2024年にスタートした新NISA制度の2年目(2025年)における、比較的効率的と考えられるポートフォリオ例と戦略の考え方です。なお、個々の投資家のリスク許容度や目標、相場状況によって最適解は異なりますので、あくまで一例として参考にしてください。また、実際の銘柄選定や比率検討時には、最新の情報や商品概要書、目論見書等の確認をお勧めします。
基本戦略
新NISA制度概要(再確認)
2024年から始まった新NISAは、
- つみたて投資枠と成長投資枠の2階建て構造
- 非課税枠が拡大し、原則恒久化
- 長期・積立・分散投資を促す一方で、成長投資枠での個別株式やETF、アクティブファンドへの投資も可能
2025年は新NISA導入2年目となるため、2024年にスタートした積立ポートフォリオを引き継ぎつつ、市場環境や金利動向、テーマ株式への投資機会などを考慮して資産配分を見直すことが考えられます。
基本戦略・考え方
- 長期的なコアポートフォリオの維持:
つみたて投資枠で購入している長期目線の国際分散インデックスファンド(全世界株式、S&P500、先進国株式インデックスなど)は、基本的に売却せず「コア」として維持。ドルコスト平均法により長期的な資産形成を狙う。 - 債券・低ボラティリティ資産の活用:
世界的な金利動向や2025年時点のマーケット環境によっては、リスク分散として一部債券ETFや債券インデックスファンド(米国債やグローバル債券など)への投資も検討。新NISAでは基本的に成長投資枠での選択肢となるが、金利上昇局面で購入した債券は将来的な安定収益源になる可能性がある。 - 成長投資枠でのテーマ投資・高成長株ETF・質の高い個別株への分散:
成長投資枠では、単純なインデックスに加え、グロースETF(NASDAQ100連動など)、セクターETF(クリーンエネルギー、AI、医療テック)、あるいは配当成長が見込まれる優良な日本株や海外株にも分散投資できる。
2025年時点は、AIや再生可能エネルギー、EV関連など、中長期的な成長が期待されるテーマへの一定割合の組み入れを検討することで、ポートフォリオ全体の成長余地を高められる可能性がある。 - コスト管理の徹底:
つみたて枠、成長枠ともに、基本は信託報酬の低いインデックスファンドを主軸とすることで、長期的なコスト削減を図る。テーマ型やアクティブ運用の商品は一部比率に留め、全体でコストを抑制。 - リバランスの実施:
2年目である2025年には、初年度に組成したポートフォリオが市場変動によって資産比率がずれている場合が多い。定期的なリバランスを行い、目標アセットアロケーションに近づけることで、リスク・リターン特性を安定化させる。
具体的なポートフォリオ例(イメージ)
以下は、リスク許容度が中程度の投資家を想定した一例です(※目安であり、個人の状況に応じて変更が必要):
- つみたて投資枠(長期・分散コア) 60%
- 全世界株式インデックスファンド:30%(オルカン)
- 先進国株式インデックス(もしくはS&P500)ファンド:20%
- 新興国株式インデックスファンド:10%
- 成長投資枠(サテライト的な成長・テーマ投資) 40%
- 世界債券インデックス or 米国債ETF:10% (安定性確保)
- 成長セクターETF(AI関連、クリーンエネルギー、ヘルスケアなど):15%
- 日本国内の高配当・増配が期待される優良株 or 海外優良株(ADRやグローバル銘柄):10%
- 現金相当資産(短期債ETFなど)で一定の待機資金:5%
ポイント
- 成長投資枠を活用し、長期目線のインデックス投資にプラスして、中期的なテーマや特定セクターへの投資機会を取り入れる。
- 債券を一定割合組み入れることで、株式市場変動時のクッションとする。
- コアとサテライトの役割分担を明確にし、コアで市場平均を長期的に取り込みつつ、サテライトで追加のリターン追求を図る。
- 毎年の非課税枠を活用しながら、リバランスでポートフォリオ全体のバランスを整える。
2025年にトランプ政権再登場を想定したポートフォリオ
基本方針をもとに、2025年の新NISA投資戦略として、コスト効率と分散効果を重視したポートフォリオ構築の例を出しましたが、2025年にトランプ政権再登場を想定したリスクマネジメントを重視した新NISAポートフォリオ例をお出しします。基本方針を土台としつつ、政権交代による政策リスク、地政学的リスク、ドルの強弱、貿易摩擦、金融市場のボラティリティ増大などを踏まえたアセットミックスを考えます。また、暗号資産を2%程度組み入れ、分散効果および新たな成長機会を狙います。
戦略的な考え方
- 長期インデックス投資(コア)の維持・強化:
トランプ政権下では、米国株式市場が財政刺激策や規制緩和により一時的な活況を呈する可能性がある一方、外交政策リスクや通商摩擦リスクが高まる懸念も。こうした不確実性を考慮し、世界株式インデックスや先進国インデックスなど、地域・セクター分散の広いコア資産を維持。 - 安全資産・ヘッジ資産の強化:
