XOMやVDEなど上昇継続 |
明るい | 防衛・軍需 | 地政学リスクの高まりでITA、LMTが注目 |
中立 | 金融 | 利回り上昇はプラスだが、景気悪化が懸念 |
暗い | 航空・自動車 | 燃料費上昇・消費鈍化のダブル逆風 |
暗い | 不動産 | 金利上昇でREITや住宅販売が打撃受ける |
暗い | テック | 成長株は金利上昇に弱く、調整圧力強まる |
この「セクターの明暗差」を見極めることが、ポートフォリオを守るカギになります。
📉 3-5. 実は日本も他人事ではない!──輸入国のリスク
日本のようにエネルギーの大部分を輸入に依存している国では、原油高はそのまま経常赤字・貿易赤字の拡大要因となります。
特に:
- 円安+原油高 → 輸入コスト爆増
- 電気・ガス料金の家庭負担増
- 食品・日用品への価格転嫁
これらが連鎖することで、日本のCPI上昇→金融緩和の修正圧力→日銀の利上げリスクも現実的になってきます。

✍ 総括:第3章のポイント整理
- 原油高がインフレ再燃の引き金に
- FRBは利下げできず、景気後退リスクが強まる
- 個人消費に減速サイン → リセッションへの警戒感
- セクター別で「強いテーマ株」「弱い金利敏感株」がくっきり分かれる
- 日本も輸入コスト増・物価上昇で打撃。金利政策にも影響
以上が1章から3章迄、大変長くなりましたが引き続きご覧いただけると幸いです!9章迄あります。


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