高配当株は権利落ち後が買い場?代表30銘柄・10年642回の実データで検証【2026年9月】

昨日、9月29日(火)は9月末に配当が決まる銘柄の「権利落ち日」でした。

保有している高配当株の株価を見て、「思ったより下がったな」と感じた方も多いのではないでしょうか。📉

そこで浮かぶのが、次の疑問です。

どうせ権利落ちで下がるなら、配当を取らずに権利落ち後に買ったほうが得なのでは?

ネット上には「約5,000回を検証した」といった分析も見かけます。ただ、出典や計算方法がはっきりしないものも少なくありません。

そこで今回は、別途株価データを集計しました。商社・銀行・通信など、日本を代表する高配当株30銘柄の、過去約10年・642回分の権利落ちです。

この記事で分かることは次の5つです。

  • 権利落ち日に、株価は本当に配当分だけ下がるのか
  • 元の株価に戻るまで、何日くらいかかるのか
  • 1回の配当が大きい銘柄ほど、戻りは遅いのか
  • 業種や銘柄によって、どれくらい違うのか
  • では、いつ・どう買えばよいのか

権利落ちの基本的な仕組みは、以前の記事でまとめています。今回はそこから一歩進めて、「実際のデータではどうだったか」に絞ってお伝えします。

👉 あわせて読みたい:配当落ちとは何か?高配当株投資家が知るべき株価の動きと最適な投資戦略

💡 そもそも「権利落ち」とは?(1分でおさらい)

たとえば、株価2,000円・今回の配当40円の株があるとします。

権利付き最終日まで持っていれば、40円の配当をもらえます。翌日の「権利落ち日」に買った人は、もらえません。

そのため理論上は、権利落ち日の株価は2,000円−40円=1,960円が目安になります。

ポイント

株価が40円下がっても、40円損したわけではありません。40円分が「株価」から「現金の配当」に移っただけです。

ただし実際の株価は、その日の相場全体や為替、ニュースの影響も受けます。「配当分+その日の値動き」で動く、と考えるのが実態に近いです。

🔍 今回の検証方法

対象と計算方法は次のとおりです。数字の意味が変わるので、最初に確認しておきます。

項目 内容
対象銘柄 商社5・銀行3・通信3・保険3・エネルギー2・内需リース3(JT・オリックス・三菱HCキャピタル)・住宅建設5・鉄鋼2・医薬品2・自動車タイヤ2の計30銘柄
期間 2016年3月〜2026年9月の権利落ち(約10年半)
回数 642回(株式分割と重なった14回は除外)
株価 Yahoo!ファイナンスの日足終値(分割調整済み)
配当 1回分の配当額。利回りは「1回分の配当÷権利付き最終日の株価」
戻った 権利付き最終日の終値以上で引けた最初の日
TOPIX比 配当込みの騰落率から、TOPIX連動ETF(1306)の配当込み騰落率を引いたもの

数字はすべて中央値です。一部の極端な値に引っ張られにくいためです。

なお、年2回配当の銘柄が多いため、1回分の利回りは年間利回りのおよそ半分になります。1回分1.8%なら、年間では約3.6%です。

📊 結果① 権利落ち日は「ほぼ配当分」下がる

まず、権利落ち日の値動きです。

1.77%
1回分の配当利回り
−1.95%
権利落ち日の騰落率
−0.10pt
配当分を除いた値動き

配当利回り1.77%に対して、権利落ち日の下落は−1.95%。差はわずか0.10ポイントです。

つまり、長い目で見れば理論どおり「配当分だけ」下がっているということです。

「権利落ちで大損した」と感じるのは、多くの場合、配当分の下落を損失と数えてしまっているからだと思います。

📉 結果② 権利落ち当日が「底」とは限らない

ここからが本題です。権利落ち日の後、株価はどう動いたのでしょうか。

権利落ち後の株価の道のり(30銘柄・中央値)。株価のみは5日後前後に−3.0%で谷、配当込みは40日後に+1.5%
権利落ち後の株価の道のり(30銘柄・中央値)。出典:Yahoo!ファイナンス日足より筆者集計

主な時点の数値(30銘柄・中央値)

