先ずは米国債投資の基本
米国債(アメリカ国債)は、アメリカ合衆国政府が発行する債券であり、その高い信用力と流動性から、多くの投資家にとって魅力的な投資対象となっています。以下に、米国債投資の基本的なポイントをまとめました。
1. 米国債の特徴
- 高い信用力: アメリカ政府が発行するため、デフォルト(債務不履行)のリスクが極めて低く、安全性が高いとされています。
- 流動性の高さ: 世界最大の債券市場で取引されており、必要に応じて容易に売買が可能です。
- 定期的な利払い: 通常、半年ごとに利息が支払われます。
2. 米国債の種類
米国債には、主に以下の種類があります:
- 短期国債(Treasury Bills): 満期が1年以内の割引債で、利息は支払われず、額面より低い価格で発行され、満期時に額面金額が支払われます。
- 中期国債(Treasury Notes): 満期が2年から10年の利付債で、半年ごとに利息が支払われます。
- 長期国債(Treasury Bonds): 満期が10年を超える利付債で、同様に半年ごとに利息が支払われます。
3. 投資方法
米国債への投資は、以下の方法で行うことができます:
- 証券会社を通じて購入: 日本の主要な証券会社(例:SBI証券、楽天証券)で米国債を取り扱っており、口座を開設して購入が可能です。生債券。
- 投資信託やETFを利用: 米国債に投資するファンドやETFを通じて、間接的に投資する方法もあります。
4. リスクと注意点
米国債は安全性が高いとされていますが、以下のリスクや注意点も考慮する必要があります:
- 為替リスク: 米ドル建ての資産であるため、円とドルの為替変動が投資成果に影響を与えます。
- 金利変動リスク: 市場金利の変動により、保有する債券の価格が上下する可能性があります。
- インフレリスク: インフレが進行すると、実質的な利回りが低下する可能性があります。
5. 投資のメリット
- 安定した収益: 定期的な利息収入が期待でき、ポートフォリオの安定化に寄与します。
- 分散投資効果: 株式など他の資産と組み合わせることで、全体のリスクを分散する効果があります。
米国債は、安全性と流動性の高さから、長期的な資産運用やリスク分散を図る上で有効な投資手段の一つです。投資を検討する際は、上記の特徴やリスクを十分に理解し、ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて判断することが重要です。
ご参考:
米国債券投資の最適な証券会社はSBI証券
取扱銘柄数が35銘柄と豊富で、額面100米ドルから購入可能です。また、SBI新生銀行や住信SBIネット銀行を利用することで、外貨の入出金手数料が無料になるなど、コスト面でも優れています。
2025年トランプ政権の米国債10年物利回りの展望は?
2025年の米国10年物国債利回りは、トランプ政権の政策や米国の財政状況に大きく影響されると予想されています。
ティー・ロウ・プライスの報告によれば、トランプ政権の減税政策や関税・移民政策によるインフレ圧力の高まり、そして米国の財政赤字の拡大が、10年物米国債利回りを2025年第1四半期に5%、さらに6%にまで押し上げる可能性があると指摘されています。
また、フランクリン・テンプルトンの債券部門最高投資責任者であるソナル・デサイ氏も、米国の財政赤字が大幅に膨らむとの見方から、10年物米国債利回りが5%を上回る可能性があると述べています。
さらに、JPモルガン・アセット・マネジメントも、トランプ氏の公約が実現すれば、10年物米国債利回りが再び5%に達する可能性があると予測しています。
これらの見解は、トランプ政権の政策が米国の財政赤字を拡大させ、インフレ圧力を高めることで、長期金利の上昇につながるとの共通認識に基づいています。
一方、米国の政策金利と10年国債利回りの見通しについては、野村證券のレポートが参考になります。
米国債の戦略は
米国債の償還日を分散させることで、毎年安定した利回りを得る戦略として「ラダー型投資」があります。
これは、異なる満期日の債券に均等に投資し、定期的なキャッシュフローと金利変動リスクの軽減を図る方法です。