政治的混乱や貿易摩擦増加が想定される場合、株式市場のボラティリティ上昇に備える。米国債やグローバル債券、金(ゴールドETF)などの安全資産を一定割合組み入れ、下落局面でのクッションを確保。 - 為替リスク・地域分散の考慮:
米国中心のポートフォリオでは、政策リスクやドル安・ドル高サイクルへの影響を受けやすい。先進国・新興国・国内(日本)資産をバランス良く組み入れ、為替ヘッジや通貨分散型ファンドも検討。 - テーマ型投資(成長投資枠)の慎重な選定:
AI、クリーンエネルギー、医療テックなど成長テーマは継続注目領域だが、トランプ政権下で環境規制が緩和される場合、クリーンエネルギー関連は政策支援が減少する可能性がある。逆に、化石燃料関連セクターや軍事・防衛関連は恩恵を受けやすい。テーマ選定時は政策変化に柔軟に対応できるバランスを検討。 - 暗号資産2%組み入れ:
ビットコインやイーサリアムなど主要暗号資産ETF(現時点で新NISAで扱える商品を想定)を2%組み込み、非相関資産としての役割や技術革新・インフレヘッジのポテンシャルを狙う。 - 定期的なリバランスと相場状況のモニタリング:
米国政策の影響は相場に織り込み済みの場合も多く、過剰なポジション変更は不要。一方、随時ニュースや政策発表をウォッチし、極端なリスクに対してはリバランスで対応。
ポートフォリオ例(目安)
つみたて投資枠(長期・広範囲分散: 約60%)
- 全世界株式インデックスファンド:25%
(米国、欧州、日本、新興国含む分散で政権交代リスクを均す) - 米国中心先進国株式インデックスファンド (S&P500やMSCIコア):20%
(米国の成長余地活用。ただし政権リスク分散のため過度な偏り回避) - 新興国株式インデックスファンド:5%
(ポートフォリオ全体の成長余地確保。ただしトランプ政権下での貿易リスクを考慮し比率低め) - 日本株式インデックスファンド:10%
(国内資産比率確保。政策リスクが比較的米国直接影響より穏当)
成長投資枠(約40%)
- 債券(米国債・グローバル債券ETF):10%
(政治・市場ボラティリティ増大時の安全弁) - ゴールドETF:5%
(地政学的リスクやインフレヘッジ、ドル変動リスク抑制) - テーマ型ETF・銘柄(合計15%)
- AI・先端技術ETF:5%
- エネルギー関連ETF(従来型エネルギーやインフラ銘柄等):5%(政権交代でクリーンエネルギー支援減少がある場合、従来型も組み入れバランス)
- 防衛・宇宙関連ETF/銘柄:5%(地政学リスク増加時の需要増を想定)
- 暗号資産ETF(ビットコイン・イーサリアム):2%
- 短期債ETF・MMF等のキャッシュ等価資産:8%
(ボラティリティ増加への備え。下落局面で買い増し余力確保)
合計:
つみたて枠合計:60%
成長投資枠合計:40%(うち暗号資産2%を含む)
ポイントまとめ
- トランプ政権再登場に伴う政策リスクを受けて、グローバル分散を徹底。
- 債券、ゴールド、短期資産を増やし、防御的な要素を強化。
- テーマ投資はAIや防衛、エネルギーなど政権影響を踏まえつつ、ポートフォリオ全体で過度なセクター偏重を避ける。
- 暗号資産を2%組み入れ、非相関性や将来性を一定程度取り込み。
- 定期的なリバランスと情報収集により、政権交代後の市場変化に柔軟対応。
以上は一例であり、実際の運用にあたっては自身のリスク許容度、運用目的、最新の市場・政策動向を踏まえて調整が必要です。
米国インデックスファンドの最大下落率を想定する目安
次に2025年も2024年8月のような下落局面は必ずあると想定し過去の経験をもとにした、2025年における米国インデックスファンド(S&P500などの広範な米国株指数)の最大下落率を想定する目安と、そのリスクヘッジ方法の考え方です。
過去から類推した最大下落率の目安
歴史的に米国株式市場は、約10年から20年スパンで大きな下落(ベアマーケット)を経験してきました。主な下落局面としては以下が挙げられます。
- 2000年~2002年 ITバブル崩壊:S&P500は約50%前後下落
- 2007年~2009年 リーマンショック(金融危機):S&P500はピークからボトムまで約57%下落
- 2020年 新型コロナショック:短期間でS&P500は約34%程度下落
これらの過去事例から、深刻な経済危機や政策混乱、地政学的リスクが顕在化した場合、米国インデックスが30%~50%程度下落するシナリオは現実的なリスクとして考えられます。2025年においてトランプ政権下で不確実性が増す場合、貿易摩擦再燃、国際協調の低下、金融市場の混乱が起きれば、30%超の下落も十分起こり得ます。最悪シナリオとしては過去最大級(50%近いドローダウン)も完全には否定できません。
リスクヘッジの考え方
- 資産クラスの分散
