「SBIから信託報酬0%のオルカンが出るらしい」
2026年10月1日、こんなニュースが流れました。
見出しだけを読んで、こう思った方もいるのではないでしょうか。
「今持っているeMAXIS Slim オール・カントリーを売って、乗り換えたほうがいいの?」
信託報酬0%と聞くと、たしかに心が動きます。
ただ、ここには見落としやすい大事なポイントがあります。
📌 先に結論
信託報酬0%の「ゼロカン」はこどもNISA専用です。
大人が買えるのは0.055%の「SBIオールカントリー」。
eMAXIS Slimとの差は年0.00275%しかありません。
今のオルカンを急いで売る必要は、ほとんどありません。
この記事では、SBIグループが発表した2本の新しいオール・カントリー型ファンドを整理します。
そのうえで、61歳の現役投資家である私がどう動くつもりかもお話しします。
お孫さんがいる方に向けた「こどもNISA」の話も入れました👶
📢 まず結論|信託報酬0%なのは「こどもNISA専用」
今回SBIグループから登場するのは、次の2本です。
どちらも2026年11月17日に設定されます。
👶 こどもNISA専用
ゼロカン
SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド
0.00%
信託報酬(年率)
🧑 大人も買える
SBIオールカントリー
SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド
0.055%
信託報酬(年率・税込)
| 項目 | ゼロカン | SBIオールカントリー |
|---|---|---|
| 投資先 | 全世界の株式 | 全世界の株式 |
| 目指す指数 | MSCI ACWI | MSCI ACWI |
| 信託報酬 | 0.00% | 0.055% |
| 買える口座 | こどもNISAのみ | NISA(つみたて・成長の両方の予定)や特定口座など |
| 設定日 | 2026年11月17日 | 2026年11月17日 |
| 買い始められる時期 | 2027年1月(こどもNISA開始後) | 2026年11月17日から |
出典:SBIグローバルアセットマネジメント(2026年10月1日発表)、SBI証券のお知らせ、各社報道
ここが一番大切です。
ニュースでは「信託報酬0%のオルカン登場」と紹介されることがあります。
しかし、大人が通常のNISAで0%のオルカンを買えるわけではありません。
もう一つ、見落とされがちな点があります。
こどもNISAは2027年1月スタートの制度です。
ゼロカンが11月に設定されても、実際に買えるのは来年1月からになります。
🌏 そもそも「オルカン」とは?
一般に「オルカン」と呼ばれているのは、世界中の株式にまとめて投資できる投資信託です。
日本・アメリカ・ヨーロッパ・新興国の株に、1本で分散投資できます。
代表格がeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。
純資産総額は約13.9兆円(2026年10月1日時点、みんかぶ)。
日本の投資信託でもトップクラスの規模です。
そのため「オルカン=eMAXIS Slim」と思っている方も多いでしょう。
でも、全世界株に投資するという考え方自体は、eMAXIS Slimだけのものではありません。
今回のSBIの2本も、同じ「MSCI ACWI(全世界株の代表的な指数)」に連動を目指します。
👉 オルカンと米国株(S&P500)の違いは✅【保存版】オルカン vs S&P500で詳しく書きました。
👶 「ゼロカン」は何がすごい?
最大の特徴は、名前のとおり信託報酬0.00%であることです。
ふつうの投資信託では、運用会社などに払う費用(信託報酬)が毎日少しずつ差し引かれます。
ゼロカンでは、それが0%です。
⚠️ ただし「費用が完全に0円」ではない
信託報酬のほかにも、投資信託にはこんな費用がかかります。
- 監査費用
- 株の売買にかかる手数料
- 海外で資産を預けておく費用(保管費用)
- 海外の税金
実際どのくらいの割合なのか。
eMAXIS Slimオルカンの直近の決算データで見てみます。
📊 eMAXIS Slimオルカンの費用の内訳(1万口あたり・合計26円)
その他8円の内訳:保管費用4円・有価証券取引税3円・売買委託手数料1円
出典:みんかぶ(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の費用明細)
費用全体のおよそ3割は、信託報酬以外です。
ゼロカンでも、この「その他」の部分はかかると考えておきましょう。
「信託報酬0%」と「コストが完全に0円」は別物です。
🎂 18歳になったらどうなる?
