はじめに|いま「為替」を見ずに投資はできない
2026年初頭の日本市場は、株価が高値圏にある一方で、
- ドル円は154円台前半
- 長期金利はじわり上昇
- 債券先物は財政懸念で軟調
という、かなり歪んだ状態にあります。
さらに今回は衆院選という政治イベントが重なっています。
しかも与野党ともに
「食品の消費税減税」を公約に掲げる異例の展開。
つまり現在のマーケットは、
金融 × 財政 × 政治 × 為替
この4つが同時に絡み合う“高度複雑相場”に突入しています。
この局面で最重要になるのが——
為替(ドル円)です。
なぜなら、
- 為替は日本の財政リスクを映す鏡であり
- 為替は海外投資家の日本評価そのものであり
- 為替は株と債券の資金移動の起点だからです。
この記事では、
✔ 与党勝利時のドル円の方向性
✔ 財政不安が為替に与える影響
✔ 介入の実態
✔ 実務で使えるチェックリスト
✔ 投資家が取るべき戦略
を体系的に解説していきます。
第1章|なぜ「与党勝利=円安」と単純に言えないのか?
一般的には、
「減税=財政悪化=円安」
と考えられがちです。
確かにこれは長期的には正しい。
しかし実際のマーケットはもっと複雑です。
与党が勝利した直後には、
- 政治的不確実性の低下
- ショートポジションの巻き戻し
- 介入警戒の強まり
によって、一時的に円高になるケースが非常に多い。
これをは
「イベント円高」と呼んでいます。
つまり、
選挙直後:円高
数週間後:円安再開
という二段構えになりやすい。
この時間差を理解していないと、
円高を見て「トレンド転換だ」と誤認してしまいます。
第2章|今回の円相場を支配している3つの力
現在のドル円を動かしているのは、主に次の3つです。
① 日米金利差(王道要因)
これは皆さんご存知の通り。
米金利 > 日本金利
→ ドル高円安
ただ今回はここだけでは説明できません。
② 日本の財政リスク(今回最大のテーマ)
食品消費税の減税。
これは家計には優しいですが、
国家財政から見ると完全に逆風です。
減税=税収減
→ 国債増発
→ 長期金利上昇
→ 円の信認低下
この流れが海外勢にははっきり見えています。
ここが今回の「構造的円安」の正体です。
③ 為替介入という“見えない壁”
政府は
「投機的な動きには断固対応」
という言葉を繰り返しています。
実際に介入していなくても、
この“言葉”だけで市場は反応します。
結果、
156円を超えると
急に円買いが入りやすくなる。
つまり、
円安の天井は政治が決めている
という極めて特殊な相場です。
第3章|与党勝利後のドル円シナリオ(推論)
ここからはベースシナリオです。
フェーズ① 選挙直後(1〜5日)
政治安定+介入警戒
→ 円高に振れやすい
152〜153円台も普通にあり得ます。
ただしこれは構造的円高ではありません。
フェーズ② 数週間後
減税具体化
補正予算議論
国債増発観測
→ JGB売り
→ 円安再開
154 → 155 → 156円方向への再トライ。
ここが本命です。
フェーズ③ 中期(2〜3ヶ月)
財源が曖昧なまま減税が進めば、
158円付近まで視野に入ります。
ただし急激には進みにくく、
必ず「介入風の円高」を挟みます。
第4章|実務で使える「ドル円5分チェックリスト」
ここが最重要です。
毎朝これだけ見れば十分。
STEP① ドル円レート
152台 → 円高初動
153〜155 → レンジ
156超 → 介入警戒
STEP② 日本10年国債
円高なのに金利上昇
→ 介入系円高(戻りやすい)
円高+金利低下
→ 本物の円高
STEP③ 財政ニュース
以下が出たら円安バイアス:
- 恒久減税
- 財源未定
- 補正予算
STEP④ 政府発言
「投機的」
「断固」
出たら短期円高。
第5章|投資家はどう動くべきか?
長期投資家にとって重要なのは、
為替を“当てる”ことではありません。
為替を利用することです。
円高スパイク時
- 米国債ETF(2255 / 2621)買い
- 米株積立の前倒し
- 外貨資産の仕込み
円安加速時(156超)
- 新規ドル買い控え
- 日本高配当株の比率を意識的に上げる
- キャッシュ確保
第6章|孫子の兵法でまとめる今回の為替相場
孫子曰く:
勝てる戦は先に勝ってから戦う
今回の相場は、
- 財政は円安
- 介入は円高
という綱引きです。
つまり、
円高は短期
円安は中期
この構造を理解している人だけが、
慌てずにポジションを取れます。
おわりに|為替は「国の成績表」
ドル円は単なる通貨ペアではありません。
それは、
- 日本の財政
- 政治の覚悟
- 市場の信頼
すべてを映す“成績表”です。
今回の衆院選は、
その成績表が大きく動く分岐点になります。
どうか
✔ 円高で慌てず
✔ 円安で浮かれず
✔ 為替を味方につける
このスタンスで進んでください。






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