📌 この記事は、2026年9月28日(月)〜10月2日(金)の1週間に出た、日本の高配当株に関わる材料をまとめたものです。
📝 今週の結論(3行で)
① アクセルが年間配当予想を41円→79円へ大幅に引き上げ。ただし業績連動型です。
② 三井物産・丸紅・NTTの自社株買いが、9月だけで合計約610億円進みました。
③ 日銀は9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げ済み。10月1日の資料で、利上げを続ける姿勢も確認されました。
一方で、新しい累進配当の導入や、数字つきのDOE方針の新設、大きな減配は見当たりませんでした。
高配当株は、利回りの高さだけでは選べません。
「配当をどう決めているか」と「自社株買いを本当に実行しているか」まで見ることが大切です。
金利が上がる局面ではなおさらです。
「配当が高いだけ」の株より、利益と1株あたりの価値を伸ばせる会社が選ばれやすくなります。
📊 1週間の重要材料一覧
まずは今週の材料を一覧にしました。
右端の「注目度」は、私が「詳しく確認する価値がある」と考える度合いです。
アクセル(6730)|遊技機向け半導体 注目度:高
純利益予想を8億9千万円→17億円へ上方修正。年間配当予想も41円→79円へ。
三井物産(8031)|商社 注目度:高
9月に約308.6億円の自社株買い。2,000億円枠の約21.1%まで進みました。
丸紅(8002)|商社 注目度:中〜高
9月に約137.0億円を取得。1,000億円枠の約27.7%まで進みました。
NTT(9432)|通信 注目度:中〜高
9月に約164.6億円を取得。2,000億円枠の約38.8%まで進みました。
しまむら(8227)|小売 注目度:中
上期は増収増益。年間配当予想80円(株式分割後)は据え置き。
💴 アクセルは「大幅増配」だが「累進配当」ではない
アクセルは9月28日、2027年3月期の業績予想と配当予想を引き上げました。
年間配当予想は41円→79円です。前期の実績57円も上回ります。
📈 アクセルの年間配当(1株あたり)
✅ 事実
| 項目 | 修正前 | 修正後 |
|---|---|---|
| 売上高(通期予想) | 150億円 | 204億円 |
| 純利益(通期予想) | 8億9千万円 | 17億円 |
| 年間配当予想 | 41円 | 79円 |
| 予想配当性向 | ― | 50.1% |
同社の方針は「純利益の50%を配当にする」(配当性向50%)が原則です。
計算した配当が前の年を下回るときは、それまでの配当水準も考えて決める、としています。
上方修正の理由として、会社は次の点を挙げています。
- パチンコ・パチスロ機向け画像処理チップの販売見通しが、31万個→35万個に増えた
- 新台の年間販売台数(市場規模)の想定が、135万台→145万台に広がった
- 生成AI需要でメモリ価格が上がり、販売価格を引き上げている
🔍 分析
株主に報いる姿勢は強い会社です。
ただし、これは「減配しない」と約束する累進配当ではありません。
利益が大きく落ちれば、配当性向50%のルールで配当も下がる可能性があります。
「79円が新しい下限になった」とは考えないほうが安全です。
私が気になったのは、増収の一部がメモリ価格の高騰による値上げから来ている点です。
会社自身も、売上総利益率(もうけの割合)は計画より1.4ポイント下がる見通しとしています。
メモリ価格は上がり下がりが大きいので、来期も同じ水準が続くとは限りません。
確認しておきたい点は次の4つです。
- 上方修正の利益に、一時的な要因がどれくらい含まれるか
- 遊技機の入れ替え需要が来期も続くか
- 営業キャッシュフロー(本業で入る現金)で配当をまかなえるか
- 来期以降も、配当性向50%で十分な配当を出せる利益があるか
💡 評価:詳しく調べる価値は高い材料です。ただ、「高い配当が固定された」と考えるのは早すぎます。
出典:アクセル「第2四半期(中間期)業績予想及び通期業績予想並びに配当予想の修正に関するお知らせ」(2026年9月28日)
🏢 商社とNTTの自社株買い|「発表額」より「実行額」を見る
今週、三井物産・丸紅・NTTの3社が、9月の自社株買いの実績を公表しました。
| 企業 | 9月の取得額 | 累計取得額 | 取得の上限 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 三井物産 | 約308.6億円 | 約421.1億円 | 2,000億円 | 約21.1% |
| 丸紅 | 約137.0億円 | 約277.0億円 | 1,000億円 | 約27.7% |
| NTT | 約164.6億円 | 約775.9億円 | 2,000億円 | 約38.8% |
