日銀1%利上げ・円安160円・日経平均6万9000円時代でも、積立投資は続けるべきか?

「日銀がついに政策金利を1%へ」「ドル円は160円台の歴史的円安」「日経平均は6万9000円台へ」――。2026年のいまは、ニュースを開くたびに景気のいい数字が並びます。半導体関連株は連日のように値を上げ、宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の大型IPO(新規株式公開)も大成功。一見すると、株式市場はかつてないほどの好調に見えます。

こうした熱気のなかで、50代・60代の方からよく聞くのが「今から積立を続けて大丈夫?」「むしろ乗り遅れる前に、もっと買ったほうがいいのでは?」という不安や焦りの声です。この記事では、結論を先にお伝えしたうえで、なぜそう考えるのかを、なるべく専門用語を避けてやさしく解説していきます。

結論はシンプルです。コツコツ続けてきたインデックス積立と高配当株投資は、これまでどおり続けてください。ただし、急騰している半導体株や話題のIPO銘柄を慌てて追いかけ買いするのは避け、「現金・債券・高配当株・インデックス」のバランスを崩さないこと。これが、相場が熱狂しているいまだからこそ大切な姿勢です。

今の相場は本当に絶好調なのか?

まず、足元の相場を冷静に整理してみましょう。日経平均が6万9000円台まで上がったといっても、その上昇は半導体やAI(人工知能)に関連する一部の銘柄に大きく偏っている可能性があります。指数全体が均等に強いのではなく、「一部の主役が指数を押し上げている」状態は、過去にも何度か見られた光景です。

次に円安です。ドル円160円という水準は、輸出企業の業績にとっては追い風になります。海外で稼いだドルが、円に換算すると大きく膨らむからです。しかし、私たちの生活者としての立場から見ると、円安は輸入物価を押し上げる逆風になります。たとえ原油価格が80ドル台に落ち着いても、円が安いために、日本国内のガソリンや食品の値段はなかなか下がりません。「企業業績は好調なのに、家計は苦しい」という状態が同時に起きうるのです。

さらに、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)の利下げ期待が後退し、米金利の高止まりが続くようだと、世界の株式市場には調整(下落)のリスクも残ります。金利が高いままだと、企業の借入コストが重くなり、割高に買われた株ほど売られやすくなるからです。

そして日本でも、日銀が31年ぶりに政策金利を1%へ引き上げる可能性が現実味を帯びています。金利が上がること自体は経済が正常化に向かうサインでもありますが、株式市場にとっては逆風になる場面もあります。つまり、表面上は強く見える相場でも、その内側ではリスクがむしろ高まっている可能性がある、ということです。

インデックス投資は続けるべき理由

「これだけ上がったのだから、いったん積立を止めたほうがいいのでは?」と感じる方は多いと思います。気持ちはよく分かります。しかし、ここで覚えておきたいのは、相場の天井(いちばん高いところ)は、プロでも誰にも当てられないということです。

「高値圏だから」と積立を止めてしまうと、その後さらに上昇した場合、その上昇分をまるごと取り逃がしてしまいます。逆に、毎月一定額を淡々と買い続ける積立投資には、「高いときは少なく、安いときは多く買える」という仕組みが自然に備わっています。これは値動きを読まなくてよい、初心者にもやさしい方法です。

S&P500(米国の代表的な株価指数)、オルカン(全世界株式)、NASDAQ系などのインデックス投資は、世界経済の成長をまるごと取り込むための「コア(中心)資産」として位置づけましょう。大切なのは、毎月の積立は続けながらも、急騰している場面でまとまったお金を一気に追加投資する(一括投資する)のは慎重にすること。積立は続け、暴落が来たときに買い増せる余力を残しておく――これが現実的なやり方です。

高配当株投資も続けるべき理由

高配当株投資も、これまでどおり続けてよい投資です。ただし、その役割を勘違いしないことが大切です。高配当株は、半導体株のように短期間で株価が何倍にもなるような投資ではありません。地味に見えるかもしれませんが、それでいいのです。

高配当株の本当の役割は、将来の配当収入を育て、老後の生活キャッシュフロー(毎月入ってくるお金の流れ)を補うことです。年金、配当、債券の利息、そして現金。この4つの収入源があれば、相場が暴落したときでも、資産を慌てて安値で売らずに済みます。生活費は配当や年金でまかなえるからです。

60代以降の投資では、値上がり益を狙うこと以上に、「安定した収入を作る」という視点がますます重要になります。そして今後の高配当株選びでは、単に利回りが高いだけの銘柄ではなく、累進配当(減配せず配当を維持・増額する方針)、DOE(株主資本配当率:自己資本に対して安定的に配当を出す指標)、自社株買い、そして財務の健全性をしっかり備えた銘柄を重視していきましょう。

