75歳以上の保険料は月8,000円超えに|後期高齢者医療の保険料改定と窓口負担「3割拡大」の議論をやさしく解説【2026年10月】

「10月の年金の振り込みが、思ったより少ない気がする」

そう感じた75歳以上の方は、少なくないと思います。
理由のひとつは、後期高齢者医療の保険料です。

2026年4月に、保険料が2年ぶりに改定されました。
年金からの天引きでは、10月から1年分の保険料を精算するため、この時期に引かれる額が変わることがあります。

さらに10月には、国の審議会で病院の窓口で払う負担割合(1割・2割・3割)の見直しが話し合われ始めました。

この記事では、この2つの話を、なるべくやさしい言葉で整理します。
「すでに決まったこと」と「まだ話し合い中のこと」は、はっきり分けてお伝えします。

この記事でわかること

  • 2026年度の保険料は、全国平均でいくらになったか
  • 新しく加わった「子ども・子育て支援金」とは何か
  • 年金の額ごとの、保険料のおおよその目安
  • 窓口負担「1割・2割・3割」の今のルール
  • いま国で話し合われている「3割負担の拡大」の中身
  • 今のうちに確認しておきたいこと

まず結論から:2026年に変わったこと・これから変わるかもしれないこと

先に全体をまとめておきます。
くわしい説明は、このあと順番にしていきます。

いつ 何が変わる 状況
2025年10月 2割負担の方の「配慮措置」(負担増を月3,000円までにおさえる仕組み)が終了 実施ずみ
2026年4月 保険料の改定(全国平均で月7,989円に) 実施ずみ
2026年4月 「子ども・子育て支援金」の上乗せ(全国平均で月194円) 実施ずみ
2026年8月 高額療養費(医療費の月の上限)の引き上げと「年間上限」の新設 実施ずみ
2026年10月〜 窓口負担(2割・3割)の対象年齢や所得の線引きの見直し 話し合い中(年末までに方向性)

ポイントは、保険料の全国平均はすでに上がっていること。ただし、一人ひとりの額は、地域・所得・軽減によって違います。
そして、いま話し合われている2割・3割の対象拡大は、対象も時期もまだ決まっていないことです。

第1章 保険料は全国平均で月7,989円に(2026年4月から)

後期高齢者医療制度は、原則75歳以上の方が入る医療保険です。
保険料は、都道府県ごとに2年に1回、見直されます。

厚生労働省によると、2026・2027年度の保険料は、全国平均で月7,989円の見込みです。
前回(2024・2025年度)の7,411円から、578円(7.8%)の値上がりです。

2024・2025年度

7,411円

(月額・全国平均)

2026・2027年度

7,989円

(月額・全国平均の見込み)

年額にすると、平均で9万5,875円です。
なお、この金額は「医療分」です。後で説明する「子ども分」は別にかかります。

なぜ上がったの?3つの理由

厚生労働省の資料では、主に次の3つが理由とされています。

  • 医療費そのものが増えた
    75歳以上の方1人あたりの医療費(保険から出る分)は、年およそ94万2千円の見込み。前回より約4.9%増えています。
  • 高齢者が負担する割合が上がった
    保険から出す医療費(給付費)のうち、75歳以上の方の保険料でまかなう割合が、12.67%から13.27%になりました。現役世代の負担とのバランスをとるためです。
  • 出産を支えるお金の負担が、本来の額になった
    2024年度から、75歳以上の方も出産育児一時金の費用を一部負担しています。最初の2年間は半分に軽くされていましたが、2026年度からその措置が終わりました。

一方で、前回の余ったお金(剰余金)などを使い、値上がりをおさえる工夫もされています。
それでも、平均で7.8%の値上がりになった、ということです。

住んでいる場所で、保険料はかなり違います

保険料は都道府県ごとに決まるので、地域の差が大きいのが特徴です。
医療分の平均額(月)で比べると、次のとおりです。

  • いちばん高い東京都:月1万352円
  • いちばん低い青森県:月4,990円

これは加入者全体の平均です。平均額は保険料率だけでなく、加入者の所得の構成などによっても変わります。
ご自身の地域の金額は、都道府県の「後期高齢者医療広域連合」のホームページで確認できます。

上限額も引き上げに

どんなに所得が多くても、保険料には上限があります。
この上限が、1人あたり年80万円から85万円に引き上げられました(医療分)。

「子ども分」の上限は年2万1千円です。
合わせると、上限は年87万1千円になります。

第2章 新しく加わった「子ども・子育て支援金」とは

2026年4月から、医療保険の保険料に「子ども・子育て支援金」が上乗せされるようになりました。
少子化対策の費用を、子どもがいない人や高齢者もふくめた、すべての世代で出し合う仕組みです。