3社の9月の取得額を合わせると、約610.2億円です。
📊 自社株買いの進み具合と、取得期間の経過
■取得の進捗(上限に対する割合) ■取得期間の経過(9月末時点)
三井物産 (うち9月分 15.4%)
丸紅 (うち9月分 13.7%)
NTT (うち9月分 8.2%)
※取得期間:三井物産 2026年8月5日〜2027年1月29日、丸紅 2026年8月4日〜2027年3月31日、NTT 2026年5月11日〜2027年3月31日。期間の経過は日数から筆者が計算。
🔍 時間の進み具合と比べると見えること
進捗率だけでなく、取得期間がどれだけ過ぎたかと並べると、ペースの違いが分かります。
| 企業 | 上限までの残り | 残りの期間 | 上限まで買うなら(1か月あたり) |
|---|---|---|---|
| 三井物産 | 約1,579億円 | 約4か月 | 約395億円 |
| 丸紅 | 約723億円 | 約6か月 | 約121億円 |
| NTT | 約1,224億円 | 約6か月 | 約204億円 |
※筆者の計算。上限はあくまで「最大でここまで」という枠で、全額を買い切る義務はありません。
- 三井物産:9月にペースが一気に上がりました。それでも上限まで買うには、9月(約309億円)を上回るペースが必要です。
- 丸紅:期間の経過より進捗が先行しています。今のペースなら、上限に届く計算です。
- NTT:累計額は3社で最大です。ただ9月の取得額は約165億円で、上限まで買うには月200億円強のペースが要ります。
なぜ自社株買いが大切なのか
自社株買いで株の数が減ると、会社全体の利益が同じでも1株あたり利益(EPS)が増えやすくなります。
配当と組み合わせれば、受け取る現金に加えて、1株あたりの価値も上がりやすくなります。
ただし、「最大○○億円の枠を決めた」という発表だけでは足りません。
確認したいのは次の5つです。
- 実際にいくら買ったか
- いつまでに買う予定か
- 買った株を消すのか(消却)、会社の金庫に残すのか
- 高値で無理に買っていないか
- 成長への投資や財務の健全さを削っていないか
商社は資源価格や為替の影響を受けやすい業種です。
NTTは、金利が上がると「債券の代わり」としての人気が下がりやすい面があります。
自社株買いの進み具合だけで判断せず、本業で稼ぐ現金とあわせて見たいところです。
自社株買いと増配・株式分割をどう見分けるかは、なぜ株式分割・増配が増えているのか?本物の株主還元を見極める方法でも整理しています。
出典:
- 三井物産「自己株式の取得状況(途中経過)」(2026年10月1日)
- 丸紅「自己株式の取得状況に関するお知らせ」(2026年10月1日)
- NTT「自己株式の取得状況に関するお知らせ」(2026年10月1日)
👕 しまむら|増配の発表ではないが、配当予想を支える増収増益
しまむらの上期決算(2026年2月21日〜8月20日)は、増収増益でした。
売上高
+4.0%
営業利益
+5.3%
純利益
+5.6%
年間配当予想は80円(中間40円+期末40円)で、今回の修正はありません。
ここで一つ補足があります。
しまむらは2026年2月21日に1株を3株に分割しました。
前期の配当215円を分割後に直すと約71.7円です。
つまり今期の80円は、前期より実質的に増える予想です。
ただ、これは以前から出ていた予想で、今週あらたに決まった増配ではありません。
株探の集計によると、6〜8月の3か月だけで見ると経常利益は前年より約4%減ったと報じられています。
上期全体は好調でも、足元の勢いはやや落ちています。
小売業は、仕入れ値・人件費・物流費・値引き販売の影響を受けます。
下期は売上の伸びだけでなく、もうけの割合(粗利率)と在庫の状態を確認したいところです。
💡 評価:配当の安心材料ではあります。ただし、還元方針が変わったという材料ではありません。
出典:しまむら「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年9月28日)
🏦 日銀は1.25%へ利上げ済み|銀行と通信で影響が分かれる
まず事実の確認です。
日銀は9月18日の会合で、政策金利を1.00%→1.25%に引き上げました。
6月以来、3か月ぶりの利上げです。採決は賛成7・反対2でした。
🗓️ ここまでの流れ
6月 政策金利 1.00%へ
▼
9月18日 政策金利 1.25%へ(賛成7・反対2)
▼
10月1日 会合の「主な意見」と9月短観を公表
▼
10月29日・30日 次回の金融政策決定会合
10月1日に公表された「主な意見」では、今後も利上げを続けるのが適当だという意見が並びました。
「物価が上振れる兆しがあれば、利上げのペースを速めざるを得ない」という意見もありました。
