2026年、日本は長く続いたゼロ金利を抜け出し、ふたたび「金利のある世界」へと戻りました。10年物の日本国債の利回りは一時2.8%前後まで上昇し、わずかな利息しかつかない銀行預金とは大きな差が生まれています。「それなら、現金の代わりに国債を持ったほうがいいのでは?」——そう考える方が、いま静かに増えています。
ただし、国債は「利回りが高いから買えばよい」という単純なものではありません。通常の国債は金利が上がると価格が下がる一方、個人向け国債(変動10年)は“現金に近い安全資産”として見直されています。この記事では、なぜ今国債が注目されるのか、種類による違い、現金代わりの使い方、そして60代からの資産防衛の考え方を、投資が初めての方にもわかりやすく解説します。
「暴落のときに慌てないための待機資金を、どこに置くか?」——その答えのひとつが、日本国債にあるかもしれません。
なぜ今、日本国債が注目されるのか?(金利2.8%の意味)
「金利のある世界」が戻ってきた
長らく日本は、預けてもほとんど利息がつかない「超低金利」が当たり前でした。しかし物価の上昇(インフレ)が続いたことで日本銀行が政策金利を引き上げ、債券の利回りもじわじわと上昇。2026年には、安全な資産の代表である日本国債でも、年2.8%ほどの利回りが見込める場面が出てきました。
預金と国債の利回り差は「10倍以上」になることも
大手銀行の普通預金金利は、いまだ年0.1〜0.2%程度が中心です。同じ「ほぼ元本が守られる」お金の置き場所でも、国債なら利回りが大きく変わります。さらに見落とせないのがインフレの存在です。物価が上がると現金の価値は実質的に目減りします。利息のつかない現金を抱え続けることは、「何もしないリスク」を取っていることにもなるのです。
個人向け国債と通常国債の違い
通常の国債は「価格変動」がある
証券会社で売買される通常の国債(新発債・既発債)は、満期まで持てば額面が戻りますが、途中で売る場合はその時の価格で換金します。金利が上がると債券価格は下がる性質があるため、「金利上昇局面で途中売却すると、買った値段より安くなる」ことがあります。これが、よく言われる“国債のリスク”の正体です。
個人向け国債は「元本割れしない」設計
一方、国が個人のために用意した個人向け国債は、途中で換金しても元本(買った金額)が守られる仕組みです(直前2回分の利子相当額が差し引かれるだけ)。価格が上下する通常国債とは違い、「いつ解約しても元本は戻る」という安心感が大きな特徴です。仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
今こそ注目!「変動10年」が守りに強い理由
金利が上がっても置いていかれない
個人向け国債には「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3種類があります。なかでも注目されているのが変動10年です。これは半年ごとに金利が見直されるタイプで、世の中の金利が上がれば受け取る利子も増えていきます。「これから金利がどうなるか読めない」という今の局面では、金利上昇についていける変動10年が安心しやすいタイプといえます。
1年経てば中途換金できる手軽さ
個人向け国債は、購入から1年が経てばいつでも中途換金が可能です。元本が守られたうえで、必要なときに現金化できる——この「いざというときに引き出せる」性質こそ、現金の代わりとして注目される理由です。さらに最低0.05%の金利が保証されているため、金利が下がる局面でも一定の利息が確保されます。
高配当株投資家が国債を持つ意味
暴落時の「待機資金」になる
高配当株や株式中心で運用している方ほど、実は守りの資産が効いてきます。株価が大きく下がる局面では、「買い増したいのに現金がない」という状況に陥りがちです。利息を受け取りながら待てる国債を一定額持っておけば、暴落時に冷静に買い向かうための待機資金として活用できます。
「攻め」と「守り」のバランスを整える
株は値上がり益と配当という「攻め」、国債は元本の安定という「守り」。両方を組み合わせることで、相場が荒れたときの値動きをやわらげ、長く投資を続けやすくなります。金利のある時代における高配当株の見極め方は、次の記事も参考になります。
60代の資産防衛ポートフォリオ実例
「年代が上がるほど守りを厚く」が基本
退職金や年金生活が見えてくる60代は、大きく増やすことよりも「減らさないこと」が大切になります。よく知られた目安に「100マイナス年齢=株式の割合」という考え方があります。60代なら、株式などのリスク資産は3〜4割、残りを国債や預金などの守りの資産に、というイメージです。
配分イメージ(あくまで一例)
- 守りの資産(5〜6割):個人向け国債(変動10年)、預金など、すぐに使えるお金
- 安定収入の資産(2〜3割):高配当株・債券ETFなど、利息や配当を生む資産
- 攻めの資産(1〜2割):新NISAで積み立てるインデックス投資など
大切なのは、生活費の半年〜1年分は必ず現金や個人向け国債で確保しておくこと。そのうえで、余裕資金を配当や値上がりに回します。具体的な配分の考え方は、こちらの記事でも詳しく取り上げています。
国債は“現金の上位互換”なのか?
メリットと注意点を整理
個人向け国債(変動10年)は、「元本が守られる」「金利上昇についていける」「1年後はいつでも換金できる」という点で、ただ現金を寝かせておくよりも有利な面が多くあります。その意味で“現金の上位互換”と呼ばれることもあります。
ただし、注意点もあります。購入から1年間は換金できないこと、株式のように大きく増えるものではないこと、そして物価が国債の利回りを上回って上がれば、実質的な価値が目減りする可能性もあること。万能ではないからこそ、現金・国債・株式を役割で分けて持つことが大切です。守りを固めたうえで配当や成長を取りにいく——その全体像はこちらが参考になります。
まとめ:攻める資産と守る資産を分けることが、最大の防御
金利2.8%時代の到来で、日本国債は「現金の代わり」として十分に検討に値する存在になりました。特に個人向け国債(変動10年)は、元本を守りながら金利上昇にもついていける、シニア世代と相性のよい守りの資産です。
大切なのは、すべてを国債にすることでも、すべてを株にすることでもありません。「攻める資産」と「守る資産」を分けて持つこと——これこそが、老後投資における最大の防御です。まずは生活防衛資金を国債や預金でしっかり確保し、そのうえで余裕資金を配当や成長に回す。この順番を意識するだけで、相場が荒れても慌てずに済むはずです。
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※この記事は2026年時点の制度・一般情報に基づく解説です。特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。利回りや金利は今後変動する可能性があります。投資判断はご自身のリスク許容度に応じてご検討ください。

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