半導体バブルの最前線!ASML・TSMC決算×SOX指数で読み解く2025年後半投資戦略

はじめに

2025年7月、半導体業界の二大巨頭・ASMLとTSMCが相次いで決算を発表し、市場は大きく揺れ動きました。ASMLは慎重なガイダンスにより株価が急落、一方のTSMCは堅調な売上・純利益で市場予想を大きく上回り、関連株が反発。さらに、PHLX半導体指数(SOX)はAI特需を追い風に年初来+25%超の上昇を記録しています。

本記事では、

  1. ASML/TSMCのQ2決算の要点
  2. SOX指数の動向と今後のシナリオ
  3. Microsoft、Apple、Alphabet、Teslaなどビッグテックへの影響
  4. 2025年後半の半導体関連株投資戦略

投資初心者から上級者まで役立つ情報をお届けします。


1. ASML決算:守りのガイダンスで株価急落

1.1 Q2の実績

  • 売上高: €7.7B(前年同期比+22%)
  • 純利益: €2.3B(前年同期比+28%)
    いずれも予想を上回る好決算でしたが…

1.2 重しとなった2026年見通し

  • 第3四半期ガイダンスを€7.4–7.9Bに設定
  • 「マクロ経済環境と顧客の設備投資に不透明感」とのコメント
    → 成長確約なしを嫌気し、株価は発表翌日に10%超の急落

1.3 市場心理と米中リスク

  • トランプ前政権時代からの「半導体追加関税リスク」が再燃
  • 中国顧客への許可遅延懸念
    → 投資家心理が冷え込み、東京エレクトロンやレーザーテックなど日本関連株にも利益確定売りが広がった

2. TSMC決算:AI特需がけん引する過去最高益

2.1 Q2業績サマリー

  • 売上高: 9,338億台湾ドル(約319億米ドル、前年同期比+38.6%)
  • 純利益: 3,983億台湾ドル(約135億米ドル、前年同期比+60.7%)

2.2 成長ドライバー

  • AIチップ需要の急拡大
    • NVIDIA向け5nm/7nmプロセスがフル稼働
    • データセンター向け発注増加
  • モバイル以外への多角化
    • 自動車、IoTデバイス向けの中間ノード需要も堅調

2.3 為替と粗利益率への影響

  • 台湾ドル高が粗利を若干圧迫
  • ただし、価格転嫁力の高さで粗利益率は45%前後を維持

3. SOX指数(PHLX半導体指数)の躍動

3.1 直近パフォーマンス

  • 2025年上期: +26.9%
  • 7月16日終値: 5,696.21ポイント

3.2 テクニカル分析

  • 現在は5,500–6,000ptのレンジを上下
  • AI特需期待で6,000pt奪回を試す強気ムード
  • 在庫調整や米長期金利動向で5,200pt付近への一時調整リスク

4. ビッグテックへの波及効果

4.1 Microsoft(MSFT)

  • 自社AIチップ「Maia 200」の投入延期 → NVIDIA依存継続
  • AzureのAIサービス拡大でデータセンター投資は底堅い

4.2 Apple(AAPL)

  • TSMC依存度100%の「A/Mシリーズ」チップ生産維持
  • iPhone 17・次期Mac向け需要でTSMCへの発注は堅調

4.3 Alphabet(GOOGL)

  • 自社TPU+Broadcom設計ASICでTSMC・GFファウンドリ活用
  • Gemini AIモデル拡大で半導体需要を多角化

4.4 Tesla(TSLA)

  • STMicroelectronicsの需給懸念 → 車載向けコントローラに影響
  • 自社AIチップ「Dojo」開発でTSMC先端プロセス需要増大の可能性

5. 2025年後半の投資戦略シナリオ

シナリオ強気要因弱気要因想定SOXレンジ
① AI特需延長大手クラウド/AI企業の積極投資継続顧客在庫調整の遅れ6,000–6,500
② 調整局面米利下げ遅延・米中リスク再燃5,200–5,600
③ 超ダウンサイド地政学ショック/為替急変動5,000割れ

5.1 銘柄別アクションプラン

  • TSMC・UMC:第3Qガイダンス押し目で買い増し
  • ASML・東京エレクトロン・レーザーテック:技術移行進展時に中長期保有
  • Broadcom・Marvell:カスタムAI/5G需要を取り込む成長型銘柄
  • Microsoft/Google/Apple:クラウドAI・新製品サイクルを注視
  • Tesla:Dojo開発の進捗と車載半導体需給をウォッチ

おわりに

ASMLの守りのガイダンス、TSMCのAI特需一色となった好決算、そしてSOX指数の高騰──2025年後半の半導体市場は「熱狂と調整」が交錯する展開となります。世界のマクロ要因とテクニカル動向を押さえ、主要銘柄を巧みに組み合わせることで、リスクを抑えつつリターンを追求できるでしょう。これから米株、日本株共 ぞくぞく決算が発表となりますが先を見据えた投資判断が必要になります。

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