75歳以上の方も対象です。
保険料の通知では「子ども分」などと書かれていることが多いです。

2026年度の全国平均は、月194円(年2,333円)の見込みです。
医療分の7,989円と合わせると、月8,183円になります。

ここに注意
子ども・子育て支援金は、2026年度から2028年度にかけて、段階的に組み立てられる予定です。
2027年度の「子ども分」の料率は、2026年度末までに各都道府県で決まります。
今後、少しずつ増えていく可能性があります。

第3章 年金の額ごとの保険料の目安

「平均はわかったけれど、自分はいくらなの?」という方のために、目安を計算してみました。

保険料は、次の2つの合計で決まります。

  • 均等割:全員が同じ額を払う部分(全国平均で年5万6,083円)
  • 所得割:所得に応じて払う部分(全国平均で所得の10.17%)

所得割は、原則として「前の年の所得(年金なら控除後の額)から43万円を引いた額」に率をかけて計算します。
また、所得が少ない世帯は、均等割が7割・5割・2割軽くなります。

以下は、ひとり暮らしで、収入が公的年金だけの方の例です。
料率は全国平均を使っています。

年金収入(年) 軽減 2026年度の保険料(月)
医療分+子ども分
前回の料率との差(月)
84万円
(基礎年金のみ)
7割軽減
(医療分は7.2割で計算)
約1,340円 約80円
180万円 5割軽減 約4,740円 約340円
250万円 なし 約1万3,210円 約760円

※2026年度の全国平均の料率(医療分:均等割5万6,083円・所得割10.17%、子ども分:均等割1,351円・所得割0.25%)を使い、医療分は7.2割軽減を適用する前提で私が試算した目安です。「前回の料率との差」は、2025年度の全国平均料率(均等割5万389円・所得割10.21%)を使った同じ条件の計算との差です。自治体の実際の保険料ではありません。月額は年額を12で割った目安で、年金から1回に引かれる金額とは違います。

年金が少ない方ほど、軽減のおかげで値上がり幅は小さめです。
7割軽減の対象となる方について、2026・2027年度は、広域連合(都道府県ごとの運営団体)の判断で、医療分を7.2割軽減にする措置もあります。子ども分は7割軽減です。

一方、年金収入が250万円ほどの方は、月におよそ760円、年にすると9千円ほどの負担増になる計算です。
年金の受け取り額が多い方ほど、値上がりを感じやすいと言えます。

なぜ「10月の年金」で天引き額が変わるのか

年金から天引きされている方は、保険料を年6回(偶数月)に分けて払っています。

  • 4月・6月・8月:前の年度の額をもとにした「仮の額」
  • 7月ごろ:今年度の保険料が決まり、通知書が届く(時期は地域で異なります)
  • 10月・12月・2月:決まった額から、仮に払った分を引いた残り

10月からの本徴収で、1年分の保険料と、仮に払った分を精算します。
このため、10月に天引き額が変わることがあります。6月・8月の仮の額を調整して、差が出にくくしている地域もあります。

7月ごろに届いた「保険料額決定通知書」を、もう一度見てみてください。

年金から引かれるお金の全体像は、【2025年最新版】年金定期便から読み解く!65歳からの税金・社会保険料と節税完全ガイドでくわしく書きました。

第4章 窓口負担「1割・2割・3割」の今のルール

次は、病院や薬局の窓口で払うお金の話です。
75歳以上の方の窓口負担は、所得によって3つに分かれています。

1割

下の2割・3割にあてはまらない方。
多くの方はこちらです。

2割

一定以上の所得がある方。
2022年10月から始まりました。

3割

「現役並み所得」の方。
住民税の課税所得が145万円以上など(収入による例外あり)。

3割負担にあてはまる方を除き、同じ世帯の後期高齢者医療の加入者について、次の2つの条件を両方満たす場合に2割になります。

  • 住民税の課税所得が28万円以上の方がいる
  • 加入者の「年金収入+その他の合計所得金額」が、
    加入者が1人なら200万円以上、2人以上なら合計320万円以上