■株価のみ ■配当込み

落ち日
 
 
−1.9%
 
 
−0.1%
3日後
 
 
−2.7%
 
 
−1.0%
5日後
 
 
−3.0%
 
 
−1.1%
10日後
 
 
−2.8%
 
 
−1.0%
20日後
 
 
−2.2%
 
 
−0.3%
30日後
 
 
−0.9%
 
 
+0.9%
40日後
 
 
−0.3%
 
 
+1.5%
60日後
 
 
−1.4%
 
 
+0.7%

中央の縦線が「権利付き最終日の株価」。左に伸びるほど下落、右に伸びるほど上昇。

日数は権利付き最終日からの営業日数。出典:Yahoo!ファイナンス日足より筆者集計

株価だけを見ると、権利落ち日(−1.9%)の後も下がり続け、5日後前後に−3.0%で谷をつけています。

谷から戻り始めるのは、2週間を過ぎたあたりからです。

−5.8%
20日以内の最大下落
−2.2%
20日後(株価のみ)
−0.3%
20日後(配当込み)

さらに、権利付き最終日から20営業日(約1か月)の間に、いちばん下がった時点の下落率は中央値で−5.8%でした。

配当分の約2%をはるかに超えて、一時的に下がる場面が多いということです。

ここが大事

「権利落ちで2%安くなったから、すぐ買えば底値」とは限りません。過去10年の中央値では、当日よりさらに1%ほど下がる場面がありました。

⏳ 結果③ 1か月以内に戻るのは約半分、3か月なら約8割

では、元の株価まで戻るのにどれくらいかかったのでしょうか。

権利付き最終日の株価に戻った割合(30銘柄)

20日以内
 
56%
60日以内
 
79%

戻るまでの日数(中央値)は16日。60日以内のデータがある回のみで計算

20営業日(約1か月)以内に戻ったのは56%。60営業日(約3か月)以内なら79%まで増えます。

戻るまでの日数は、中央値で16日でした。

「戻らない」のではなく、「戻るまでに1か月前後かかる」と考えるのが実態に近いといえます。

🕰️ 結果④ 近年は戻るまでの時間が長くなっている

期間を前半と直近に分けて比べると、はっきりした違いが出ました。

  前半(2016〜2020年) 直近(2021〜2026年)
回数 297回 345回
権利落ち日 −1.63% −2.24%
20日後の株価 −0.6% −3.3%
20日以内に戻った割合 63% 49%
戻るまでの日数 14日 21日
権利落ち後の株価の比較。20日後は前半(2016〜2020年)−0.6%、直近(2021〜2026年)−3.3%

前半5年と直近5年の比較(株価のみ・中央値)。出典:Yahoo!ファイナンス日足より筆者集計

戻るまでの日数は、14日から21日へと長くなりました。20日以内に戻った割合も63%から49%に下がっています。

理由ははっきりとは分かりません。ただ、新NISAの開始で権利取りの売買が増えたことや、金利上昇で高配当株の見方が変わったことが影響している可能性はあります。

いずれにしても、「権利落ちの翌日に買えば、すぐ戻る」という考え方は、今の相場では通用しにくくなっているようです。

💰 結果⑤ 1回の配当が大きい銘柄ほど、戻りは遅い

1回分の配当利回りの大きさで分けると、きれいな傾向が見えました。

1回分の利回り 回数 権利落ち日 20日以内に戻った割合 戻るまでの日数
1%未満 40回 −0.32% 82% 4日
1〜1.5% 127回 −1.44% 62% 14日
1.5〜2% 261回 −1.94% 56% 16日
2%以上 214回 −2.43% 48% 21.5日

20日以内に戻った割合(1回分の配当利回り別)

1%未満
 
82%
1〜1.5%
 
62%
1.5〜2%
 
56%
2%以上
 
48%

1回分の利回りが1%未満なら82%が1か月以内に戻っています。2%以上(年間でおよそ4%以上)になると48%まで下がります。

理由の一つは単純です。配当20円なら埋める差は20円、配当100円なら100円。落ちた分が大きいほど、戻るのに時間がかかるのは自然なことです。

加えて、利回りが高すぎる銘柄には、次のような事情が隠れていることもあります。

  • 業績への不安で株価が下がっている
  • 減配(配当を減らすこと)の心配がある
  • 景気の影響を受けやすい業種である
  • 一時的な特別配当が含まれている

「利回りが高い=お買い得」とは限らない、ということです。

👉 あわせて読みたい:長期金利3%時代、高配当株の常識が変わる|「利回りが高いだけ」の株を買ってはいけない理由

🏭 業種別:エネルギー・自動車は速く、鉄鋼・内需リースは遅い

高配当株をひとまとめにせず、業種別に見ると違いがよく分かります。

業種別:元の株価に戻るまでの日数(中央値)

