米国株を中心とした海外インデックスが最高値から下落してくると、
「そろそろ買い増してもいいのでは?」
と考えたくなります。
長期投資をしている人にとって、株価の下落そのものは必ずしも悪いことではありません。将来も成長すると考えている資産なら、以前より安い価格で追加購入できるからです📉
ただし、ここで難しいのが、
「何を、どのくらい買えばいいのか」
という問題です。
- まず現状を確認しておきます📊
- 今回比較するETFはこの5本
- 1.本命は2558「S&P500」🇺🇸
- 2.すでに−5%。2631「NASDAQ100」⚡
- 3.AI一極集中からの分散なら2241「NYダウ」🏛️
- 4.株だけ買わない。1656「米国債7〜10年」が重要🛡️
- 5.最後の保険として1540「金」🥇
- 5本を「役割」で整理すると分かりやすい🧩
- もし500万円投資するなら💰
- 「5%下落」は底ではなく、買い始める場所📍
- NASDAQ100だけは下に行くほど買付額を増やす方法も
- 50代・60代は「最大利益」より「買い続けられる仕組み」👔
- 私なら優先順位はこう考えます🥇🥈🥉
- まとめ――下落相場では「何を買うか」以上に「資金を残すこと」が大切
まず現状を確認しておきます📊
「米国株が下落した」とひとくちに言っても、指数によって下がり方はかなり違います。2026年9月15日時点で、52週高値からどれだけ下げているかを並べてみます。
つまり現時点で「最高値から5%下げている」のはナスダック100だけです。S&P500はまだ2%強、NYダウは4%程度の下落にとどまっています。
ここが大事なところで、
「米国株が下がった」と一括りにすると、判断を誤ります。
AI・ハイテク比率の高いナスダック100が先に調整し、S&P500やNYダウはまだ粘っている。これはAI一極集中の相場が少し緩んでいるサインとも読めます。
そこで今回は、日本の証券会社から東京証券取引所を通じて円で購入できるETFの中から、
- S&P500
- NASDAQ100
- NYダウ
- 米国債
- ゴールド
という5つの資産を比較します。
この記事は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。下落相場で資産配分を考えるための一例としてお読みください。相場全体の見方については2026年9月の投資戦略もあわせてご覧ください。
今回比較するETFはこの5本
| 資産 | コード | ETF | 主な投資対象 | コスト水準 | 役割 |
|---|---|---|---|---|---|
| 米国株 | 2558 | MAXIS米国株式(S&P500)上場投信 | S&P500 | 約0.06%程度 | 米国株の中心 |
| 米国株 | 2631 | MAXISナスダック100上場投信 | NASDAQ100 | 約0.20%程度 | 成長株 |
| 米国株 | 2241 | MAXIS NYダウ上場投信 | NYダウ | 0.20%以内 | 大型優良株 |
| 米国債 | 1656 | iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF | 米国債7〜10年 | 税込0.154%程度 | 防御・待機資金 |
| 金 | 1540 | 純金上場信託「金の果実」 | 金現物 | 約0.40% | 有事・インフレ対策 |
いずれも東証上場なので、日本株と同じように円で売買できます。米ドルに両替する必要がありません。
それぞれ役割がかなり違います。順番に見ていきます。
1.本命は2558「S&P500」🇺🇸
まず今回の中心候補として考えたいのが、
2558 MAXIS米国株式(S&P500)上場投信
です。
S&P500は、米国を代表する大型企業約500社で構成される指数です。
Apple、Microsoft、NVIDIAなどの巨大テクノロジー企業だけではなく、金融、ヘルスケア、一般消費財、資本財など幅広い企業を含んでいます。
つまり、
「アメリカ経済全体の成長を買う」
というイメージに近いETFです。コスト水準は約0.06%程度と低く、長期保有にも向いています。
ただし、まだ−2.4%です
ここは原稿を書くうえで一番迷ったところなのですが、正直に書きます。
S&P500は今の時点でまだ2%強しか下がっていません。
「5%下落したら買う」というルールで動いているなら、S&P500はまだ出番ではない、ということになります。
とはいえ、S&P500はNASDAQ100ほど値動きが激しくありません。逆にNYダウほど銘柄数が少なくもありません。そのため、
「米国株が調整したので、まず少し買ってみたい」
という場合に最も使いやすい商品だと思います。コア資産としての位置づけは動きません。インデックス投資の基本的な考え方はインデックス投資の記事で整理しています。
2.すでに−5%。2631「NASDAQ100」⚡
次は、
2631 MAXISナスダック100上場投信
です。
NASDAQ100はNASDAQ市場に上場する大型の非金融企業を中心に構成されており、AI、半導体、クラウド、ソフトウェアなど成長企業の比率が高い指数です。
その分、上昇するときは非常に強い一方、
下落するときもS&P500以上に大きく動きます。
実際、今回の調整でも最初に5%を割り込んだのがナスダック100でした。AI関連の収益が期待に追いついていないという指摘は以前から出ており、この点はAI半導体の決算リスクやAI減速とNVIDIAの推論需要でも触れました。