こどもNISAの口座は、子どもが18歳になる年に大人のNISAへ自動で移ります。
そのあとゼロカンを買い増すことはできません。
ただし、それまでに買ったゼロカンは持ち続けられます。
しかも、持ち続けている分は18歳以降も信託報酬0%のままと報じられています。
18歳以降の新しい積立は、0.055%のSBIオールカントリーで続ける形が想定されています。
👴👵 お孫さんのこどもNISAを考えている方へ
50代・60代の読者には、ここが一番関係するかもしれません。
こどもNISAの概要を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 0〜17歳の子ども(口座は子ども名義、親などが管理) |
| 開始 | 2027年1月(SBI証券は2026年10月1日から事前受付) |
| 年間の投資上限 | 60万円 |
| 非課税で持てる上限 | 600万円 |
| 引き出し | 12歳以降、本人の同意などの手続きを経て可能 |
| 18歳以降 | 大人のNISAへ自動で移行 |
祖父母が資金を出すこともできます。
ただし、お金を渡すことは「贈与」にあたります。
⚠️ 贈与税で気をつけたいこと
- 贈与税の基礎控除は、もらう人1人につき年110万円
- 親と祖父母の両方から受け取ると、合計で判断される
- 年60万円の枠だけなら収まるが、ほかの贈与と重なると超えることがある
- 口座の存在を孫本人と共有しておかないと「名義預金」と見られるおそれもある
気になる方は、税理士や証券会社の窓口で一度確認しておくと安心です。
🧑 大人向けには「SBIオールカントリー」
私たち大人の投資家にとって、本当の比較相手はこちらです。
SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド、信託報酬は年0.055%。
目指す指数も同じMSCI ACWIです。
つまり、eMAXIS Slimオルカンのライバルとして出てくる商品と考えると分かりやすいでしょう。
⚖️ eMAXIS Slimオルカンとの違い
| 項目 | SBIオールカントリー | eMAXIS Slimオルカン |
|---|---|---|
| 目指す指数 | MSCI ACWI | MSCI ACWI |
| 日本・先進国・新興国 | すべて含む | すべて含む |
| 信託報酬 | 0.055% | 0.05775%以内 |
| 設定日 | 2026年11月17日 | 2018年10月31日 |
| 運用実績 | これから | 約8年 |
| 純資産総額 | これから | 約13.9兆円 |
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント | 三菱UFJアセットマネジメント |
純資産総額は2026年10月1日時点(みんかぶ)
信託報酬を棒グラフで並べると、こうなります。
📊 信託報酬(年率)の比較
こどもNISA専用
大人が選べる2本の差は、棒の長さでほとんど見分けがつかないほどです。
数字の上ではSBIのほうが低コストです。
ただ、その差は年0.00275%しかありません。
💴 実際いくら違う?
1,000万円を投資していた場合で、単純に計算してみます。
- eMAXIS Slim:1,000万円 × 0.05775% = 年間約5,775円
- SBIオールカントリー:1,000万円 × 0.055% = 年間約5,500円
その差は年間約275円です。
| 投資額 | 年間コスト差の目安 |
|---|---|
| 100万円 | 約28円 |
| 500万円 | 約138円 |
| 1,000万円 | 約275円 |
| 3,000万円 | 約825円 |
| 5,000万円 | 約1,375円 |
「長く持てば差は広がるのでは?」と思う方もいるでしょう。
そこで、30年間持ち続けた場合も計算してみました。
10年後の差
約4,200円
20年後の差
約1万4千円
30年後の差
約3万3千円
前提:1,000万円を一括投資し、年5%で運用できたと仮定(信託報酬だけを差し引いて計算。税金・その他費用は含まず)。30年後の評価額は約4,250万円で、差はその0.08%ほどです。
30年持っても、4,000万円を超える資産に対して約3万円です。
差がゼロとは言いません。
でも、この差のために今の資産を動かすほどの大きさではない、と私は考えています。
🔍 信託報酬が安ければ必ず勝てる?