エネルギー
 
6日
自動車・タイヤ
 
7日
医薬品
 
9日
商社
 
14.5日
住宅・建設
 
16日
鉄鋼
 
20日
通信
 
21日
保険
 
21日
銀行
 
23日
内需・リース
 
27日

短いほど戻りが速い。1業種あたり35〜110回

業種 戻るまで 60日以内に戻った割合 20日以内の最大下落 TOPIX比(配当込み・20日)
エネルギー 6日 88% −5.6% −0.13%
自動車・タイヤ 7日 84% −4.1% −0.72%
医薬品 9日 74% −6.5% −1.32%
商社 14.5日 86% −5.9% −0.07%
住宅・建設 16日 83% −5.8% −0.38%
鉄鋼 20日 54% −7.7% −0.92%
通信 21日 76% −5.1% +0.25%
保険 21日 85% −6.3% +0.15%
銀行 23日 75% −6.6% −0.22%
内需・リース 27日 70% −5.8% −1.25%

表の「TOPIX比」は、配当も含めた値動きが、同じ期間の市場全体(TOPIX)より良かったか悪かったかを表します。

⚡ 戻りが速かった:エネルギー・自動車・医薬品

エネルギーは戻るまで6日、自動車・タイヤは7日と、ほかの業種より明らかに速く戻っていました。

エネルギーは原油価格の上昇局面が重なったことが大きいと考えられます。自動車は、ホンダが年4回配当だった時期が長く、1回分の配当が小さかったことも影響しています。

🏦 市場並みに底堅い:商社・通信・保険・銀行

商社・通信・保険・銀行は、戻るまでの日数こそ2〜4週間かかっています。ただ、TOPIX比で見ると−0.07%〜+0.25%と、ほぼ市場並みでした。

株価そのものは下がっていても、市場全体と比べて特に弱いわけではない、ということです。

銀行株は日銀の金利政策の影響がとても大きい業種です。権利落ちの値動きより、金利の見通しを確認するほうが大切だと考えています。

👉 あわせて読みたい:日銀利上げでメガバンクはなぜ好決算?預金金利競争・住宅ローン・企業融資への影響を徹底解説

⚠️ 注意したい:鉄鋼

いちばん弱かったのが鉄鋼です。60日以内に戻った割合は54%と全業種で最低。20日以内の最大下落も−7.7%と最も大きくなりました。

鉄鋼は中国の景気や鉄鋼市況、原材料価格の影響を強く受けます。権利落ちで安くなったからと急いで買うより、もう少し長く値動きを見るほうが、過去のデータには合っています。

🏆 銘柄別:戻りが速かった5銘柄・遅かった5銘柄

30銘柄それぞれの「戻るまでの日数」を、前半と直近に分けて並べました。

⚡ 戻りが速かった5銘柄

銘柄 業種 全期間 前半 直近 回数
INPEX エネルギー 4日 3日 6日 22回
ホンダ 自動車・タイヤ 6日 4日 24日 32回
アステラス製薬 医薬品 7日 9.5日 7日 22回
ENEOS HD エネルギー 8日 7日 14日 22回
丸紅 商社 9日 14日 9日 22回

🐢 戻りが遅かった5銘柄

銘柄 業種 全期間 前半 直近 回数
JT 内需・リース 46日 91日 23日 21回
JFE HD 鉄鋼 31日 10日 66日 19回
MS&AD 保険 28.5日 24日 40.5日 21回
ソフトバンク 通信 28日 26日 32日 15回
みずほFG 銀行 27.5日 25日 30日 21回

目を引くのは日本製鉄です。全期間では16日ですが、前半4日→直近80.5日と、近年は戻るまでの時間が大きく延びています。

三井住友FG(前半17日→直近50.5日)、三菱UFJ FG(前半13日→直近31日)も同じ傾向です。

ランキングを見るときの注意

1銘柄あたりのデータは15〜32回しかありません。過去にすぐ戻った銘柄が、次回もすぐ戻るとは限りません。銘柄選びの材料というより、「銘柄によってこれだけ差がある」ことを知るためのデータとしてご覧ください。

🍂 9月の権利落ちは「1〜2か月で戻る」傾向

今回のデータのうち、9月の権利落ち(273回)だけを取り出してみました。

9月の権利落ち後の株価(株価のみ・中央値)

■9月の権利落ち

落ち日
 
 
−1.9%
5日後
 
 
−2.7%
20日後
 
 
−1.8%
30日後
 
 
+0.4%
40日後
 
 
+0.9%
60日後
 
 
+1.7%

中央の縦線が「権利付き最終日の株価」。左に伸びるほど下落、右に伸びるほど上昇。

20日後はまだ−1.8%ですが、30日後に+0.4%、60日後には+1.7%と、配当を除いた株価だけで元の水準を上回っていました。

野村證券も、TOPIX(2000年以降)と日経平均高配当株50指数(2002年以降)の平均で、9月の配当落ち後は35〜40営業日後にかけて一進一退となりやすく、その後に上昇する傾向があると解説しています(NOMURAウェルスタイル、2025年9月22日)。