そこで、5%下落した段階でNASDAQ100へ資金を集中させるより、
−10% …… 追加
−15% …… さらに追加
−20% …… 大きめに追加
という方法が使いやすいと思います。
AIの長期成長を信じるのであれば、
NASDAQ100は「暴落したときほど欲しくなる資産」
とも言えます。
3.AI一極集中からの分散なら2241「NYダウ」🏛️
3本目が、
2241 MAXIS NYダウ上場投信
です。
NYダウは米国を代表する大型企業30社で構成される指数です。S&P500やNASDAQ100とは違い、金融、ヘルスケア、資本財、消費関連など昔からの大型企業の存在感が大きいのが特徴です。
ここで注目したいのが、
「AI一極集中から、米国株全体へ資金が広がるか」
という点です。
AI・半導体株が上昇しすぎた後、利益確定資金が金融、資本財、ヘルスケア、消費関連などへ向かえば、NASDAQ100よりNYダウが相対的に強くなる局面も考えられます。
実際、今回の下落率を見るとNASDAQ100が−5.3%、NYダウが−4.1%と差がついています。すでに資金がわずかに移動し始めている可能性があります。セクター間の資金移動については米国株の23時間取引とセクターローテーションでも書きました。
NASDAQ100が「成長」を取りに行くETFなら、NYダウは、
「大型優良株への分散」
という役割で考えると分かりやすいでしょう。
4.株だけ買わない。1656「米国債7〜10年」が重要🛡️
今回、株式ETFと同じくらい注目したいのが、
1656 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF
です。米国の残存期間7年以上10年未満の国債を中心に投資します。
✅ 分配:年4回
✅ NISA成長投資枠の対象
✅ 直近12か月の分配金利回り:約3.77%(2026年8月21日時点)
✅ 実効デュレーション:約6.8年
ここで大切なのは、
米国債を単純に「利息をもらう商品」とだけ考えないことです。
景気が急速に悪化した場合、次のような流れになる可能性があります。
株式が大幅下落したときに債券が値上がりしていれば、
債券を売って、安くなった株を買う
というリバランスができます。これが株式100%にはない大きな強みです。米国債と高配当株の比較は米国債5%と高配当4%、どちらを選ぶかで詳しく書いています。
1656は為替ヘッジなし💱
注意点もあります。1656は円から見れば為替変動の影響を受けます。
円高ドル安になれば、米国債自体が上昇していても円換算ではリターンが押し下げられることがあります。
為替変動を抑えたい場合は、同じ米国債7〜10年を対象とした
1482 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)
という選択肢もあります。1482も信託報酬は税込年0.154%程度です。
ただし為替ヘッジにはヘッジコストがかかります。日米の金利差が大きいままなら、ヘッジコストがそれなりの負担になる点は理解しておきたいところです。為替の見方はドル円163円をどう見るかで整理しました。
5.最後の保険として1540「金」🥇
5本目は、
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
通称「金の果実」です。株式にも債券にも属さない資産として、ポートフォリオ全体の値動きを分散させる役割があります。コスト水準は約0.40%です。
金は企業のように利益を生みませんし、債券のような利息もありません。
それでも保有する意味があるのは、次のようなリスクに対する「保険」として機能することがあるからです。
- インフレ
- 通貨価値の低下
- 金融危機
- 地政学リスク
- 株式市場の混乱
そのため、
金だけで資産を増やそうとするのではなく、全体の5〜10%程度を守りの資産として持つ
という考え方が使いやすいと思います。金そのものの位置づけは金価格をどう考えるかでも書きました。
1540には重要な注意点があります⚠️
ただし1540には注意があります。
1540は過去に、市場価格が実際の純資産価値(基準価額)を大きく上回る局面があり、東京証券取引所が注意喚起を出したことがあります。金が話題になって買いが殺到すると、ETFの値段だけが先に跳ね上がってしまうためです。
ETFだからといって、必ずしも市場価格と基準価額が一致するわけではありません。
1540を購入するときは、
「金価格がいくらか」だけではなく、「ETFの市場価格と基準価額が乖離していないか」を必ず確認する。
基準価額は運用会社(三菱UFJ信託銀行)のサイトで毎営業日公表されています。買う前にひと手間かけてください。
なお現在の東証には、314A「iシェアーズ ゴールドETF」など、より低コストの金ETFも上場しています。東証掲載では314Aのコストは0.20%です。商品選択時には1540だけでなく比較してもよいでしょう。
5本を「役割」で整理すると分かりやすい🧩
5本を単純に「どれが一番上がるか」で比較する必要はありません。それぞれ役割が違います。
私なら、
2558を中心にして、2631を攻め、1656と金で守る
という形を考えます。2241はNASDAQ100への偏りを弱めたい場合の補完役です。分散の基本は分散投資の記事にまとめています。
