インフレ時代における日本国債・米国債の投資戦略

いよいよ日本にも金利のある時代がやってきました。そしてインフレが進行する時代には、債券投資が特別な意味を持ちます。特に、日本国債や米国債といった政府発行の債券は、安定性を求める投資家にとって魅力的ですが、インフレがもたらす影響を十分に理解した上での戦略が重要です。

日本国債

日本国債(JGB)は、信用度が非常に高いものの、インフレ時には以下のようなリスクと機会が考えられます。

  • メリット: 日本政府の信用力を背景に、安全性が高い点が最大の魅力です。特に、長期的な資産防衛や円建ての安定資産を求める投資家に適しています。
  • デメリット: インフレ率が上昇すると、実質的な金利はマイナスになる可能性があります。日本国債の低金利は、インフレが進行する時代には実質価値の減少リスクを抱えやすくなります。

米国債

米国債(US Treasuries)は、日本国債よりも金利が高い傾向があります。2022年からインフレが進行し米国はFRBにより金利を急激に上げ、それに伴い米10年債利回りが5%に達する時期もあり現在も4%台の高金利を維持しています。FRBの手綱さばきと米景気の強さもあり1ドル150円前半の円安で為替も推移しています。米債券はドル建てであるため、為替リスクも考慮する必要があります。

  • メリット: 米国の金利は日本より高く、インフレ調整されたリターンも期待できます。特に米国債ETFを利用すると、分散効果と流動性を高めつつドル資産を持つことが可能です。
  • デメリット: インフレ時には、米国債の価格が下落することが多く、短期的には資本損失のリスクも考えられます。また、為替の変動が日本円での実質収益に影響を与える可能性があります。

債券投資のメリット

1. 安定した収益

債券は、定期的に利息(クーポン)を受け取れるため、株式のような価格変動リスクを避けつつ、安定した収益を得たい投資家に向いています。特に、政府債券や投資適格格付けの高い社債は、リスクが低く、長期にわたって安定的な収入源となります。

2. 元本返済の保証

債券は満期まで保有すれば、額面金額(元本)が返済されるため、価格変動による損失リスクを抑えることができます。株式と違い、元本が保証されているため、資産を保全しながら収益を確保することが可能です。

3. 分散投資の効果

債券は、株式市場との価格連動性が低い傾向があるため、ポートフォリオに組み入れることでリスク分散が期待できます。特に、株式市場が下落した際にも、安定した収益を得ることができる点は大きな魅力です。

4. インカムゲインの確保

債券から得られる定期的な利息は、年金や老後資金を形成するための安定的な収入源となります。特に、利回りの高い社債や高配当の米国ETFを活用すれば、より高いインカムゲインが期待できます。

債券投資のデメリット

1. インフレリスク

インフレが進行すると、債券の利息や元本の実質価値が低下します。債券の固定利率は、インフレによる物価上昇に対応できないため、特に長期保有の際には、購買力が損なわれるリスクがあります。

2. 金利変動リスク

債券価格は金利の動向に強く影響されます。金利が上昇すると、既存の債券の価値が低下し、市場価格が下がる可能性があります。特に長期債券ほど、このリスクは大きくなります。

3. 信用リスク(デフォルトリスク)

企業が破綻した場合、社債の元本や利息が支払われなくなるリスクがあります。信用格付けが低い社債ほどリターンが高い一方で、デフォルトリスクも高くなります。政府債券に比べて、企業の財務状況に依存するため、信用リスクを十分に考慮する必要があります。

4. 流動性リスク

一部の債券は市場での取引が少なく、売却したいときにすぐに売却できない、あるいは希望の価格で売れないリスクがあります。特に、個別の社債や地方債などではこのリスクが顕著です。

債券の種類別の特徴

1. 国債

国債は政府が発行するため、信用リスクが低く、安全性が高いです。日本国債や米国債は、特に安全資産として人気がありますが、利回りは低めです。

2. 社債

社債は企業が発行し、国債よりも利回りが高いことが多いです。ただし、信用リスクが高く、発行企業が破綻すると元本が返済されない可能性があります。投資適格社債と高リスク・高リターンのハイイールド債(ジャンク債)に分類されます。

3. インフレ連動債

インフレに連動して元本や利息が増減する債券です。インフレリスクをヘッジできるため、物価上昇時に価値が守られやすいのが特徴です。

債券投資の選択肢

  • 日本国債: 安全性が高いが、インフレに弱く、利回りが低い。
  • 米国債: 日本国債より高い利回りを提供し、ドル建て資産としてリスク分散が可能。※米国債の選択肢はSBI証券が圧倒的に多いのでお勧めです。
  • 社債: 高い利回りを期待できるが、企業破綻リスクに注意。
  • 米国ETF: 例えば、iSharesの米国債券ETF(AGG)は米国債全体に分散投資できる商品として人気です。

投資信託や米国ETFの具体例

インフレに強い債券投資を検討する際、投資信託やETFの活用も有効です。以下に、日本国債や米国債に関連する代表的な投資商品を紹介します。

日本国債関連

  • iShares Core Japan Government Bond ETF (2561)
    日本の政府債券に集中して投資するETFで、安定的なパフォーマンスを提供し、長期保有に適しています。

米国債関連

  • iShares U.S. Treasury Bond ETF (GOVT)
    米国の国債に幅広く投資するETFで、低コストで分散された米国債のポートフォリオにアクセスできます。インフレリスクがあるものの、ドル建ての資産として有用です。
  • iShares Government/Credit Bond ETF (GBF)
    米国債と信用格付けの高い社債を組み合わせたETFで、リスクとリターンのバランスを取りやすい商品です。

これらのETFは、インフレ時代でも一定の利回りを確保しながら分散投資が可能です。また、米国市場の成長を取り込むことで、資産保全とリターンの両立を図れます。

日本で米国ETFをターゲットにする投資信

SBI証券や楽天証券で多くの選択肢が揃っています。以下は、米国ETFに投資できる人気の投資信託やETFの一部を紹介します。

SBI証券

  1. SBI・iシェアーズ・米国総合債券インデックス・ファンド
    • 信託報酬: 0.154%(税込)
    • 特徴: 米国の投資適格債券市場全体に連動するインデックスファンドで、バランス型の投資を希望する方に向いています​。

楽天証券

  1. <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド
    • 信託報酬: 0.154%
    • 特徴: 幅広い外国債券に分散投資が可能で、コストパフォーマンスに優れた商品です​。

  2. iFreeHOLD米国国債ファンド
    • 信託報酬: 0.1705%
    • 特徴: 米国国債に特化したファンドで、為替リスクをヘッジしない形で米国の成長に投資したい方に向いています​。

まとめ

債券は安定した収益と元本返済の保証を提供しますが、インフレや金利変動、信用リスクに注意する必要があります。特に、インフレ時代においては、利率の低い債券では実質的な収益が損なわれる可能性があるため、米国ETFなどで分散投資し、インフレリスクに対応する戦略が有効です。IPFも米国債、日本国債を運用し抜群の運用成績をあげており、リスクをヘッジしつつ運用できる投資先です。現金または債券を持って分散投資するかは個別の判断です。



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