日本国債3%・米国債5%・高配当株4%――50代・60代の資産運用はどう変わる?

📌 この記事の結論

  • 日本国債3%は「守る」:円建てで為替の心配がない安定資産
  • 米国債5%は「高い利回りを確保する」:ただしドル建てなので為替リスクあり
  • 日本高配当株4%は「増配と成長を狙う」:保証はないが配当が育つ可能性がある

「どれが一番か」ではなく、役割の違う3つをどう組み合わせるかを考える時代になりました。

「配当4%なら魅力的」という常識が変わり始めた

少し前まで、配当利回り4%の株は「かなり魅力的」と言われていました。

預金金利はほぼゼロ。日本国債の利回りも1%に届かない。そんな時代が長く続いたからです。

ところが2026年9月、世界の長期金利が大きく上がりました。日本の10年国債は3%台、米国の10年国債は5%台です。

1,000万円を置いたときの年間インカム(利息や配当など、持っているだけで入ってくるお金)は、次のように並びます。

📊 1,000万円で受け取れる年間インカム(税引前)

日本国債3%
30万円
高配当株4%
40万円
米国債5%
50万円

※3%・5%・4%は比較しやすいよう丸めた数字です。米国債は為替が変わらないと仮定した円換算です。

高配当株の4%は、もう「ずば抜けて高い数字」ではありません。国債からも、十分なインカムを得られる時代になってきたのです。

2週間前の記事「配当4%の株より米国債5%か?米10年債「5%目前」で変わる高配当株の選び方」では、米国債と高配当株の2つを比べました。今回は日本国債3%を加えた3つで、50代・60代の資産運用を考えます。

🔍 基準日と実際の数値

・日本10年国債:3.073%(2026年9月24日、財務省「国債金利情報」)

・米国10年国債:5.18%(2026年9月24日、米国財務省)

・参考:9月25日午前の日経電子版では、日本10年債3.115%(9時53分時点)、米10年債5.19%(9時42分時点)

市場の利回りは毎日動きます。この記事の数値は取得した日時点のものです。

なぜ世界で国債の利回りが上がっているのか

ここは記事の主役ではないので、要点だけまとめます。

国債の利回りが上がるのは、国債が売られて価格が下がっているからです。債券は価格が下がると、利回りが上がる仕組みになっています。

要因 かんたんに言うと
原油高 エネルギー価格が上がり、物価が上がりやすくなる
インフレ再燃の心配 物価上昇が続くなら、低い金利の国債は持ちたくない
FRBの利上げ 米国の中央銀行が9月16日に0.25%利上げし、3.75〜4.00%に
日銀の利上げ 9月18日に政策金利を1.25%程度とすることを決定(9月24日から適用)
米国の財政赤字 国の借金が増え、国債の発行も増える。売りものが多いと値段は下がりやすい
日本の財政の心配 積極的な財政支出で、国債の信用や需給を気にする声がある
タームプレミアム上昇 「長くお金を貸す不安」の上乗せ分が大きくなっている

タームプレミアムとは、長い期間お金を貸すことへの「おまけの利息」です。10年先の物価や財政は読みにくいので、長い国債ほど高い利回りを求められます。

報道では、米10年債利回りは2007年以来、日本の10年債利回りは1996年以来の水準に上がったと伝えられています(Bloomberg)。米財務省が国債の買い戻しを行っても、利回りの上昇が止まらない場面もあったと報じられました。

日米の金融政策の違いは「FOMCと日銀は何が違う?日米同時利上げ局面で考える金利・ドル円・日本株」で、原油高と高配当株の関係は「原油100ドル超・企業物価7.6%・長期金利3%目前|高配当株の追い風と逆風はどこで分かれるか」で詳しく書いています。

🛡️ 日本国債3%の意味――円建てで「守る」

為替の心配がない3%

日本国債のいちばんの強みは、円で買って、円で利息を受け取り、円で返ってくることです。

ドルと円の交換が関係しないので、為替リスク(円高・円安で円に直した金額が変わるリスク)がありません。

1,000万円なら年30万円、手取りは約23万9千円

利回り3%で1,000万円なら、利息は年30万円です。

国債の利息には原則20.315%の税金がかかります(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)。

税引前

30万円

税金(20.315%)

約6万1千円

手取り

約23万9千円

⚠️ 市場の10年国債と「個人向け国債」は別の商品

ここは誤解が多いところです。ニュースの「長期金利3%」は、市場で売買される10年国債の利回りです。

銀行や証券会社でよく見る「個人向け国債」は、利率の決め方が違います。

個人向け国債(9月募集・10月15日発行) 利率(税引前)
変動10年(第198回) 年1.95%
固定5年(第186回) 年2.24%
固定3年(第196回) 年1.96%

