📌 PBR・PER・ROEの意味と相関関係とは?
PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、ROE(自己資本利益率)は、企業の財務指標として非常に重要な関係性を持ち、企業の収益力・成長性・株価の割安度を測るために使われます。それぞれの意味と相関関係を以下に整理し、最後に実在企業の例を挙げます。
🔍 各指標の意味
指標 | 意味 | 計算式 | 投資家にとっての意味 |
PER(株価収益率) | 企業の利益に対して株価が割高かどうか | PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり利益) | 低いほど「割安」とされる |
PBR(株価純資産倍率) | 企業の純資産に対する株価の水準 | PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産) | 1倍以下なら解散価値以下で「割安」 |
ROE(自己資本利益率) | 株主資本を使ってどれだけ利益を出しているか | ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 高いほど収益性が良い |
📈 相関関係:PBR = PER × ROE
この関係から以下のような特徴が読み取れます:
状況 | 解釈 |
ROEが高く、PERが低い | 株価が割安かつ高収益な優良企業(お買い得) |
ROEが低いのにPERが高い | 成長期待が織り込まれすぎている可能性あり |
PBRが1倍を大きく下回る | 資産価値から見て株価が割安、ただしROEが低い企業も多い(バリュートラップに注意) |
🏢 実在企業の指標(2025年5月時点、概算値)
企業名 | PER | ROE | PBR | コメント |
三菱UFJフィナンシャルG(8306) | 約11倍 | 約8% | 約0.9倍 | 割安感あり |
キーエンス(6861) | 約35倍 | 約17% | 約6倍 | 高PERだが高ROEで成長株 |
JT(2914) | 約13倍 | 約12% | 約1.5倍 | 安定収益、高ROE |
東京電力HD(9501) | 約7倍 | 約2% | 約0.4倍 | ROEが低く株価は伸び悩みやすい |
💡 投資判断の使い分け
- バリュー投資:PBRが1倍以下、PERも低めだがROEが低い企業は注意。
- グロース投資:PERは高くてもROEが高い企業は将来性あり。
- 理想型:PER15倍以下、ROE10%以上、PBR1~2倍。

2025年5月時点でのPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)の観点から投資妙味があると考えられる日本株10銘柄です。
📊 投資妙味のある日本株10選(2025年5月時点)
銘柄名(コード) | PER | PBR | ROE | コメント |
INPEX(1605) | 約8倍 | 約0.45倍 | 約12% | 資源株で高収益・割安 |
日本製鉄(5401) | 約7倍 | 約0.58倍 | 約10% | 利益改善と株主還元 |
三菱UFJ(8306) | 約11倍 | 約0.95倍 | 約8% | 割安感あり |
トヨタ(7203) | 約9倍 | 約0.93倍 | 約10% | 安定収益・EV対応 |
キーエンス(6861) | 約35倍 | 約6倍 | 約17% | 成長性高評価 |
サンリオ(8136) | 約32倍 | 約14倍 | 約45% | 高ROEの象徴 |
HIOKI(6866) | 約11倍 | 約2倍 | 約15% | 割安で好業績 |
住友金属鉱山(5713) | 約10倍 | 約0.48倍 | 約12% | 資源関連で割安 |
三井住友FG(8316) | 約10倍 | 約0.81倍 | 約9% | 安定収益と高配当 |
オリックス(8591) | 約9倍 | 約0.78倍 | 約11% | 多角化と割安感あり |
これらの銘柄は、PERが低く割安でありながら、ROEが高く収益性に優れている点が共通しています。また、PBRが1倍未満の銘柄は、企業の純資産と比較して株価が割安と評価されることが多いです。
投資を検討する際は、これらの指標に加えて、業界動向や企業の成長戦略、財務状況なども総合的に分析することが重要です。
ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、日本の5大総合商社(伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事)への投資を拡大し、各社の株式を最大で約9.8%まで保有しています。2024年末時点での総投資額は約235億ドル(約3.5兆円)に達しており、バフェット氏はこれらの投資を「50年、あるいは永久に保有する」と述べています。
📉 割安と判断した理由
バフェット氏が日本の総合商社株を「割安」と評価した背景には、以下の要素があります:
- 低PBR(株価純資産倍率)と低PER(株価収益率):商社株はPBRが1倍未満、PERも10倍以下と、企業価値に対して株価が割安と判断される水準にありました。
- 高い配当利回り:購入時点での配当利回りは約9%と、安定したインカムゲインが期待できる水準でした。
- 多角的な事業構造:総合商社はエネルギー、金属、食料、物流など多岐にわたる事業を展開しており、バークシャー・ハサウェイのビジネスモデルと類似している点が評価されました。
- 株主重視の経営姿勢:増配や自社株買いなど、株主還元を積極的に行う姿勢が見られました。
- 経営陣への信頼:各社の経営陣が信頼できると判断されたことも、投資判断の一因となりました。
これらの要素が組み合わさり、バフェット氏は商社株を「割安で魅力的な投資先」と評価しました。
💼 バフェット氏が注目する日本の5大商社
バークシャー・ハサウェイが保有する日本の総合商社(2025年3月時点):
商社名 | 保有比率(%) |
三井物産 | 9.82 |
三菱商事 | 9.67 |
丸紅 | 9.30 |
住友商事 | 9.29 |
伊藤忠商事 | 8.53 |
投資理由には「低PER・PBR」「高配当利回り」「経営陣への信頼」「株主重視の姿勢」などがあります。
バークシャー・ハサウェイは、これらの商社株への投資により、2024年末時点で約97億ドルの含み益を得ています。また、為替差益として約23億ドルが発生しており、合計で約120億ドルの利益となっています。
バフェット氏の投資判断は、企業の本質的価値に着目し、長期的な視点での成長性や安定性を重視するものです。日本の総合商社は、これらの観点から魅力的な投資先として評価されており、今後の動向にも注目が集まっています。
📊 5大商社の財務・配当状況(2025年5月)
商社名 | PER | PBR | ROE | 配当利回り | 連続増配 | 年間配当(予想) |
伊藤忠商事 | 約11.7倍 | 約1.98倍 | 約17.8% | 約2.8% | 9期 | 200円 |
三菱商事 | 約9.6倍 | 約1.1倍 | 約12.0% | 約4.0% | 6期 | 110円 |
三井物産 | 約9.3倍 | 約1.09倍 | 約12.0% | 約4.1% | 6期 | 115円 |
住友商事 | 約10.0倍 | 約1.2倍 | 約10.0% | 約3.5% | 5期 | 140円 |
丸紅 | 約8.7倍 | 約1.2倍 | 約11.0% | 約3.8% | 4期 | 130円 |
💡 補足情報
- 伊藤忠商事:非資源分野の強化により、安定した収益基盤を構築。累進配当政策を採用し、9期連続で増配を実施しています。
- 三菱商事:2025年度に1兆円規模の自己株式取得を計画しており、株主還元を強化しています。
- 三井物産:資源・非資源分野のバランスが取れた事業構造を持ち、6期連続で増配を実施。年間配当は6年間で2.8倍に増加しています。
- 住友商事:中期経営計画において、総還元性向を40%以上とする方針を掲げ、配当と自己株式取得を通じた株主還元を進めています。
- 丸紅:資源価格の上昇を背景に業績が好調で、配当性向30%を維持しつつ、4期連続で増配を実施しています。
これらの商社は、安定した収益基盤と積極的な株主還元策を背景に、投資家からの注目を集めています。特に、PERやPBRが相対的に低く、配当利回りが高い点は、バリュー投資家にとって魅力的な要素となっています。また、連続増配を続ける姿勢は、長期的な株主価値の向上を示す指標として評価されています。