投資信託を比べるとき、信託報酬だけを見ればよいわけではありません。
本当に大事なのは、次のような点です。
- 実質コスト(信託報酬+その他費用の合計)
- 指数との連動性(指数どおりに動いているか)
- トラッキングエラー(指数とのズレの大きさ)
- 純資産総額と資金の流入(規模が大きいほど運用が安定しやすい)
たとえば信託報酬が0.00275%安くても、指数から0.02%余計にズレれば、逆転してしまいます。
「信託報酬が一番安い=一番良い」とは限らないのです。
🏆 eMAXIS Slimには「実績」という強みがある
eMAXIS Slimオルカンは2018年から運用されています。
約8年分の実際の運用結果、指数とのズレ、資金の流れを確かめられます。
一方、SBIオールカントリーは11月17日に生まれる新しいファンドです。
現時点では、実際の運用成績がまだありません。
これはかなり大きな違いです。
📉 eMAXIS Slimが信託報酬を下げる可能性も
eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コスト」を目指す方針を掲げています。
これまでも、他社との低コスト競争を受けて信託報酬を引き下げてきました。
そのため、今回の0.055%の登場を受けて、eMAXIS Slim側が引き下げる可能性もあります。
もちろん、現時点で引き下げが決まったわけではありません。
ただ、わずかな差だけを理由に急いで動かなくてよい理由の一つにはなります。
🤔 今持っているオルカンは売ったほうがいい?
ここからが一番大事なところです。
口座の種類によって考え方が変わります。
NISAで持っている場合 → 基本はそのままで
新NISAでは、売った商品の買付額の分だけ、非課税で持てる枠が翌年以降に復活します。
しかし、売ったその年の年間投資枠が戻るわけではありません。
たとえば今年300万円分のオルカンを売っても、同じ年に300万円を買い直せるとは限りません。
年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)の上限があるからです。
年に数百円の差のために、NISAの商品を売って買い直す必要性はかなり低いと考えます。
👉 NISAのつみたて投資枠の基本は新NISAつみたて投資枠で整理しています。
特定口座で含み益がある場合 → さらに慎重に
特定口座で利益が出ている場合は、売ると税金がかかります。
具体的な例で見てみましょう。
💸 買値500万円 → いま800万円のオルカンを売ったら
含み益300万円 × 約20.315% ≒ 約61万円。800万円 × 0.00275% ≒ 年約220円。
税金分を節約額で取り戻すには、単純計算で約2,800年かかります。
数十万円の税金を先に払って、年に数百円を節約する。
これでは本末転倒です。
含み益のある特定口座の商品を、わずかな信託報酬差だけで乗り換えるのは慎重に考えましょう。
👉 特定口座とNISAの使い分けは特定口座からNISAへ移す銘柄・残す銘柄の判断表も参考にしてください。
📅 新しく積み立てる分はどうする?
今あるeMAXIS Slimを売る必要はありません。
一方で、これからの積立先をSBIオールカントリーに変えるという選択肢は十分ありえます。
ただし、私なら設定直後にはすぐ切り替えません。
半年〜1年ほど様子を見ます。
売らない。積立もいったん今のまま
▼
すぐには乗り換えない
▼
純資産・指数とのズレ・実質コスト・運用報告書
▼
既存の資産は動かさない
半年〜1年後に確かめたいポイントを、チェックリストにしておきます✅
- ☐ 純資産総額が順調に増えているか(資金が流れ込み続けているか)
- ☐ 指数(MSCI ACWI)とのズレが小さいか
- ☐ 運用報告書の「実質コスト」が信託報酬から大きく離れていないか
- ☐ eMAXIS Slim側が信託報酬を引き下げていないか
この方法なら、今ある資産を無理に動かす必要がありません。
2本を並行して持ってもいい?
問題ありません。
eMAXIS Slimを500万円、SBIオールカントリーを500万円、という持ち方もできます。
ただし、分散が2倍になるわけではありません。
どちらも同じMSCI ACWIを目指すので、中身はほぼ同じです。
「運用会社を分ける」意味はあっても、投資先そのものは分散されていない点に気をつけましょう。
🔄 「安いファンドが出るたびに乗り換え」は疲れるだけ
インデックス投資を続けていると、低コストの新商品が次々に出てきます。
0.08%→
0.06%→
0.055%→
次は?
