HDV・SPYD・VYMを徹底比較|米国高配当ETFは「利回り」だけで選んでいいのか【2026年9月版】

「米国の高配当ETFを買うなら、HDV・SPYD・VYMのどれがいいのだろう?」🤔

米国の高配当株に興味を持つと、ほぼ必ず候補に挙がるのがこの3本です。

どれも「配当の多い米国企業に投資するETF(株のつめ合わせ商品)」です。
ところが中身をのぞくと、性格はかなり違います。

🛡️ HDV

配当の「質」を重視

財務の強さや競争力もチェックして選ぶ

💰 SPYD

配当の「高さ」を重視

利回りの高い約80社を、ほぼ均等に持つ

🌐 VYM

「分散」を重視

600社を超える高配当株を幅広く持つ

50代・60代になると、「増やす」だけでなく「配当を受け取りながら運用したい」と考える方が増えます。
そうなると、この違いがじわじわ効いてきます。

今回は2026年9月時点の公開データを確かめながら、3本を比べていきます。

先に大事なお知らせを一つ。⚠️
HDVは2026年6月に毎月分配型へ変わり、新NISAの成長投資枠では新しく買えなくなりました。
この点も、後半でくわしく整理します。

📊 まずはHDV・SPYD・VYMを一覧で比較

項目 HDV SPYD VYM
運用会社 ブラックロック(iシェアーズ) ステート・ストリート(SPDR) バンガード
設定年 2011年 2015年 2006年
経費率(年) 0.08% 0.07% 0.04%
銘柄数 81 82 613
選び方 高配当+財務の強さ・競争力 S&P500の中で利回り上位約80社 市場平均より利回りが高い企業を幅広く
組み入れ比率 配当の総額が大きい企業ほど多め ほぼ均等 会社の規模(時価総額)が大きいほど多め
REIT(不動産投資信託) 含まない 含む 含まない
分配の回数 毎月(2026年6月から) 年4回 年4回
新NISA成長投資枠 新規購入は対象外 対象 対象

※銘柄数・分配回数は2026年9月16〜18日時点(stockanalysis.com)。NISAの取り扱いは証券会社の画面で最新の表示を確認してください。

経費率はどれも低めですが、長く持つほど差は積み重なります。
その点では0.04%のVYMが一歩リードしています。

💵 数字で見る「配当の高さ」と「この1年の成績」

次の2つのグラフを見比べてみてください。
ここにこの記事のいちばん大事なポイントが隠れています。

💰 分配利回り(直近12か月)

HDV
2.95%
SPYD
4.22%
VYM
2.26%

📈 1年間のトータルリターン(値上がり+配当)

HDV
+22.9%
SPYD
+14.0%
VYM
+16.8%

出典:stockanalysis.com(2026年9月17〜18日時点、ドル建て)。過去の成績は将来を約束するものではありません。

配当がいちばん高いのはSPYDです。
ところが、この1年の成績(値上がり分と配当の合計)ではいちばん低くなっています。

逆にHDVは、利回りは真ん中なのに成績はトップでした。

もちろん、たった1年の結果です。年によって順位は入れ替わります。
それでも「利回りが高い=成績がよい」とは限らないことは、この数字からはっきり読み取れます。

🛡️ 1.HDV|「配当を続けられる会社か」まで確かめる

HDVのいちばんの特徴は、ただ利回りの高い会社を並べているわけではないことです。

もとになる指数(Morningstar Dividend Yield Focus Index)は、高配当株の中からさらに会社をふるいにかけます。
使う物差しは主に次の2つです。

  • 経済的な堀(Economic Moat):ライバルに簡単にまねされない強みがあるか
  • デフォルトまでの距離(Distance to Default):借金で行き詰まる心配がどれだけ小さいか

つまり「今の利回りが高いか」だけでなく、「この先も配当を払い続けられる体力があるか」を見ているのです。

⚠️ なぜこの「ふるい」が大事なのか

配当利回りは「1年間の配当 ÷ 株価」で計算します。
そのため、業績が悪くなって株価が下がると、配当が同じでも利回りは上がって見えます。

1業績が悪化して株価が下がる

2見かけの利回りが5%、6%と上昇する

3「高配当だ」と思って買われる

4やがて減配。株価もさらに下がる

これがいわゆる「配当利回りの罠」です。
HDVは、こうした会社をある程度よけるしくみを持ったETFです。

👉 あわせて読みたい:長期金利3%時代、高配当株の常識が変わる|「利回りが高いだけ」の株を買ってはいけない理由

✅ HDVのよいところ

  • 財務の強さや競争力まで見て選んでいる
  • 生活必需品・ヘルスケアといった、景気に左右されにくい業種が中心
  • この1年のトータルリターンは3本の中でトップ(+22.9%)