上記から丸紅 のIR詳細情報を抜粋します。
📌 丸紅のIR情報(2025年3月期 第3四半期)
丸紅株式会社(証券コード:8002)は、総合商社として多岐にわたる事業を展開し、投資家向けに詳細なIR(投資家向け情報)を提供しています。以下に、最新の財務情報、配当政策、経営戦略など、IRに関する主要なポイントをまとめました。
📊 財務・業績情報(2025年3月期 第3四半期)
2025年2月に発表された第3四半期決算短信によると、丸紅の連結業績は以下の通りです:
- 収益:約2兆5131億円
- 営業利益:約933億円
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益:約1426億円
詳細な数値やセグメント別の情報については、2025年3月期 第3四半期決算短信をご参照ください。
💰 配当政策と株主還元
丸紅は、安定的かつ継続的な配当を重視し、株主還元を強化しています。2025年3月期の年間配当予想は1株あたり130円であり、これは前期比で増配となります。また、自己株式の取得も積極的に行い、総還元性向の向上を図っています。
📈 経営戦略と中期経営計画「GC2024」
丸紅は中期経営計画「GC2024」を策定し、以下の3つの柱を掲げています:
- 稼ぐ力の継続強化:既存事業の収益力向上と新規事業への投資を通じて、持続的な成長を目指します。
- ROEの維持・向上:資本効率を重視し、ROEの向上を図ります。
- 株主資本コストの低減:資本コストを意識した経営を推進し、企業価値の最大化を目指します。
詳細な戦略や取り組みについては、統合報告書2024をご参照ください。
🌱 サステナビリティとESGへの取り組み
丸紅は、持続可能な社会の実現に向けて、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを強化しています。具体的には、再生可能エネルギー事業への投資拡大や、サプライチェーン全体での環境負荷低減などを推進しています。これらの取り組みは、統合報告書2024に詳しく記載されています。
🔗 IR関連リンク
- IRトップページ:https://www.marubeni.com/jp/ir/
- 決算短信・説明会資料:https://www.marubeni.com/jp/ir/library/
- 統合報告書・サステナビリティ報告書:https://www.marubeni.com/jp/ir/reports/
丸紅は、安定した財務基盤と積極的な株主還元、持続可能な社会への貢献を通じて、長期的な企業価値の向上を目指しています。
✅ まとめ
本記事では、PBR・PER・ROEという三大指標の関係性を明らかにしつつ、投資家が注目すべき日本株を具体的に紹介しました。バフェット氏の投資行動からも学べるように、「低PER・低PBR・高ROE・高配当」といった視点で企業を選定することは、長期的なリターンに繋がる可能性が高まります。
投資判断では、財務指標だけでなく、企業戦略・経営姿勢・業界動向といった広い視野での分析が欠かせません。



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