今回の集計とも、おおむね合う結果です。もちろん毎年同じになるわけではありませんが、9月の権利落ち後は「1〜2か月の調整期間」を見込んでおくと、慌てずに済みそうです。

👉 あわせて読みたい:日本株9月配当落ち後の高配当株はどう動く?2025年の最新動向と投資戦略を徹底解説

📅 実例:2026年9月29日の権利落ち日はどうだったか

では、昨日9月29日の権利落ち日を見てみます。30銘柄のうち、9月に権利落ちがあった23銘柄の結果です(株式分割と重なった銘柄は除外)。

銘柄 1回分の利回り 権利落ち日 配当以外の下落
清水建設 1.75% −4.70% −2.95%
日本製鉄 1.76% −4.70% −2.94%
みずほFG 0.85% −3.72% −2.86%
MS&AD 1.68% −4.38% −2.70%
JFE HD 2.19% −4.87% −2.68%
ENEOS HD 1.19% −3.85% −2.66%
オリックス 1.75% −4.35% −2.61%
三菱商事 1.29% −3.76% −2.47%
三井物産 1.39% −3.82% −2.43%
SOMPO HD 1.45% −3.82% −2.37%
三菱UFJ FG 1.29% −3.47% −2.18%
伊藤忠商事 0.99% −3.05% −2.07%
住友商事 1.12% −2.99% −1.87%
三菱HCキャピタル 1.82% −3.69% −1.86%
大林組 1.54% −3.39% −1.85%
武田薬品 1.72% −3.22% −1.50%
丸紅 1.19% −2.48% −1.29%
アステラス製薬 1.70% −2.55% −0.85%
ホンダ 2.04% −2.85% −0.81%
KDDI 1.41% −1.95% −0.54%
NTT 1.55% −1.95% −0.40%
ソフトバンク 1.80% −2.04% −0.25%
鹿島 1.49% −0.84% +0.65%

23銘柄中22銘柄が、配当分より大きく下がりました。下落率の中央値は−3.47%で、1回分の利回り(中央値1.54%)を大きく上回っています。

日本経済新聞は同日朝の相場見通しで「米半導体株安と配当落ちが重荷」と報じていました。配当落ちに加えて、相場全体の下げが重なった形です。

過去の傾向からすると、ここからさらに下がる場面もあり得ます。一方で、配当以外の理由で2〜3%下げた銘柄は、業績に変化がなければ検討を始めてよい候補にもなります。

※9月29日の数値は同日終値ベース。1回分の利回りはYahoo!ファイナンスに掲載された予定配当額から計算。

🔄 「配当込み」で見ると景色が変わる

権利落ちでいちばん間違えやすいのが、株価だけを見てしまうことです。

権利付き最終日に2,000円、配当50円、権利落ち後1,950円だったとします。株価だけなら−2.5%です。でも手元には50円の配当が入ります。

つまり経済的には、2,000円 → 1,950円+50円に形が変わっただけです。

−0.3%
40日後(株価のみ)
+1.5%
40日後(配当込み)

今回のデータでも、40日後の株価だけを見ると−0.3%ですが、配当を足すと+1.5%です。

長期の高配当投資では、「株価の動き+配当=トータルリターン」で見ることが大切です。なお、配当には約20%の税金がかかる点も忘れないようにしたいところです(NISA口座なら非課税)。

🧮 実践① 「実質権利落ち率」で配当以外の下げを測る

ここからは、データを実際の投資にどう生かすかです。

まず試していただきたいのが、「配当以外の理由で、どれだけ下がったか」を計算することです。私は「実質権利落ち率」と呼んでいます。

実質権利落ち率の計算

権利落ち後の騰落率 + 1回分の配当利回り

例:清水建設(9月29日)
権利落ち日 −4.70% + 配当利回り 1.75% = 実質 −2.95%

この−2.95%が、配当とは関係のない下落です。次に、その理由を確かめます。

  • 市場全体が下がったのか(TOPIXや日経平均と比べる)
  • その会社に悪いニュースが出たのか
  • 単に売りが重なっただけなのか

業績や配当方針に変化がないのに大きく下げているなら、長期投資家にとっては検討の余地がある場面です。

👣 実践② 権利落ち日に全額買わない:4回に分ける

今回のデータで私がいちばん重視したいのが、この点です。株価の谷は権利落ち日ではなく、5日後前後。20日以内の最大下落は−5.8%でした。

そこで、たとえば100万円を投資する予定なら、次のように分ける方法があります。

1回目
権利落ち日:25万円
配当分の下落を確認して、最初の一歩
▼
2回目
3〜5営業日後:25万円
過去データで谷ができやすい時期
▼
3回目
10営業日後:25万円
配当以外の下げの理由を確認してから
▼
4回目
20営業日後:25万円
戻り始めを確認。直近では戻るまで約1か月