出典:財務省「個人向け国債 発行条件」。募集期間は2026年9月3日〜9月30日。

変動10年の利率は「基準金利×0.66」で決まります。今回の基準金利は2.96%なので、適用利率は1.95%です。市場の10年国債の3%とは同じではありません。

その代わり、個人向け国債は1万円から買え、発行から1年たてば国が額面で買い取ってくれます(直前2回分の利子相当額が差し引かれます)。元本割れの心配が小さいのが長所です。

市場の利回りに近い条件で買いたい場合は、証券会社などで新窓販国債や既発債(すでに発行され市場で売買されている国債)を買う方法があります。ただし、途中で売るとそのときの時価になるため、金利が上がっていれば値下がりしている可能性があります。

国債の種類ごとの違いは「円安・長期金利2.9%時代、日本国債は買いか?短期・中期・長期・物価連動国債を初心者向けに徹底解説」にまとめています。

💵 米国債5%の意味――「ドル建て5%」の商品

1,000万円なら年50万円相当

利回り5%なら、1,000万円分で年50万円相当の利息です。税引後(20.315%で概算)は約39万8千円になります。

日本国債3%より年20万円、高配当株4%より年10万円多い計算です。3つの中でいちばん高いインカムが得られます。

「5%の商品」ではなく「ドル建て5%の商品」

ただし、ここを見落とさないでください。米国債はドルで利息を受け取り、ドルで返ってくる商品です。

円に戻すときの為替レートで、手元の円は増えも減りもします。

⚠️ 為替リスクの例(仮の数字)

1ドル=150円のときに1,000万円分の米国債を買ったとします。

満期に1ドル=135円(10%の円高)なら、元本は円換算で約900万円になります。

約100万円の目減りは、税引前の利息約2年分に当たります。

反対に円安になれば、円換算の金額は増えます。米国債の5%は、為替の動きとセットで考える必要がある5%です。

為替と米国債の関係は「外貨準備が過去最大の減少――為替介入で米国債は売られたのか?50代投資家が知るべき円・金利・資産防衛」も参考になります。

※米国債の税金は、購入方法(個別債券か、ETF・投資信託か)、口座の種類、為替差損益の有無などで扱いが変わり得ます。この記事では日本国債と同じ20.315%で単純化して概算しています。詳しくは税務署や税理士などにご確認ください。

🌱 日本高配当株4%――増配と成長を狙う

税引後は約3.19%

日本の上場株式の配当にも、通常20.315%の税金がかかります(特定口座などの場合)。

配当4%・1,000万円なら年40万円、手取りは約31万9千円です。利回りにすると約3.19%になります。

税引後で並べると、日本国債 約2.39%/高配当株 約3.19%/米国債 約3.98%です。

4%は「保証された利回り」ではない

国債の利息は、発行するときに決まっています。一方、株の配当は会社の業績しだいです。

  • 業績が悪くなれば減配(配当を減らす)もあり得る
  • 株価は毎日動き、買った値段より下がることもある
  • 「4%」は、比較のために丸めた目安にすぎない

それでも株にしかない魅力がある

国債の利息は、基本的に増えません。30万円は30万円のままです。

株の配当は、会社が成長すれば増配(配当を増やす)で増えていく可能性があります。株価が上がれば、値上がり益も期待できます。

これが、物価が上がる時代に株を持つ意味です。

📊 3商品の比較表

項目 日本国債 米国債 日本高配当株
想定利回り 3% 5%(ドル建て) 4%(目安)
1,000万円の年間額 30万円 50万円相当 40万円
税引後概算 約23.9万円 約39.8万円 約31.9万円
為替リスク なし あり なし(※)
価格変動 小〜中 中(債券価格+為替) 大
増配/利息の成長 なし なし 増配の可能性
インフレへの強さ 弱い やや弱い 比較的強い
途中売却リスク 時価で売却(個人向け国債は国が買取) 時価+為替で損益 株価しだい
50代・60代での役割 生活防衛・安定 高金利の固定 増配・成長

