65歳以上でも厚生年金に加入するメリットと注意点
65歳以上で会社員として働く場合、厚生年金の加入が求められます。これは、勤務先が厚生年金保険に加入している限り、雇用形態にかかわらず原則として適用されます。では、この場合、年金受給にどのような影響があるのでしょうか?今回は、65歳以上が働きながら厚生年金に加入する際の年金受給に関する重要なポイントを解説します。
1. 65歳以上でも厚生年金に加入できるのか?
多くの方が気になるのは、65歳以上でも厚生年金に加入し続けるかどうかです。実は、65歳以上であっても、会社に勤めている場合、厚生年金への加入は必須です。ただし、70歳を超えると厚生年金保険料の支払い義務はなくなり、それ以降は年金受給のみとなります。
2. 年金受給額への影響
65歳以上で働きながら年金を受給する場合、「在職老齢年金制度」によって年金額が調整される可能性があります。この制度は、給与と年金の合計額が一定以上になると、年金の一部が支給停止される仕組みです。特に、給与が高額になる場合、年金が一時的に減額されることがあります。
– 在職老齢年金の仕組み
在職老齢年金は、収入に応じて年金が減額される制度です。具体的には、65歳以上の場合、年金と給与の合計額が月50万円(2024年10月現在)を超えると、超えた額に応じて年金が減額されます。収入が多い場合は、年金の全額が停止されることもありますが、年金がまったく受け取れなくなるわけではなく、後に再開されることもあります。
・「在職定時改定」とは、65歳以上70歳未満で老齢厚生年金を受給しながら働き続ける人を対象に、毎年10月に年金額を改定する制度です。この制度は、2022年の年金制度改正の一環として導入されました。
具体的には、前年の9月から当年の8月までの厚生年金保険加入期間を基に、年金額が再計算され、10月分(12月受取分)から増額されます。これにより、働きながら年金を受給する人々の年金額が毎年増える仕組みです。
・在職定時改定後の年金額は、個々の標準報酬月額や加入期間によって異なります。具体的な金額リストは提供できませんが、一般的な計算方法をお伝えします。在職定時改定によって増える年金受給額は、以下の式でおおよそ計算できます:
増額年金=標準報酬月額×5.481÷1,000×加入期間の月数
例えば、標準報酬月額が25万円で、1年間(12ヶ月)働いた場合の増額年金は次のようになります:
25万円×5.481÷1,000×12=約1.64万円(年額)
このように、標準報酬月額と加入期間に基づいて年金額が増額されます。具体的な金額については、年金事務所や「ねんきんネット」で確認することをお勧めします。※5.481という数字は「給付乗率」と呼ばれ、国で決められた計算の際に用いられる係数です。
3. 厚生年金保険料を払うメリット
65歳以上でも厚生年金を払い続けることで、新たに「老齢厚生年金」を受け取る権利が積み上がります。つまり、働き続けることで、将来的に受け取る年金額が増加する可能性があります。また、保険料の支払いは、所得税や住民税の控除対象にもなるため、税負担が軽減されるメリットもあります。
4. 70歳を超えるとどうなる?
70歳を超えると、厚生年金保険料の支払いは免除されますが、引き続き年金を受け取ることが可能です。また、70歳までに加入していた期間の年金は、しっかりと支給されるため、引退後も安心して年金を受け取ることができます。
5. 年金受給のタイミングを考慮する
働きながら年金を受給するか、あるいは年金受給を繰り下げるかの判断も重要です。例えば、年金を70歳まで繰り下げると、受給額が42%増加するため、長期的な経済的メリットを考えて、繰り下げを選択する方もいます。
まとめ
65歳以上で働き続ける場合、厚生年金の加入は避けられませんが、そのことで将来の年金額が増加するメリットがあります。ただし、給与と年金の合計が多い場合、在職老齢年金制度により年金が減額されることを理解しておく必要があります。これらのポイントを押さえつつ、65歳以降の働き方と年金受給をバランスよく考えることが大切です。老齢年金受給年齢も繰り上がるのか繰り下げるのか?寿命との兼ね合いもあるのでご本人が今後の人生をどのように生きたいか?人生論にもなりますね。
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