- 債券:特に米国債、先進国国債などは株式下落局面で相対的に値上がりしやすく、資産価値を下支えします。
- ゴールド(貴金属):地政学リスク・インフレリスクが高まる局面で「安全資産」として買われることが多く、株式下落時のヘッジになり得ます。
- キャッシュポジションや短期債:下落局面での追加投資余力確保、値下がりした株式の買い増しのための「火力」として。
- 地域・通貨分散
米国偏重を避け、欧州株、新興国株、日本株など、異なる経済圏へ分散することで、一国特有の政策リスクを軽減します。ドルのみならず円資産や他通貨建て資産を組み入れ為替リスクも分散します。 - 低ボラティリティ株式ファンドやディフェンシブセクター
生活必需品、公益事業、ヘルスケアなど景気敏感度が比較的低いセクターへ一部資金を振り向けることで、下落相場での相対的な下支え効果が期待できます。 - オプション・インバースETF・ボラティリティ商品でのヘッジ(ただし新NISA制度下で利用可能な商品には制約がある可能性)
一般口座や特定口座を併用できるなら、- プットオプション購入による下落ヘッジ
- インバースETF(市場が下がると価値が上がるETF)の活用
- VIX連動ETFでの変動率上昇によるヘッジ
などテクニカルな手法も考えられますが、コストや商品特性の理解が必須です。
- 暗号資産による一部分散
暗号資産は株式市場との相関が低い局面もあり、2%程度の小規模組み入れはポートフォリオ全体のリスク特性改善に僅かながら寄与する可能性があります。ただし暗号資産は極めてボラティリティが高く、リスクヘッジとして機能するかは不確定要素が大きいため、期待しすぎないことが重要です。
まとめ
- 最大下落率目安:30~50%程度(過去の大幅下落局面に準じた想定)
- リスクヘッジ策:
- 債券、ゴールド、短期債など安全資産の組み込み
- 地域・通貨・セクター分散による分散効果の強化
- コストと商品特性を理解した上でのオプション、インバースETF等の利用
- 暗号資産2%組み入れによる潜在的な非相関性活用(過度な期待は禁物)
これらの対策を組み合わせることで、仮に2025年に大きな下落が生じても、ポートフォリオ全体のダメージを軽減し、長期的な資産形成を継続できるようになります。
最後に投資家のみなさまには馬の耳に念仏とは思いますが 初心に帰り念のため
株価が大暴落した際の精神的な安定を保つためのアプローチを以下にまとめました。これは予測できない金融市場の変動に対処するために役立つでしょう。
1. 投資方針を振り返る
- 長期目線を確認
株価の一時的な下落は、長期的な上昇トレンドの中の一部であることが多いです。投資の目的(老後資金形成、資産の成長など)を思い出し、感情的な判断を避けましょう。 - 分散投資を再確認
すでに分散投資を行っている場合、大暴落がポートフォリオ全体に与える影響を限定的に抑えられている可能性があります。
2. 冷静さを保つ
- 売却を急がない
大暴落時に売却を急ぐと、安値で損失を確定させてしまう可能性があります。マーケットが回復するまで時間を持つことが重要です。 - 騒がしいニュースに流されない
メディアは不安を煽る傾向がありますが、それに惑わされず、自分の投資戦略に集中しましょう。
3. リスク管理
- キャッシュフローを確認
日々の生活費や将来の出費を確認し、急ぎ必要なお金が投資に縛られていないことを確かめてください。大暴落時には、追加投資のチャンスが訪れることもあります。 - 積立投資を継続
もし積立投資(ドルコスト平均法)を行っているなら、大暴落は「割安」で買い付ける好機と捉えられます。
4. 大暴落の「学び」にする
- 市場の歴史を学ぶ
過去の暴落(リーマンショック、ITバブル崩壊など)を振り返ると、時間とともに市場が回復している事例が多いことが分かります。これが心の支えになるでしょう。 - 弱点を見直す
今回の暴落で心理的に大きなダメージを受けた場合、資産配分やリスク許容度を再評価する良い機会です。
5. 日常を充実させる
- 健康や趣味に集中
投資以外の活動(家族と過ごす時間、趣味、運動)に意識を向けることで、不安を軽減できます。 - 小さな喜びを見つける
大暴落中でも日々の生活の中で「感謝」や「楽しみ」を見つけることが、気分の安定に繋がります。
6. ポジティブな視点を持つ
- 「ピンチはチャンス」
大暴落は、一見ネガティブに見えますが、資産形成の長期的な観点ではチャンスとも捉えられます。 - 将来への期待
暴落は新たなスタート地点です。市場が回復し、新しい投資機会が生まれる可能性があります。
株価の暴落時は心理的な試練の場となりますが、これらのポイントを念頭に置くことで、感情的な判断を避け、冷静な投資を続ける助けになる事とおもいます。
2024年は良い年で終わる予感がしますが2025年もみなさまの資産が増える事を切望しています。
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