もちろんこれは一例です。大切なのは、「権利落ち日=買う日」ではなく「買い始めを検討する日」と考えることです。

👉 あわせて読みたい:ナンピン買いは勝者の戦略か? 買い下がり vs 買い上がりの徹底比較と実践銘柄ガイド

✅ 実践③ 安さより「企業の質」を先に確認する

権利落ち後に買うとしても、利回り5%、6%という数字だけで選ぶのは危険です。私は次の項目を先に確認しています。

チェック項目 見るポイント
累進配当 減配せず、配当を維持か増やす方針を掲げているか
DOE(株主資本配当率) 利益の波に左右されにくい配当方針か
配当性向 利益に対して配当を出しすぎていないか(目安50%前後)
フリーキャッシュフロー 配当を払えるだけの現金を稼いでいるか
財務の健全性 借金が多すぎないか
自社株買い 配当以外の株主還元にも積極的か

特に50代・60代からの高配当投資では、「今年いくら配当が出るか」より、「5年後、10年後も配当を続けられるか」のほうが大切だと考えています。

👉 あわせて読みたい:🔶株主還元時代の新指標──DOE・累進配当・配当性向から読み解く「持続可能な高配当株」戦略

🗣️ 私はこう考えています

「価格とは、あなたが支払うもの。価値とは、あなたが手にするもの」

――ウォーレン・バフェット(2008年 株主への手紙)

今回、自分でデータを集計してみて、改めてこの言葉を思い出しました。

権利落ち日は、株価という「価格」が配当分だけ下がる日です。しかし会社の「価値」は、たった1日で変わるものではありません。

私も61歳の再雇用の会社員として、配当は生活の支えの一つです。だからこそ、権利付き最終日に慌てて買うことはしないようにしています。配当をもらっても、翌日にほぼ同じだけ株価が下がるのは、今回のデータでもはっきりしました。

一方で、「権利落ち後なら必ず得」とも思いません。直近5年は戻るまでの時間が長くなり、1か月たっても半分の回は元の株価に届いていません。

私が大切にしたいのは、「いつ買うか」より「何を、どれくらいの時間をかけて買うか」です。業績が安定し、配当方針がしっかりした会社を、数日から数週間かけて少しずつ買う。値下がりしている日に買い増せる余力を、いつも少し残しておく。

50代・60代の投資は、取り返す時間が若い世代ほど多くありません。だからこそ、1日の値動きに一喜一憂せず、データで「待てば戻りやすい」と知っておくことが、心の余裕につながると考えています。

📝 まとめ

分かったこと 数字(中央値)
権利落ち日は、ほぼ配当分だけ下がる 配当1.77%に対し−1.95%
当日が底とは限らない 谷は5日後前後。20日以内の最大下落−5.8%
戻るまでには約1か月 16日。60日以内なら79%が回復
近年は戻りが遅い 14日 → 21日
配当が大きいほど戻りは遅い 1回分2%以上は20日以内の回復48%
業種差が大きい エネルギー6日/鉄鋼は60日以内の回復54%

配当は1日だけのイベントですが、株式投資はその後も何年も続きます。

権利落ち日に慌てて買うのではなく、企業の業績や配当方針を確認しながら、数日から数週間かけて買い下がる。長期の高配当株投資には、このくらいの余裕がちょうどよいのかもしれません。🌱

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📎 データと参考資料

  • 株価・配当:Yahoo!ファイナンス日足データより筆者集計(2016年3月〜2026年9月29日)
  • 野村證券「9月末の配当落ちに伴う日経平均株価のインパクトは?」NOMURAウェルスタイル(2025年9月22日)
  • 日本経済新聞「日経平均株価、米半導体株安と配当落ちが重荷」(2026年9月29日)

※集計は現在の代表的な大型株30銘柄を対象としたもので、上場廃止や大幅な業績悪化で対象から外れた銘柄は含まれていません(生存者バイアス)。株式分割と権利落ちが重なった回は除外しています。データの取得・計算には誤差が含まれる可能性があります。

※本記事は筆者個人の考えをまとめたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。記載のデータは執筆時点のものです。

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