今やってはいけない投資行動

では逆に、いまの熱狂相場で「やってはいけないこと」は何でしょうか。いちばん避けたいのは、地味な高配当株を売り払って、急騰している半導体株や話題のIPO銘柄に乗り換えてしまうことです。

スペースXのような大型IPOの成功は、たしかに魅力的に映ります。しかし、こうした熱狂はしばしば相場の「過熱」を示すサインでもあります。話題性だけを理由に、老後資金の中心(主力資産)を値動きの激しい銘柄に置き換えるのは、とても危険です。これらが上がっているのを見て「自分だけ取り残されている」と感じる、いわゆる機会損失への恐怖が、冷静な判断を狂わせます。

半導体・AI・IPO関連は、投資するとしても「サテライト(衛星=脇役)」として、少額にとどめるのが賢明です。資産全体の中心に据えるには、値動きが大きすぎるのです。スペースXのIPOが気になる方は、その仕組みとリスクを冷静に理解したうえで判断しましょう。

いま考えたい投資方針の全体像

ここまでの内容を、資産ごとの方針として一枚の表に整理しました。ご自身のポートフォリオ(資産の組み合わせ)と見比べてみてください。

投資対象方針
インデックス積立継続。ただし一括追加投資は慎重に
日本高配当株継続。累進配当・DOE・財務健全性を重視
半導体・AI関連株追いかけ買いは控えめに
スペースXなどIPO少額なら検討可。主力にはしない
債券・現金重要度アップ。暴落時の買い増し資金として確保
外貨資産円安対策として維持。ただし為替リスクも意識

具体的な買い方のポイント

方針が決まったら、次は「どう買うか」です。難しく考える必要はありません。次の点を意識するだけで、無理のない資産形成が続けられます。

  • インデックスは毎月の積立を継続する。相場のニュースに一喜一憂せず、淡々と続けるのが結局いちばん強い方法です。
  • 急騰している場面では、まとまった金額のスポット買い(一括買い)を抑える。「もっと上がりそう」という気持ちのときほど、立ち止まりましょう。
  • 高配当株は、利回りの高さだけで選ばない。配当の方針(累進配当・DOE)、財務の健全性、本業で安定して現金を稼げているか(営業キャッシュフロー)を確認します。
  • 配当利回りは3.5〜4.5%程度を一つの目安にする。利回りが極端に高い銘柄は、株価が下がっているだけで減配(配当の引き下げ)リスクを抱えている場合があります。
  • 債券や現金も一定の比率で持ち続ける。暴落が来たときに、この防御資産が「安く買い増すための弾」になります。

60代投資家にとって大切な考え方

最後に、60代以降の投資でもっとも大切にしてほしい考え方をお伝えします。それは、「最大の利益を狙うこと」よりも「相場の急落時に退場しないこと」を優先するという姿勢です。

現役世代であれば、暴落しても働いて取り返す時間があります。しかし、退職後は新たに大きな収入を得ることが難しくなります。だからこそ、大きく勝つことより、致命的な負けを避けることのほうがずっと重要なのです。資産の寿命を延ばすには、インデックス・高配当株・債券・現金のバランスを保つことが鍵になります。

派手に値上がりする銘柄へ乗り換えるよりも、将来の生活費を支える仕組みをコツコツ作っていく。投資には「買い続ける勇気」と「追いかけない我慢」の両方が必要です。この2つのバランスが取れている人こそ、長く相場に居続けられる人です。

まとめ:積立はやめるのではなく、買い方を整える

現在の市場は、日銀の利上げ、160円台の円安、物価高、半導体株への資金集中、IPOの熱狂など、絶好調に見えて、その内側にはいくつものリスクを抱えています。だからこそ、慌てて動くのではなく、これまでの方針を守ることが何より大切です。

  • インデックス投資は、世界経済の成長を取り込むために継続する。
  • 高配当株投資は、老後の配当収入を作るために継続する。
  • 債券と現金は、暴落時に資産を安値で売らないための防御資産として確保する。
  • 半導体株やIPO銘柄は、追いかけ買いをせず、持つとしても少額のサテライトにとどめる。

いまは、投資をやめる局面ではありません。投資方針を守りながら、買い方を慎重に整える局面です。結論はあらためてシンプルに――「積立は継続、追いかけ買いはしない、現金余力を守る」。この3つを胸に、これからも無理のない資産形成を続けていきましょう。

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※この記事は2026年6月時点の制度・市場環境・一般的な情報に基づく解説です。特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。市場や数値の見通しは執筆時点のもので、将来を約束するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴います。最終的な投資判断は、ご自身のリスク許容度に応じてご自身の責任で行ってください。

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