そのたびに「売って乗り換えなきゃ」と考えると、投資がどんどん複雑になります。
長期のインデックス投資で何より大切なのは、数千円の手数料差より、市場に長く居続けることです。
途中で売ったり、タイミングをうかがったりして方針が崩れれば、わずかなコスト差よりずっと大きな影響が出るかもしれません。
👉 相場が揺れても積立を続ける意味はオルカン・S&P500は今後も積立を続けるべき?で書きました。
💬 私はこう考えています
「私たちが好む保有期間は、永遠です」
— ウォーレン・バフェット(1988年 バークシャー・ハサウェイ株主への手紙)
私は61歳、再雇用で働きながらNISAで積立を続けています。
正直に言うと、このニュースの見出しを見たとき、一瞬「乗り換えようかな」と思いました。
でも、表を作って数字を並べたら、すっと気持ちが落ち着きました。
年275円。1,000万円持っていても、缶コーヒー2本分ほどです。
一方で、特定口座の分を売れば数十万円の税金がかかります。
NISAの分を売れば、その年の枠を余計に使います。
どちらも、年275円の節約に比べて失うものが大きすぎます。
長期投資で成績を大きく左右するのは、たいてい手数料ではありません。
下がったときに怖くなって売り、上がってから買い直す。こうした売買のほうが響きます。
コストを0.001%削るより、余計な売買を一回減らすほうが、ずっと効くと私は考えています。
なので私の方針はシンプルです。
- 今のeMAXIS Slimは、売らずにそのまま持ち続けます
- SBIオールカントリーは、来年の夏ごろまで運用報告や純資産の伸びを眺めます
- そのころeMAXIS Slimが値下げしていれば、何もしません
- 差が残っていて運用も安定していれば、新しい積立の一部だけ移すかもしれません
そして、私が一番面白いと感じたのは、むしろゼロカンです。
「18歳以降も0%のまま持ち続けられる」設計は、長く持つほど効いてきます。
お孫さんのこどもNISAを考えている同世代の方には、有力な候補になるでしょう。
その場合も、贈与の合計額を家族で確認してから、来年1月以降に検討するのが安心です。
「一番安い商品を探し続けること」より、「十分に安い商品を長く持ち続けること」。
60代の私にとっては、こちらのほうがずっと現実的な戦略です。
📝 まとめ|「信託報酬0%だから乗り換え」はまだ早い
今回のSBIの発表は、投資信託の低コスト競争をさらに一歩進めるニュースです。
特に、信託報酬0%の「ゼロカン」は画期的といえます。
ただし、大人が買えるのは0.055%のSBIオールカントリーです。
eMAXIS Slimオルカン(0.05775%以内)との差は0.00275%、1,000万円で年約275円です。
| あなたの状況 | 考え方の目安 |
|---|---|
| eMAXIS Slimを持っている | 基本はそのまま |
| NISAで持っている | わずかなコスト差だけで売る必要性は低い |
| 特定口座で含み益がある | 税金を考えるとさらに慎重に |
| これからの新規積立 | SBIオールカントリーの実績を見てから検討 |
| 子どもや孫のこどもNISA | ゼロカンは注目度の高い選択肢(2027年1月から) |
すでにeMAXIS Slimオルカンを持っている方は、慌てる必要はありません😊
これから注目したいのは、SBIオールカントリーの実際の運用結果と、eMAXIS Slimが信託報酬を下げるかどうかです。
オルカンの低コスト競争は、もう一段進みそうです。
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※本記事は2026年10月2日時点の公表情報・報道をもとに、筆者個人の考えをまとめたものです。特定の金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。ゼロカン・SBIオールカントリーの詳細は、設定前の情報のため今後変わる可能性があります。投資信託には価格変動リスクがあり、元本は保証されません。試算は一定の利回りを仮定した単純計算で、将来の成果を示すものではありません。贈与税など税金の扱いは、個別の状況により異なります。最終的な投資判断は、ご自身の資産状況や目的に合わせてご自身の責任で行ってください。

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