※日本株そのものに為替リスクはありませんが、輸出企業などは業績を通じて為替の影響を受けます。数値は丸めた比較用のものです。

「高配当株4%なら買い」の時代ではなくなる理由

日本国債が1%未満だったころ、高配当株4%との差は3%以上ありました。いまは3%と4%で、差は約1%です。

価格が動かず、為替の心配もない国債で3%取れるなら、株には「国債以上の何か」が求められます。その「何か」が、配当が育つ力です。

そこで、利回りの高さだけでなく次の点を見る重要性が増しています。

見るポイント 意味と見方
累進配当 「配当を減らさず、維持か増やす」という会社の方針
DOE(株主資本配当率) 会社の純資産に対する配当の割合。利益がぶれても配当が安定しやすい
EPS成長 1株あたりの利益が伸びているか。増配の元手になる
フリーキャッシュフロー 本業で稼いだ現金から投資を引いた、自由に使えるお金。配当の本当の財源
配当性向 利益のうち配当に回す割合。高すぎると増配の余地が小さい
自社株買い 会社が自分の株を買うこと。1株あたりの価値が上がりやすい

この考え方は「長期金利3%時代、高配当株の常識が変わる|「利回りが高いだけ」の株を買ってはいけない理由」で詳しく書きました。累進配当とDOEの基本は「株主還元時代の新指標──DOE・累進配当・配当性向から読み解く「持続可能な高配当株」戦略」をどうぞ。

高配当株の増配シミュレーション

1,000万円を配当4%の株に投資し、毎年3%ずつ増配したと仮定します。

配当4%・毎年3%増配した場合の年間配当と米国債5%(年50万円)の比較グラフ
図1:配当4%・毎年3%増配と米国債5%の年間インカム(税引前)
年 高配当株(3%増配) 米国債5%
1年目 40.0万円 50万円
5年目 約45.0万円 50万円
9年目 約50.7万円 50万円
10年目 約52.2万円 50万円
10年間の合計 約458.6万円 500万円

毎年3%の増配が続けば、9年目に米国債の50万円を上回り、10年目には約52万円になります。

ただし、10年間の受け取り合計では米国債のほうが約41万円多い計算です。増配株は「後から追いつく」タイプだと分かります。

⚠️ 増配は保証されません。業績が悪くなれば、増配が止まったり減配になったりします。過去に増配を続けてきた会社でも、将来も続くとは限りません。米国債の50万円も、為替が動けば円での金額は変わります。

📉 株価が下がったとき、高配当株の見え方は変わる

次は、株価が大きく下がった場面を考えます。

ふだん

株価 10,000円/配当 400円

利回り 4.0%

株価が3割下落・配当は維持

株価 7,000円/配当 400円

利回り 約5.7%

配当が変わらず株価だけが下がると、利回りは約5.7%に上がります。米国債の5%を上回り、しかも為替リスクはありません。

つまり、暴落のような場面では高配当株の魅力がぐっと増す可能性があります。

ただし条件は「配当が維持されること」です。業績が崩れて株価が下がっているなら、減配で利回りも下がります。株価が下がった理由を見極めることが欠かせません。

下落局面での考え方は「高配当株の買い増しタイミングを徹底解説!利回り・業績・地合いで判断する3つの条件」にまとめています。

50代・60代の資産運用は「株か債券か」ではない

50代・60代は、これからお金を取り崩していく時期に入ります。

若い人のように「下がっても10年待てばいい」とは言いにくい。一方で、老後は20年、30年と続きます。守りだけでは物価上昇に負けてしまうおそれもあります。

だからこそ、1つに決めるのではなく役割で使い分ける考え方が合っています。

🛡️ 日本国債=生活防衛・円建ての安定資産

数年以内に使うお金、急な出費への備え。値動きと為替に振り回されない土台。

💵 米国債=高い金利を固定する資産

5%前後の利回りを長く確保する。為替の動きを受け入れられる範囲で持つ。

🌱 日本高配当株=増配・インフレ対応・成長資産

10年、20年先の生活費の伸びに備える。配当が育つ会社を選ぶ。

比率は、年齢、年金の見込み、手元資金、値下がりへの耐性で人それぞれです。「何年後に、いくら使うお金か」で分けると考えやすくなります。

取り崩しの順番は「老後資産はどこから取り崩す?NISA・特定口座・高配当株の“出口戦略”を徹底解説」も参考にしてください。

💡 NISAと特定口座の違い(補足)