一方で、景気の弱さから今回の利上げに反対する意見も載っています。
次の利上げ時期について、たとえば第一生命経済研究所のレポートは、10月の追加利上げは主な想定ではなく、12月に1.50%を予想しています。
見方は分かれており、10月6日の植田総裁の講演が手がかりになりそうです。
同じ10月1日には、日銀短観(9月調査)も出ました。
大企業・製造業の景況感
22→24 ↑
大企業・非製造業の景況感
37→35 ↓
借入金利が「上がった」実感
61→68 ↑
※景況感は業況判断DI、借入金利は借入金利水準判断DI(全規模・全産業)。いずれも6月調査→9月調査。
企業の多くが「借りるお金の金利が上がった」と感じ始めています。
12月調査の予想はさらに71まで上がっています。
📋 セクター別の見方
| セクター | 主な影響 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 銀行 | 貸出金利の上昇は利ざや改善の要因 | 預金金利の上昇、保有債券の含み損、貸し倒れ費用 |
| 商社 | 円相場や景気を通じて間接的に影響 | 資源価格、為替の影響度、投資の現金支出 |
| 通信 | 国債利回りが上がると、相対的な魅力が下がりやすい | 増配率、自社株買い、利益成長 |
| 建設・住宅 | 借入コストの上昇が住宅需要や採算を圧迫 | 受注、住宅ローン需要、価格転嫁 |
| 内需・小売 | 金利より、物価と実質賃金の影響が大きい | 客数、客単価、粗利率、在庫 |
銀行株にとって、利上げはいつも好材料というわけではありません。
利ざやは改善しやすい一方、債券の損失や預金金利の負担も増えます。
このあたりは日銀利上げでメガバンクはなぜ好決算?預金金利競争・住宅ローン・企業融資への影響を徹底解説で詳しく書きました。
通信株では、安定配当だけでは足りません。
増配と自社株買いで、金利の上昇を上回る1株価値の成長を示せるかが問われます。
出典:
- 日本銀行「金融政策決定会合における主な意見(2026年9月17、18日開催分)」(2026年10月1日)
- 日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)2026年9月」(2026年10月1日)
- 第一生命経済研究所「日銀金融政策決定会合(2026年9月)」
🔎 今週、累進配当・DOE・減配で新しい動きはあったか
商社・銀行・通信・建設・内需の主な会社の開示を確認した範囲では、今週は次のような大きな変更は見当たりませんでした。
- 新しい累進配当の導入
- 数字つきのDOE目標の新設
- 大型の高配当株の大きな減配
材料が少ない週に、無理に銘柄を探す必要はありません。
今ある方針がきちんと守られているかを追うほうが大切です。
📚 配当の決め方は3種類|累進配当・DOE・配当性向の違い
アクセルの例で分かるように、同じ「増配」でも配当の決め方で安定度が違います。
累進配当 安定度 ★★★
原則として減配せず、配当を維持するか増やす方針。
DOE(株主資本配当率) 安定度 ★★☆
その年の利益ではなく、会社にたまった自己資本をもとに配当を決める。利益がぶれても配当が安定しやすい。
配当性向 安定度 ★☆☆
利益の何%を配当にするかで決める。好調なら増配しやすいが、減益なら減配もありうる。アクセルはこのタイプ。
3つの違いは、株主還元時代の新指標──DOE・累進配当・配当性向から読み解く「持続可能な高配当株」戦略でくわしく解説しています。
✅ 新NISAの高配当株投資で確認したい4項目
1.増配は「ふつうの配当」か「記念・特別配当」か
ふつうの配当の増額でも、業績連動なら翌年に下がることがあります。
今回のアクセルがその典型です。
2.配当の決め方は累進配当・DOE・配当性向のどれか
同じ高配当でも、安定度は大きく違います。
上の3タイプのどれに当たるか、会社の方針を一度確かめておくと安心です。
3.自社株買いは実際に進んでいるか
上限の枠だけでなく、毎月の取得額・進捗率・消却の有無まで確認します。
今回のように「期間の経過」と比べると、ペースの差も見えてきます。
4.国債の利回りと比べても魅力があるか
株には値下がりのリスクがあります。
金利が上がる局面では、利回りの高さだけでなく、増配の余地や利益の成長が必要です。
利回り3〜4%でも成長が止まれば、国債と比べて見劣りすることがあります。
この考え方は長期金利3%時代、高配当株の常識が変わる|「利回りが高いだけ」の株を買ってはいけない理由でも取り上げました。
NISAで持つ銘柄の選び方は特定口座からNISAへ移す銘柄・残す銘柄の判断表も参考にしてください。
🏆 今週の注目トップ3
アクセルの79円への大幅増配