ここでいう「人数」は家族全員ではなく、同じ世帯にいる後期高齢者医療の加入者の人数です。

負担割合は、前の年の所得をもとに、毎年8月に見直されます。

2割負担の「配慮措置」は終わりました

2割負担が始まったとき、急な負担増をやわらげる「配慮措置」がありました。
外来の負担増を、1か月あたり最大3,000円におさえる仕組みです。

この措置は、2025年9月30日で終了しました。
いまは、配慮のない本来の2割で計算されています。

2026年8月からは、医療費の「月の上限」も変わりました

医療費が高くなったときは、「高額療養費制度」で1か月の負担に上限があります。
2026年8月から、この上限が引き上げられ、新たに「年間上限」もできました。

たとえば70歳以上で「一般」の所得区分の方の場合、外来(通院)の月の上限は1万8,000円から2万2,000円になりました。
一般区分の外来の年間上限は、14万4,000円から21万6,000円になっています。

住民税非課税の方(区分Ⅱ)は、外来の月の上限が8,000円から1万1,000円になりました。
そのかわり外来の年間上限9万6,000円が新しくでき、これまで毎月8,000円の上限まで払っていた方の1年の負担が増えないようにしています。
より所得の低い区分Ⅰの方は、8,000円のまま据え置きです。

2割負担の判定や、高額療養費の「年間上限」のくわしい仕組みは、75歳以上の医療費はどう変わる?2割負担・高額療養費の年間上限・金融所得の保険料反映をやさしく解説【2026年最新】で、表を使って説明しています。

第5章 いま話し合われている「3割負担の拡大」とは

ここからは、まだ決まっていない話です。
ニュースで見て、心配になった方もいると思います。

何が話し合われているの?

2026年10月1日、厚生労働省の審議会(社会保障審議会の医療保険部会)で、70歳以上の方の窓口負担の見直しが議論されました。
おもな論点は、次のとおりです。

  • 年齢の線引き
    いまは「70〜74歳は原則2割、75歳以上は原則1割」です(所得によって2割・3割の方もいます)。この、負担が軽くなる年齢を引き上げるかどうか。
  • 所得の線引き
    2割や3割になる所得の基準を、見直すかどうか。
  • 外来特例
    70歳以上の方の、通院の月の上限(外来特例)のあり方。

厚生労働大臣は10月6日の会見で、こうした見直しについて年末までに一定の結論を得られるよう検討を進める考えを示しました。
あわせて、必要な受診が確保されるよう配慮措置を講じることや、丁寧に議論することの大切さにもふれています。

対象や実施時期などの具体策は、まだ検討段階です。
変える場合は、内容に応じた法令上の手続きや、実施に向けた準備・周知が必要になります。

なぜ今、見直すの?

背景には、「年齢ではなく、所得や負担できる力に応じて負担しよう」という考え方があります。

  • 2025年10月、自民党と日本維新の会の連立合意に「年齢によらない応能負担」が盛りこまれました。
  • 2025年11月の政府の経済対策でも、窓口負担の見直しについて、2026年度中に具体的な制度設計を行う方針が示されました。
  • 2026年4月28日の財務省の審議会(財政制度等審議会の分科会)では、70〜74歳の原則3割化や、75歳になっても負担割合を維持することなどが提案されました。

ただし、これは審議会で出された提案で、政府が決めたことではありません。
このとおりに決まるとは限りません。

落ち着いて受けとめたいポイント

  • いま話し合われている見直しによって、窓口負担の割合が変わったわけではありません(2026年10月時点)。
  • 「75歳以上は全員3割になる」と決まったわけではありません。
  • 具体的な対象や実施時期は、まだ決まっていません。
  • 厚生労働大臣も、必要な受診が確保されるよう配慮措置を講じる考えを示しています。

年末に方向性が出たら、この記事でも追記していく予定です。

第6章 今のうちに確認しておきたいこと

制度が変わるたびに、あわてる必要はありません。
ただ、次の点は一度確認しておくと安心です。

  • ☐ 7月ごろに届いた「保険料額決定通知書」で、今年度の保険料を確認する
  • ☐ 通知書に「軽減」と書かれているか(7割・5割・2割)を見る
  • ☐ 資格確認書や、負担割合のお知らせで、自分が1割・2割・3割のどれかを確認する
  • ☐ 年金の振込額が変わった月と、その理由をメモしておく
  • ☐ 通院が多い方は、毎月の医療費の領収書をまとめて保管する
  • ☐ 高額療養費の払い戻し先の口座が登録されているか確認する
  • ☐ わからないことは、市区町村の窓口か、後期高齢者医療広域連合に電話で聞く