NISA口座で持つ上場株式や投資信託の配当・分配金は、非課税で受け取れます(上場株式の配当は、受取方法を「株式数比例配分方式」にしている場合)。

税引後で約3.19%だった配当4%は、NISAなら4%のまま受け取れます。国債3%との差は大きく広がります。

一方、個人向け国債や米国債などの債券そのものは、NISAでは買えません。特定口座などで持ち、利息には20.315%がかかります。

NISAに入れる銘柄の選び方は「特定口座からNISAへ移す銘柄・残す銘柄の判断表|高配当株を「一軍昇格」させる考え方」で整理しています。

債券は一度に買わず「ラダー」で分ける

金利が上がっている今、「一番高い利回りの債券をまとめて買いたい」と思うかもしれません。

ただ、金利がこの先さらに上がる可能性もあります。一度に全部買うと、その後のもっと高い利回りを取り逃がします。

そこで使われるのが債券ラダーです。ラダーは「はしご」のこと。満期の時期をずらして、少しずつ買う方法です。

2026年9月24日の日本国債と米国債の年限別利回り(1年・5年・10年・20年)
図2:満期までの長さ別の利回り(2026年9月24日、日米の財務省公表値)

日本国債は、満期が長いほど利回りが高くなっています。1年は1.63%、10年は3.07%、20年は3.89%です。

債券ラダーのイメージ(例:400万円を4つに分ける)

短期
100万円
5年
100万円
10年
100万円
20年
100万円

バーの長さは満期までの期間のイメージです。金額・年限は一例です。

ラダーには、次のようなよさがあります。

  • ✅ 定期的に満期が来るので、生活費や急な出費に回しやすい
  • ✅ 金利がさらに上がったら、満期で戻ったお金を高い利回りで再投資できる
  • ✅ 金利が下がっても、長い債券で高い利回りを固定できている
  • ✅ 「いつ買うのが正解か」を当てる必要がない

長い債券ほど利回りは高い反面、途中で売ると値動きが大きい点には注意が必要です。満期まで持つつもりのお金で組むのが基本です。

個人向け国債・米国債ETF・個別債券の使い分けは「金利上昇時代の債券運用戦略|個人向け国債・米国債ETF・生債券をどう使い分けるか」で詳しく書いています。

私はこう考えています

ウォーレン・バフェットは、2008年の株主への手紙で「価格はあなたが払うもの、価値はあなたが得るもの」という言葉を引いています。金利が大きく動く今、この一句がよく頭に浮かびます。

私は61歳で、再雇用で働きながら高配当株を中心に投資をしてきました。正直に言うと、長いあいだ「債券は利回りが低すぎて、持つ意味が薄い」と考えていました。

日本国債が1%にも届かない時代なら、配当4%の株と比べるまでもありませんでした。でも、いまは違います。円建てで3%という数字は、退職前後の世代にとって、とても大きな意味を持つと私は考えています。

一方で、国債だけで老後を乗り切れるとも思っていません。30万円の利息は、10年後も30万円のままです。物価が年2%上がれば、その価値は少しずつ目減りしていきます。

だから私は、「どれか1つ」ではなく時間で分ける考え方をとっています。数年以内に使うお金は円建ての国債や預金に。為替の動きを受け入れられる範囲で、米国債の高い利回りを取りにいく。そして、10年、20年先の生活費は、配当が育つ株に任せる。

もう1つ意識しているのは、高配当株を選ぶ目を厳しくすることです。国債3%がある以上、「利回り4%だから」という理由だけで株を買うのは割に合わなくなってきました。累進配当の方針があるか、利益とキャッシュフローが伸びているか。これまで以上に確かめてから買うようにしています。

そして、株価が大きく下がった場面では、配当が維持される会社の利回りは上がります。そのときに慌てず動けるよう、国債で守りの土台を作っておくことが、株を長く持ち続けるための支えになると考えています。

まとめ――どれか一つを選ぶ問題ではない

日本国債3%・米国債5%・日本高配当株4%は、どれか一つを選ぶ問題ではありません。

  • 🛡️ 日本国債3%は、為替の心配なく守る
  • 💵 米国債5%は、為替リスクを理解したうえで高い利回りを確保する
  • 🌱 日本高配当株4%は、保証はないが増配と成長を狙う

国債からも十分なインカムを得られる時代になったことで、高配当株には「国債以上の理由」が求められるようになりました。

役割の違う3つを、使う時期と目的に合わせて組み合わせる。50代・60代の資産運用は、そんな考え方に変わりつつあると私は感じています。

市場の利回りは毎日動きます。実際に購入を検討するときは、その日の利回りや個人向け国債の最新の利率を必ずご確認ください。

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参考資料・出典

※国税庁の案内では、2027年(令和9年)以降、復興特別所得税の税率引き下げと防衛特別所得税の導入により、源泉徴収の内訳が変わる予定とされています。最新の税制は国税庁などでご確認ください。

※本記事は筆者個人の考えをまとめたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。記載のデータは執筆時点(2026年9月25日)のものです。配当は減配される場合があり、将来の増配率や利回りは保証されません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

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