2025年4月を境に、日本株式市場は明確なトレンド転換を迎えました。
株価は力強く上昇し、昨年は日本株のパフォーマンスが米国株を上回る局面も見られています。
この背景には、
・海外マネーの再流入
・企業統治改革の進展
・円安による業績の押し上げ
・株主還元姿勢の変化
といった複数の要因が重なっています。
とりわけ象徴的なのが、金融庁や東京証券取引所による
・PBR1倍割れ企業への改善要請
・ROE向上の明確化
・資本効率を重視した経営姿勢の促進
といった構造改革です。
これを受け、多くの企業が
・増配
・自社株買い
・政策保有株の売却
へと舵を切り始めました。
一見すると、高配当株投資家にとって理想的な環境に見えます。
しかし実際には、まったく逆の状況が進行しています。
高配当株投資家が直面している“静かな危機”
最大の問題は、株価の上昇スピードがあまりにも速いことです。
企業が増配を実施しても、それ以上のペースで株価が上昇してしまうため、
「配当利回りが低下する」
という現象が市場全体で起きています。
つまり、
・企業業績は確実に改善している
・株主還元も増えている
・それにもかかわらず利回りは下がっていく
という、非常に悩ましい局面に入っているのです。
かつて配当利回り4〜5%あった優良銘柄も、気づけば2%台。
現在の日本市場は、
「高配当株が減った」
のではなく、
“高配当株に見えなくなった”
という状態に近いと言えるでしょう。
今は「利回りを買う相場」ではありません
多くの個人投資家はいまだに、
・配当利回り4%以上
・できれば5%以上
といった条件で銘柄を探しています。
しかしこの方法では、
・業績がピークアウトしている企業
・構造的に成長が見込めない業種
・減配リスクの高い銘柄
ばかりが残りやすくなってしまいます。
今の相場で本当に重要なのは、
「将来の配当利回り」
です。
たとえば、
今は3% → 数年後4.5%
今は2.8% → 将来5%
このように、配当が“育っていく企業”を見抜けるかどうか。
ここが大きな分かれ道になります。
高配当株は「完成形」ではなく「変化の初動」を狙う
現在の日本株で最もリターン効率が高いのは、すでに完成された高ROE企業ではありません。
むしろ、
・ROEが6%から9%へ改善途中
・余剰現金を抱えている
・配当方針の見直しを始めている
・自社株買いを検討している
といった、
“経営が変わり始めた企業”
こそが狙い目です。
こうした企業は、まだ市場の評価が十分に追いついておらず、
プロの資金はこのゾーンに静かに流れ込んでいます。
今の日本市場で使える「高配当発掘フレーム」
ここからは実践的な視点で整理していきます。
現在の相場で重視している考え方です。
① 利回りは3%以上あれば合格
4%以上という条件にはこだわりません。
その代わり、
・配当成長の余地
・財務の健全性
を重視します。
② 累進配当またはDOE採用を最優先
これは最重要項目です。
累進配当やDOE(株主資本配当率)を掲げる企業は、
「配当を下げない」という強い意思を持っています。
株価が上昇しても、配当が後追いしてくる仕組みが組み込まれているのです。
③ フリーキャッシュフローを見る
利益よりも、
「現金が残っているか」
を確認します。
フリーキャッシュフローが安定して黒字であれば、増配余力は十分にあります。
④ セクターを意図的に分散させる
商社・銀行・半導体関連だけに偏るのは危険です。
あえて、
・物流
・インフラ
・素材
・地方金融
といった“地味な分野”を組み合わせます。
SNSであまり話題にならない場所にこそ、配当の原石が眠っています。
⑤ 最後は「配当簿価」で判断
下記は重要ポイントです。
たとえば、
簿価利回り5% → 時価利回り2.8%
この状態は、すでに高配当株としては“卒業”と考えます。
一部を利確し、新たな3%台銘柄へ資金を回すだけで、
ポートフォリオ全体の配当成長率は大きく改善します。
チェックリスト(保存版)
銘柄を見る際は、次の項目を順に確認します。
・利回り3%以上
・累進配当またはDOEあり
・ROEが改善トレンド
・フリーCF黒字
・ネットD/Eが健全
・セクター偏重がない
・配当簿価4%以上
7項目中5つ以上クリアで「投資検討ライン」です。
今は「農業型高配当投資」の時代
最後に最も大切な考え方です。
今の日本市場は、短期で利回りを刈り取る相場ではありません。
これは、
植える → 育てる → 実る
という農業型投資のフェーズです。
今は3%でも、数年後に5%、6%になる銘柄を仕込む。
気づけば簿価利回り6%。
これが、現在の日本高配当投資における“勝ち筋”だとCPは考えています。
まとめ
現在の日本株市場では、
「高配当株が消えた」
のではありません。
“見えにくくなっただけ”です。
表面的な利回りではなく、
・配当成長
・資本効率の改善
・経営の変化
ここに注目すれば、まだ十分にチャンスはあります。
むしろ今は、
次の5年分の配当を仕込める極めて貴重なタイミング
そう捉えています。




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