🔍 HDVの気になるところ

1つ目は、見た目より中身が集中していることです。
銘柄数は81ですが、上位10社だけで全体の半分以上を占めています。

🎯 上位10銘柄が全体に占める割合

HDV
53.2%
VYM
25.7%
SPYD
15.0%

出典:stockanalysis.com(2026年9月16〜18日時点)

最大の組み入れはエクソンモービル(約8.2%)、2位はシェブロン(約6.6%)です。
石油大手2社だけで約15%。原油価格が大きく動くと、HDVも影響を受けやすくなります。

2つ目は、先ほどお伝えした新NISAの問題です。
毎月分配型になったため、成長投資枠で新たに買うことはできなくなりました。
くわしくは後半の「NISAで持つときの注意点」でまとめます。

💰 2.SPYD|とにかく「配当の高さ」を取りにいく

3本の中でいちばん仕組みがわかりやすいのがSPYDです。

S&P500に入っている会社の中から、配当利回りが高い約80社を選びます。
しかも、ほぼ均等の割合で持ちます。

そのため、巨大企業1社の値動きに振り回されにくいのが特徴です。
上位10社を合わせても約15%しかありません。
1位のアクセンチュアでさえ約1.8%で、HP、ベライゾン、AT&T、ターゲット、ファイザー、シェブロンなどが1%台で並びます。

直近12か月の分配利回りは4.22%。3本の中で最も高く、インカム(配当収入)重視の姿勢がはっきりしています。

✅ SPYDのよいところ

  • 配当収入を厚くしやすい
  • ほぼ均等に持つので、1社の不調の影響が小さい
  • 退職後、配当を生活費の一部にあてたい人にはイメージしやすい

🔍 SPYDの気になるところ

1つ目は、「利回りが高いから選ばれる」という仕組みそのものです。
先ほどの「配当利回りの罠」のとおり、株価が下がった会社ほど利回りは上がります。
SPYDは、そうした会社を拾いやすい面を持っています。

2つ目は業種のかたよりです。HDVと並べるとよくわかります。

🏢 業種の内訳(2026年6月30日時点)

HDV

24%
24%
20%
その他

生活必需品 ヘルスケア エネルギー その他

SPYD

27%
15%
13%
12%
その他

不動産 生活必需品 金融 公益(電力・ガス) その他

出典:iShares・State Street各社のファクトシート(2026年6月30日時点)

SPYDは不動産(REIT)が約27%で最大です。公益も約12%あります。
どちらも借入が多く、金利が上がると逆風を受けやすい業種です。

米国の長期金利が高い水準にある今、ここは頭に入れておきたいところです。

👉 あわせて読みたい:配当4%の株より米国債5%か?米10年債「5%目前」で変わる高配当株の選び方【2026年9月】

🌐 3.VYM|高配当株の「大きなインデックス」

VYMは3本の中で、ずば抜けて分散が効いています。

🧺 保有している銘柄の数

HDV
81
SPYD
82
VYM
613

出典:stockanalysis.com(2026年9月16〜18日時点)

もとになる指数(FTSE High Dividend Yield Index)は、利回りが市場平均より高い米国企業を幅広く組み入れます。
REITは入りません。

組み入れの割合は、会社の規模(時価総額)で決まります。
そのため大きな会社ほど比率が高くなります。

2026年9月時点の1位はブロードコム(約6.9%)です。
続いてJPモルガン(約3.8%)、エクソンモービル(約2.7%)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(約2.6%)と並びます。

✅ VYMのよいところ

  • 600社を超える分散で、1社の減配の影響が小さい
  • 経費率0.04%と、3本の中で最も低い
  • 銘柄選びに悩まず、米国の高配当株を「まるごと」持てる