今週いちばん大きな配当の変化。ただし業績連動で、累進配当ではありません。
日銀1.25%後も続く利上げ姿勢と、借入金利の上昇
銀行には収益の機会。通信・住宅には評価や需要の面で逆風になりえます。
三井物産・丸紅・NTTの自社株買いの実行
発表した枠が、実際の取得に移っています。今後は取得ペースと消却の方針を追います。
📅 来週(10月5日〜9日)の確認予定
次の利上げの条件と時期。長期金利と高配当株の比べやすさ。
地方銀行・建設・内需の地域の景気感。超長期金利と保険・銀行の運用環境。
国内コンビニの収益力、北米事業、還元方針。
貸し倒れ費用、資金調達の金利、配当の続けやすさ。
来週は、主な高配当株に共通する大きな権利付き最終日はありません。
配当の権利取りより、金利のイベントと中間決算の中身を優先して確認したい週です。
その先の大きな節目は、10月29日・30日の日銀会合です。
出典:
💬 私はこう考えています
ウォーレン・バフェット氏は、2011年の株主への手紙で、自社株買いをしてよい条件を2つ挙げています。
「事業に必要なお金が十分にあること」と「株価が本来の価値より大きく安いこと」です。
今週の商社とNTTの発表を読みながら、私はこの言葉を思い出しました。
自社株買いは、たくさん買えばよいというものではありません。
割高な株価で無理に買えば、株主のお金を高い値段で使うことになります。
そのうえで、私が今週いちばん大事だと感じたのは「時間との比較」です。
三井物産の9月の買い方は力強いものでした。
それでも、上限まで届かせるには、さらにペースを上げる必要があります。
逆に丸紅は、地味でも期間より先に進んでいます。
「枠の大きさ」より「約束をどれだけ守っているか」を、私は会社の誠実さとして見ています。
アクセルの増配は、正直うれしいニュースに見えます。
ただ、私たち50代・60代が配当に求めるのは、生活費の一部としてあてにできることではないでしょうか。
配当性向型の会社の大幅増配は、ボーナスのようなものだと私は受け止めています。
来年もあると決めつけて、生活の予定に組み込まないようにしたいと考えています。
金利については、預金や国債に少しずつ利息がつく時代に戻ってきました。
そうなると、「配当が高いから」という理由だけで株を持つ意味は薄れていきます。
私は、増配を続ける力と自社株買いの実行力を、これまで以上に重く見るつもりです。
今週は大きな方針変更が少ない週でした。
こういう週こそ、慌てて売り買いするより、持っている会社の約束を一つずつ点検する時間に充てたいと思います。
❓ よくある質問
Q1.アクセルの79円配当は今後も続きますか?
約束されたものではありません。アクセルは「純利益の50%を配当にする」配当性向型です。
利益が減れば配当が減る可能性があります。前の年を下回る場合は過去の水準も考えるとしていますが、維持を約束したものではありません。
Q2.自社株買いは配当と何が違いますか?
配当は、株主に現金が直接入ります。
自社株買いは現金は入りませんが、株の数が減るので、1株あたりの利益や価値が上がりやすくなります。
配当には税金がかかりますが、自社株買いによる効果は株を売るまで課税されません(NISA口座では売却益も非課税です)。
Q3.金利が上がると、高配当株にはどんな影響がありますか?
預金や国債の利回りが上がると、「配当が高い」という株の魅力は相対的に下がります。
一方、銀行は利ざやが改善しやすくなります。
業種によって影響が分かれるので、増配の余地や利益の伸びをあわせて見ることが大切です。
🧭 まとめ
今週は、新しい累進配当やDOEの導入よりも、アクセルの業績連動型の大幅増配と、商社・NTTの自社株買いの実行が中心でした。
背景には、9月に1.25%へ上がった政策金利と、利上げを続ける日銀の姿勢があります。
高配当株を長く持つうえで大切なのは、今の利回りの高さだけではありません。
- ✅ 配当の決め方が、減益のときにも機能するか
- ✅ 配当のもとになる利益と現金が続くか
- ✅ 自社株買いが実際に進み、1株の価値向上につながっているか
- ✅ 金利が上がった後も、国債と比べて魅力を保てるか
この4点を確かめながら、銘柄の数を無理に増やさず、還元の「質」が高い会社を選んでいきたいところです。
※本記事は公開資料に基づく情報整理と筆者個人の考えをまとめたものであり、特定の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の資産状況・投資目的・リスク許容度を踏まえ、ご自身の責任においてお願いいたします。記載のデータは2026年10月5日時点で確認できたものです。

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