定年後も働き続ける方が増えている今日、再雇用時の社会保険料負担は大きな関心事です。本記事では、標準報酬月額の決定時期と同日得喪制度に焦点を当て、労働者にとってのメリット・デメリットを解説します。
標準報酬月額の決定時期
標準報酬月額は、原則として毎年7月1日に見直されます(定時決定)。しかし、再雇用時には以下の点に注意が必要です:
- 再雇用直後の標準報酬月額:
- 再雇用時の給与が大幅に下がる場合、速やかに随時改定の手続きを行うことで、社会保険料負担を適正化できます。
- メリット:
- 早期の随時改定により、過大な保険料負担を避けられます。
- デメリット:
- 手続きを怠ると、高い標準報酬月額のまま保険料を支払い続ける可能性があります。
同日得喪制度
同日得喪制度は、退職日と再雇用日が同日の場合に適用される制度です。
- 制度の概要:
- 退職と入社が同日の場合、社会保険の資格を継続させることができます。
- メリット:
- 健康保険の給付を受ける際の待機期間がなくなります。
- 年金の受給資格に影響を与えません。
- デメリット:
- 標準報酬月額が下がらない可能性があるため、随時改定の申請が必要な場合があります。
労働者のための注意点
- 再雇用条件の確認:
- 給与や勤務時間の変更を事前に確認し、社会保険料負担の変化を予測しましょう。
- 随時改定の申請:
- 給与が大幅に下がる場合は、会社と相談の上、随時改定の申請を検討しましょう。
- 同日得喪制度の活用:
- 可能な限り、退職日と再雇用日を同日にすることで、保険の継続性を確保しましょう。
- 将来の年金への影響:
- 標準報酬月額の低下は将来の年金額に影響する可能性があります。長期的な視点で検討することが重要です。
- その他の注意点
- 健康保険の傷病手当金: 健康保険の傷病手当金を受給している場合は、再雇用後の標準報酬月額に基づいて給付額が再計算されるため、給付額が減額される可能性があります。
- 事業主の手続き: 同日得喪制度を利用するためには、事業主が手続きを行う必要があります。手続きが遅れると、その間は高額な保険料を負担し続ける可能性があります。
- 標準報酬月額の改定: 標準報酬月額は、原則として4か月ごとに改定されます。そのため、再雇用後も、一定の期間ごとに標準報酬月額が見直される可能性があります。
定年再雇用時の社会保険料負担は、個人の生活に直接影響を与える重要な問題です。制度を正しく理解し、適切に活用することで、働きやすい環境を整えることができます。
まとめ
定年再雇用時の保険料負担を軽減するためには、再雇用直後に同日得喪制度を利用することが最も効果的です。
定年再雇用時の社会保険料負担を適切に管理するためには、以下の点に注意しましょう:
- 標準報酬月額の決定時期を把握し、必要に応じて随時改定を申請する
- 同日得喪制度を活用し、保険の継続性を確保する
- 長期的な視点で、年金への影響も考慮する
これらの点に注意を払うことで、再雇用後も安定した社会保障を受けながら、働き続けることができるでしょう。
在職老齢年金制度の改定も行われていますので働きながら年金を受給する事も視野に入れていきましょう。(制度変更を理解したうえで)
基本的に労働人口が減少している中、シニア層の労働力に期待しさらに年金を受給しながら社会保険料等の税金もたくさん払ってね!の方針。これからの日本を支えていただける若い世代にとってメリットのある法改正が必要なのではないでしょうか。
コメント