🔍 VYMの気になるところ

高配当ETFとしては、利回りが控えめです。
直近12か月の分配利回りは2.26%。SPYDの4.22%とはかなり差があります。

「今すぐ配当をたくさん受け取りたい」という目的なら、物足りなく感じるかもしれません。

VYMは、全世界の高配当ETFや日本版SCHDなどと比べた記事でも取り上げています。
👉 あわせて読みたい:オルカン高配当は買いか?通常オルカン・SCHD・VYM・SBI全世界高配当まで徹底比較【2026年9月設定】

📝 3本をひとことで表すと

🛡️ HDV = 配当の「質」を見るETF
財務の強さや競争力まで確認。ただし上位10社で半分、石油大手の比重が大きめ。新NISAでは新規に買えない。
💰 SPYD = 配当の「高さ」を取りにいくETF
利回りは3本で最高。そのかわり不動産・公益への偏りと、「利回りの罠」に注意。
🌐 VYM = 「分散」で長く持つETF
利回りは控えめでも、600社超・低コスト。長期保有の土台にしやすい。

💡「利回りが高いETF=優秀」ではない

高配当投資を始めると、どうしても最初に目が行くのは配当利回りです。
SPYD 4%台、HDV 3%弱、VYM 2%台と並べば、「SPYDがいちばん得では?」と思いたくなります。

でも、本当に大事なのは次の3つのかけ算です。

配当利回り × 配当が続く力 × 株価の成長

4%の配当を受け取っても、株価が長く下がり続ければ、資産全体は増えません。

逆に、利回りが2〜3%でも、会社の利益と配当が伸び続ければ話は変わります。
買ったときの値段に対する利回りは、年を追うごとに上がっていく可能性があります。

冒頭のグラフで、SPYDが「利回りは最高、1年の成績は最下位」だったのは、まさにこの話です。

👉 あわせて読みたい:高配当株は”増配で買い・減配で売り”では勝てない──決算シーズンに本当に見るべき5つの指標

⚠️ NISAで持つときの注意点

🚫 HDVは新NISA成長投資枠で「新しく買う」ことができません

HDVは2026年6月に、年4回の分配から毎月分配に変わりました。新NISAの成長投資枠は、毎月分配型の投資信託・ETFを対象外にしています。
そのため、成長投資枠での新規購入はできなくなりました。すでにNISA口座で持っている分は、そのまま非課税で持ち続けられます。

SPYDとVYMは年4回の分配で、2026年9月時点では成長投資枠で買えます。
ただし取り扱いは変わることがあるので、買う前に証券会社の画面で確認してください。

👉 あわせて読みたい:HDVが新NISAで買えない?毎月分配型ETFと投資信託の注意点をわかりやすく解説

もう一つ、米国ETFの配当にかかる税金も知っておきたいところです。

口座 米国の税金(10%) 日本の税金(20.315%)
NISA口座 かかる かからない
特定口座 かかる(確定申告で一部を取り戻せる場合あり) かかる

NISAでも、米国で差し引かれる10%は取り戻せません。
日本株の配当をNISAで受け取るときのように「税金ゼロ」にはならない点に気をつけましょう。

👥 50代・60代は「役割」で考える

50代からの資産づくりでは、「いちばん上がりそうなのはどれか」だけでなく、そのETFにどんな役割を持たせるかが大切になります。

たとえば、こんな考え方があります。

今の段階 重視すること 合いやすいETFの例
🏢 現役で、まだ増やす時期 分散・低コスト・配当の伸び VYM
🧭 退職が近づき、配当を少し増やしたい 配当の質・守りの業種 HDV(特定口座で)/VYM
🏡 退職後、配当を生活費の足しにしたい 配当の厚さ SPYD(金利と業種の偏りに注意)

もちろん、1本に決める必要はありません。
たとえば「VYMを土台にして、SPYDを少し足して配当を厚くする」といった組み合わせもあります。

取り崩しの段階でどの口座から使うかも、あわせて考えておくと安心です。
👉 あわせて読みたい:老後資産はどこから取り崩す?NISA・特定口座・高配当株の“出口戦略”を徹底解説

🗾 日本の高配当株と組み合わせる意味

すでに日本の高配当株を持っている方にとって、米国高配当ETFにはもう一つ役割があります。
それが「国の分散」です。

日本の高配当株は、銀行・商社・通信・建設などが中心になりがちです。
そこに米国のヘルスケア・生活必需品・エネルギーなどを加えると、配当の出どころそのものを散らすことができます。