もし500万円投資するなら💰
仮に今回、買い増し用として500万円を準備しているとします。一例としては、次のような配分です。
2631 NASDAQ100
2241 NYダウ
1656 米国債
1540 金
| ETF | 比率 | 金額 |
|---|---|---|
| 2558 S&P500 | 40% | 200万円 |
| 2631 NASDAQ100 | 15% | 75万円 |
| 2241 NYダウ | 10% | 50万円 |
| 1656 米国債 | 25% | 125万円 |
| 1540 金 | 10% | 50万円 |
| 合計 | 100% | 500万円 |
ただし、ここで最も重要なのは、
500万円を一度に買わないことです。
「5%下落」は底ではなく、買い始める場所📍
株式市場では、
「5%下がったから、もう十分安い」
とは限りません。
普通の調整が10%程度まで進むこともありますし、弱気相場では20%を超えて下落することもあります。過去の下落局面から学べることは暴落から学ぶ教訓にまとめました。
そこで例えば、次のように4段階に分けます。
こうすると、
- −5%で反発しても参加できる
- −10%でも買える
- −15%でも資金が残っている
- −20%まで暴落しても買える
という状態を作れます。底値を当てる必要がありません。
なお、ここでいう分割購入は「値下がりした銘柄に無計画に追加投資する」ナンピンとは違います。あらかじめ決めたルールに沿って買うことが前提です。この違いはナンピン買いの記事で書きました。
NASDAQ100だけは下に行くほど買付額を増やす方法も
さらに一歩進めるならNASDAQ100だけ、下落するほど買付比率を上げる方法も考えられます。
NASDAQ100はS&P500以上に値動きが大きいため、
「少し下がった時より、大きく下がった時に買いたい」
からです。
ただしこれは、NASDAQ100の長期成長を信じられることが前提です。−20%の局面で実際に買えるかどうかは、平常時に思っているよりずっと難しい。ルールを紙に書いておくことをおすすめします📝
50代・60代は「最大利益」より「買い続けられる仕組み」👔
若い投資家なら、暴落しても給与収入から長期間追加投資できます。
ところが50代後半から60代になると事情が変わります。退職が近づき、
新しい給与収入から投資資金を補充できる期間が短くなる
からです。
だからこそ、「株が下がったから全部株へ」ではなく、
という3つの資産を組み合わせる意味があります。そう考えると分かりやすいでしょう。
退職前後の資産の取り崩し方については出口戦略の記事もあわせてお読みください。
私なら優先順位はこう考えます🥇🥈🥉
今回のような調整局面での、私の優先順位です。ナスダック100がすでに−5%に達している点を織り込んで、原稿段階から順位を少し入れ替えました。
| 順位 | ETF | 理由 |
|---|---|---|
| 第1位 | 2631 NASDAQ100 | 5つの中で唯一−5%に達している。まず1段目だけ買う |
| 第2位 | 2558 S&P500 | コア資産。ただしまだ−2.4%なので、少額から |
| 第3位 | 1656 米国債7〜10年 | 次の下落に備える弾薬。利回りを受け取りながら待てる |
| 第4位 | 金ETF | 株・債券とは異なるリスクへの備え。乖離を確認してから |
| 第5位 | 2241 NYダウ | AI偏重を弱めるための補完資産 |
元の構想では2558が第1位でしたが、実際に下落率のデータを並べてみると、今買えるのはナスダック100だけでした。
これが「ルールを決めておく」ことの価値だと思います。印象ではなく数字で判断できるからです。
まとめ――下落相場では「何を買うか」以上に「資金を残すこと」が大切
株価が最高値を更新しているときは、
「もっと早く買っておけばよかった」
と思います。反対に5%、10%と下がってくると、
「もっと下がるのではないか」
と怖くなります。
しかし長期投資では、その心理とは反対に動く必要があります。大切なのは底を当てることではありません。
下がるほど少しずつ買える仕組みを、あらかじめ作っておくことです。
今回紹介した5本なら、こういう役割分担ができます。
- 2558で米国全体の成長を取る
- 2631でAI・テクノロジーの成長を取る
- 2241で米国大型優良株へ分散する
- 1656で次の暴落に備える
- 金で想定外のリスクに備える
そして個人的に最も大切だと思うのは、
「5%下落したから500万円の投資を始める」
という考え方です。
−10%でも買える。−15%でも買える。−20%でもまだ資金がある。
この状態を作っておくことが、長く市場に残るための大きな武器になります💪
※本記事は2026年9月15日時点の公開情報をもとに作成しています。下落率はSPY・QQQ・DIAの52週高値と直近終値から算出したものであり、指数そのものの数値とは若干異なります。ETFの商品内容、信託報酬、NISA対象状況等は変更される場合があります。実際の投資にあたっては各運用会社、東京証券取引所、証券会社の最新情報をご確認ください。
※本記事は特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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