具体的には、以下の手順で実践します:
- 投資期間の決定:投資期間を3年から10年など、投資目的や市場状況に応じて設定します。
- 均等な資金配分:各年限の債券に均等に資金を配分します。例えば、5年間のラダーを組む場合、1年物から5年物までの債券に同額ずつ投資します。
- 定期的な見直し:満期を迎えた債券の元本を再投資し、ラダーの構造を維持します。これにより、金利変動に柔軟に対応できます。
ラダー型投資の主なメリットは以下のとおりです:
- 金利変動リスクの軽減:異なる満期の債券に投資することで、金利変動の影響を平準化できます。
- 定期的な現金化:毎年一定額の債券が満期を迎えるため、安定したキャッシュフローを確保できます。
- 再投資の機会:満期資金をその時点の金利環境に応じて再投資でき、上昇局面でも対応可能です。
ただし、為替リスクや発行体の信用リスクなども考慮する必要があります。
投資信託を活用することで、ラダー型投資を手軽に実践することも可能です。
例えば、米国国債にラダー型で投資するファンドがあります。
ラダー型投資について
ラダー型投資は、異なる満期日の債券に均等に投資することで、金利変動リスクを分散し、安定した収益を目指す手法です。
「ラダー(はしご)」という名称は、各満期の債券を並べた際に、はしごの段のような形状になることに由来します。
ラダー型投資の特徴:
- 分散投資:短期から長期まで、さまざまな満期の債券に均等に投資します。
- 定期的な再投資:満期を迎えた債券の元本を再度最長期の債券に投資し、ポートフォリオの構成を維持します。
メリット:
- 金利変動リスクの軽減:異なる満期の債券に投資することで、金利変動の影響を平均化できます。
- 安定したキャッシュフロー:定期的に満期を迎える債券があるため、安定した現金収入が期待できます。
- 流動性の確保:短期債の保有により、必要に応じて現金化しやすい環境を維持できます。
- 運用の簡便さ:機械的に再投資を行うため、複雑な市場予測やタイミングを計る必要がありません。
デメリット:
- 高収益の機会損失:市場の金利変動に対して中立的な戦略のため、大きな利益を得る機会が限られる可能性があります。
- 再投資の手間:満期ごとに再投資が必要であり、手間がかかる場合があります。
- 債券の入手難易度:希望する満期の債券が市場にない場合、ポートフォリオの構築や維持が難しくなることがあります。
他の投資戦略との比較:
- バーベル型投資:短期債と長期債に集中投資する手法で、金利変動が大きい局面で有利とされます。
- ブレット型投資:特定の期間(通常は中期)の債券に集中投資する手法で、金利が安定している局面で有利とされます。
ラダー型投資は、金利予測が難しい状況や安定した収益を求める投資家に適した手法です。
債券投資の主な手法をまとめた表を作成しました。
まとめ
米国債は、米国政府が発行する高い信用力と流動性を持つ債券であり、短期・中期・長期の3種類があります。投資方法としては、証券会社を通じた直接購入や、投資信託・ETFを利用する方法があります。ただし、為替リスクや金利変動リスク、インフレリスクに注意が必要です。2025年のトランプ政権下では、減税や関税政策によりインフレ圧力が高まり、10年物米国債の利回りが5%以上に上昇する可能性が指摘されています。投資戦略としては、異なる満期の債券に均等に投資する「ラダー型投資」が有効であり、金利変動リスクの軽減や安定したキャッシュフローの確保に役立ちます。また、米国債投資を行う際には、取扱銘柄数や手数料の面で優れたSBI証券の利用を推奨しています。
先日のFRBパウエル議長が政策金利を市場予測通りに0.25%下げましたが米国経済の堅調さやインフレ懸念がくすぶり25年の利下げ回数を減らす思惑が発表されダウは1000ドル以上の下げに見舞われました。そのような中、米国債券の利回りが上昇しています。円安に触れてはいるものの安定投資を目指す方やリスクを抑えたいシニアの方々にはお勧めの投資と考えています。かの有名な機関投資機関GPIFもポートフォリオの25%を運用しています。
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