保険料を払うのが難しいときは、そのままにせず、早めに市区町村の窓口へ相談しましょう。
災害や急な収入減などの事情があるときは、減免が受けられる場合があります。

老後のお金全体の見通しを立てたい方は、資産を増やす前に必ず考えたい!老後資金を守るライフプランの立て方も参考にしてください。

私はこう考えています

私は再雇用で働いている62歳です。
後期高齢者医療制度に入るのは、まだ13年ほど先になります。

それでも今回の改正は、自分ごととして読みました。
なぜなら、「年金から引かれるお金は、年々少しずつ増えていく」という流れが、はっきり見えたからです。

保険料は2年ごとに見直されます。
医療費が増え続ける限り、上がる方向の力が働きやすいと私は考えています。
そこに子ども・子育て支援金が加わり、今後は段階的に増える予定です。

月数百円の値上がりは、小さく見えるかもしれません。
でも、年金の額はそれほど増えません。物価も上がっています。
「手取りの年金」で見ると、じわじわ効いてくる金額です。

窓口負担の見直しについては、私は「年齢ではなく、負担できる力で」という考え方そのものには、一定の理があると思っています。
現役世代の保険料も重くなっているからです。

ただ、心配な点もあります。
所得の線引きが変わると、年金に少し上乗せの収入があるだけの方まで負担が上がるかもしれません。
病院に通う回数が多いのは、高齢の方です。急な負担増にならないよう、低所得の方への配慮と、十分な準備期間をセットで決めてほしいと考えています。

私自身の備えとしては、老後のお金の計画に「保険料と医療費は、今より増えるもの」として、少し多めに見込んでおくつもりです。
配当や売却益が保険料や負担割合の判定に影響する話もあるので、どの口座でどう受け取るかも、あわせて考えていきます。

皆さんも、まずは手元の通知書を1枚、見直すところから始めてみてください。
知っているだけで、ニュースを見たときの不安はずいぶん小さくなると思います。

よくある質問

Q1. 保険料は、いつから変わったのですか?
2026年度分の保険料は、4月分から改定されています。
年金天引きの方は、10月からの本徴収で1年分を精算するため、この時期に天引き額が変わることがあります。6月・8月に調整される地域もあります。

Q2. 「子ども・子育て支援金」は、断ることができますか?
できません。
後期高齢者医療に加入している方は、原則として保険料と一緒に負担します。所得などに応じた軽減はあります。

Q3. 75歳以上は、来年から3割負担になるのですか?
決まっていません。
2026年10月時点では、国の審議会などで議論している段階です。対象や実施時期は、まだ決まっていません。

Q4. 自分が1割か2割かは、どこでわかりますか?
資格確認書や、市区町村から届く負担割合のお知らせに書かれています。
マイナ保険証を使っている方は、マイナポータルでも確認できます。

Q5. 保険料が払えないときは、どうすればいいですか?
早めに市区町村の窓口に相談してください。
事情によっては、分割払いや減免の相談ができる場合があります。

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まとめ

  • 後期高齢者医療の保険料は、2026年4月から全国平均で月7,989円(医療分の見込み・7.8%増)になりました。一人ひとりの額は地域・所得・軽減で違います。
  • 新たに子ども・子育て支援金(全国平均で月194円)が上乗せされ、合計は月8,183円です。
  • 保険料は住んでいる都道府県で大きく違い、医療分の平均で東京都は月1万352円、青森県は月4,990円です。
  • 年金天引きの方は、10月からの本徴収で1年分が精算されるため、この時期に天引き額が変わることがあります。
  • 窓口負担は今も「1割・2割・3割」。2割の配慮措置は2025年9月で終わっています。
  • 2割・3割の対象拡大などの見直しは、まだ話し合い中です。国は年末までに一定の結論を得たい考えです。

制度のニュースは、見出しだけだと不安になりがちです。
「決まったこと」と「話し合い中のこと」を分けて、落ち着いて確認していきましょう。

【主な参考資料】
厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月10日)
厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(参考)」
厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(配慮措置)」
厚生労働大臣 記者会見(2026年10月6日)
社会保障審議会医療保険部会 資料(2026年10月1日)
NHKニュース「高齢者の医療費窓口負担 見直しに向けて議論開始 厚労省」(2026年10月1日)
各都道府県 後期高齢者医療広域連合の保険料・軽減措置の案内

※この記事は2026年10月時点の制度・公表資料をもとにした一般的な解説です。保険料や負担割合は、お住まいの地域・世帯の状況・所得によって異なります。窓口負担の見直しは検討段階のため、今後内容が変わる可能性があります。最新の情報は、お住まいの市区町村や後期高齢者医療広域連合でご確認ください。また、本記事は筆者個人の考えをまとめたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。

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