ただし、日本人が米国ETFを持つときは為替の影響を受けます。
ドル建てで配当が増えても、円高が進めば円に直した受取額は減ります。

つまり、「米国ETFのほうが利回りが高いから日本株を全部売る」という話ではありません。
日本株と米国株をどう組み合わせるか、という目線のほうが大切です。

👉 あわせて読みたい:ドル円163円時代、個人投資家はどう資産を守るべきか|円安・インフレ時代の新しい資産運用戦略

❓ よくある疑問

Q.すでにNISAで持っているHDVは売ったほうがいい?

毎月分配型になったことで、NISAで「新しく買い増す」ことはできなくなりました。
ただ、すでに持っている分はそのまま非課税で持ち続けられます。
中身(選び方のルール)が変わったわけではないので、慌てて売る理由にはなりにくいと私は考えています。

Q.3本とも持つのは「分散しすぎ」?

中身が重なっている銘柄はあります。
たとえばシェブロンやファイザー、ベライゾンは、HDVとSPYDの両方に入っています。
3本持つなら、上位銘柄の顔ぶれを並べて、重なり具合を一度確かめておくと安心です。

Q.毎月分配になったHDVは、受け取る配当が増えるの?

回数が増えるだけで、1年間の合計が増えるわけではありません。
年4回に分けていたものを12回に分けて受け取るイメージです。

🗣️ 私はこう考えています

“Price is what you pay. Value is what you get.”
(価格はあなたが払うもの。価値はあなたが得るもの)
— ウォーレン・バフェット(2008年 株主への手紙)

高配当ETFを選ぶとき、私はこの言葉を思い出します。

配当利回りは、あくまで「今の株価」で割った数字です。
その会社が本当に配当を払い続けられるかという「価値」までは教えてくれません。

今回あらためて3本を調べて、私がいちばん意外だったのはHDVの中身でした。
「約80銘柄」と聞くと分散されている印象を持ちますが、上位10社で半分を超え、石油大手2社だけで15%近くあります。
名前の「Core(中核)」という言葉のイメージとは、少し違う顔をしていました。

SPYDも同じです。「S&P500の高配当株」と聞くと安心感がありますが、実際は4分の1以上が不動産です。
金利が高い今の環境では、これは小さくない偏りだと私は感じています。

一方で、VYMの利回り2%台は、正直なところ地味に見えます。
それでも600社超に分散し、コストも最も低い。
61歳で再雇用で働いている私の立場で考えると、「まず土台を固める」役にはVYMのような商品がなじむと思っています。

ETFは名前が似ていても、中身を決めるルールはまったく違います。
利回りの数字を見たら、次に「上位10銘柄」と「業種の内訳」を必ず見る。
それだけで、買ってから「こんなはずじゃなかった」と思う場面は、かなり減らせるはずです。

✅ まとめ|HDV・SPYD・VYMは「目的」が違う

  • 🛡️ HDV:配当の質と財務の強さを重視。守りの業種が中心だが、上位10社で半分超。2026年6月から毎月分配となり、新NISA成長投資枠では新規購入できない
  • 💰 SPYD:配当の高さを重視。利回りは3本で最高だが、不動産・公益への偏りと「利回りの罠」に注意
  • 🌐 VYM:分散と低コストを重視。利回りは控えめでも、長く持つ土台にしやすい

大切なのは「どれがいちばん優秀か」ではなく、「自分が何を求めているか」です。

資産を増やす時期なのか、退職の直前なのか、すでに年金生活に入っているのか。
必要な配当の額によっても、答えは変わります。

利回りの数字だけで決めず、その裏にある「銘柄の選び方のルール」まで見てみてください。🔍
HDV・SPYD・VYMを並べると、その違いがとてもよくわかります。

NISAで米国ETFを買える証券会社を比べたい方は、こちらもどうぞ。
👉 50代・60代のNISA・高配当投資に向く証券会社比較【2026年9月版】

📚 あわせて読みたい関連記事

※本記事は筆者個人の考えをまとめたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。記載のデータは2026年9月16〜18日時点(業種の内訳は6月30日時点)のもので、ETFの価格・利回り・構成銘柄・NISAでの取り扱いは変わることがあります。最新情報はご自身でご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました