「年金だけで、老後は本当に大丈夫だろうか?」
50代・60代の方なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
2026年現在のしくみでは、年金だけで生活費のすべてをまかなうのは、むずかしい方が多いのが実情です。多くの場合、毎月いくらかの「足りない分」が出てきます。
この記事では、ふつうの会社員のモデルケースで、
- 年金がいくらもらえるのか
- 毎月・毎年いくら足りないのか
- 足りない分をどう埋めればよいか
を、やさしくお伝えします。
さらに、株やETF(株のつめ合わせ商品)から配当(りえきの分け前)を受け取る方法も、わかりやすくご紹介します。
65歳会社員の年金はいくら? リアル試算
モデルケース(ふつうの会社員夫婦・単身)
ここでは、毎月の給料が平均43万円で、会社に40年間つとめた方を想定します。
日本の公的年金は、2階建てです。
- 1階:国民年金(基礎年金)
- 2階:厚生年金(会社員が入る上のせ部分)
65歳からもらえる年金の目安は、だいたい次のとおりです。
- おひとりさま:月 約15万円(年 約180万円)
- ご夫婦(妻が専業主婦):月 約22万円(年 約264万円)
※あくまで平均です。実際の金額は、はたらいた期間や給料によって変わります。
自営業やパート中心だった方は要チェック
会社員としての期間が短く、自営業やパート中心だった方は、金額が下がりやすいので注意が必要です。
国民年金だけで40年間加入した場合、もらえるのは月およそ 6万8千円(2026年時点の目安) です。
ご夫婦どちらも自営業だった場合、二人合わせても月13〜14万円ほどになることもあります。
「自分はどのパターンに近いか?」を知ることが、老後の計画の第一歩です。
手取り(じっさいに使える金額)はいくら?
ここで大切なのが「手取り」です。
年金にも、じつは次のようなお金がかかります。
- 所得税
- 住民税
- 社会保険料(介護保険など)
そのため、額面よりも少し減ります。
手取りの目安
- おひとりさま:月 約13〜14万円
- ご夫婦:月 約19〜20万円
ねんきん定期便・ねんきんネットで確認しよう
自分の年金見込み額を知る、いちばん確実な方法があります。それが「ねんきん定期便」です。
毎年、誕生月にハガキや封書で届きます。
50歳以上の方には、今のペースで60歳まで働いた場合の見込み額 が書かれています。
もっとくわしく知りたい方には、日本年金機構の「ねんきんネット」もおすすめです。
- 24時間いつでも見られる
- 最新の金額を確認できる
- 「65歳でもらう」「70歳でもらう」など、受け取り開始時期を変えたシミュレーションもできる
登録は5分ほどで終わります。この一歩が、老後の計画を大きくしっかりさせてくれます。
月5万円・年60万円足りない理由
生活費はいくらかかる?
総務省の「家計調査」というデータによると、高齢者の生活費は次のとおりです。
- ご夫婦:月 約27万円
- おひとりさま:月 約15万円
年金と生活費の差
先ほどの年金の手取りと比べてみましょう。
- ご夫婦:20万円 − 27万円 = 月 約7万円たりない
- おひとりさま:14万円 − 15万円 = 月 約1万円たりない
ただし、これは「最低限の生活費」の話です。
- 旅行
- 趣味
- 病院代や介護のそなえ
こうしたゆとり分を考えると、 月5万円(年60万円)くらいの余裕がほしい という方が多いのが実情です。
物価が上がると、不足はもっと大きくなるかも
もう一つ、忘れてはいけないのが 物価の上昇(インフレ) です。
もし物価が毎年2%ずつ上がり、それが20年続くと、どうなるでしょうか?
- 今 月27万円で暮らせる生活
- →20年後には 月 約40万円必要になる計算
年金も物価に合わせて少しは増えますが、物価の上がり方すべてには追いつかないことがあります。
つまり、今の「年60万円不足」が、将来 年100万円以上の不足 になる可能性もあるのです。
だからこそ、早めのそなえが大切です。
足りない分を埋める3つの方法
老後の不足分をおぎなう方法は、大きく3つあります。
① 働きつづける
定年のあとも、無理のない範囲で働く方法です。
- メリット:収入が安定する
- デメリット:体力や、働ける場所があるかに左右される
② ちょ金や資産をくずして使う
これまでにためたお金を、少しずつ取りくずしていく方法です。
- メリット:すぐに実行できる
- デメリット:長生きした場合、お金がなくなる心配がある
③ 配当収入をつくる(おすすめ)
株やETFから、配当(りえきの分け前)を受け取る方法です。
- メリット:元のお金を減らさずに、収入を得られる
- デメリット:株価の変動や、配当が減るリスクがある
配当で月5万円を目指す投資のやり方
いくら必要? ざっくり計算
年60万円の配当をもらうには、いくら投資すればよいでしょうか?
投資したお金に対して、毎年4%の配当が出ると考えてみます。
60万円 ÷ 4% = 1,500万円
つまり、約1,500万円の投資で、年60万円の配当が期待できる計算になります。
どんな株やETFを選べばいい?
配当をもらう目的で選ぶときは、次のポイントが大切です。
日本株の場合
- 長く安定して配当を出してきた会社
- 無理せず配当を出している会社(配当性向=もうけのうち配当に回す割合がほどよい会社)
米国ETFの場合
- たくさんの会社にまとめて投資できるもの
- 長く続けて配当を出しているもの
どれも「参考」として考え、ご自分が受け入れられるリスクに合わせて選ぶことが大切です。
どんな業種に目が向けられやすい?
日本株で配当が多めの業種には、次のようなものがあります。
- 総合商社
- 大手の銀行・保険
- 通信
- 電気・ガスなどのエネルギー
- 海運
それぞれ景気のえいきょうの受け方がちがいます。
1つの業種にかたよらず、 3〜5つの業種に分けて持つ のが安心のコツです。
米国ETFなら、配当に強い商品を1〜2本、中心にすえる方法がわかりやすいでしょう。
大切なのは、 「利回りが高いか」だけでなく「配当を続けられる会社か」 を見ることです。
NISA(ニーサ)を使えば税金がゼロに
2024年に始まった新NISAには「成長投資枠」というものがあります。
- 年 240万円まで投資できる
- そこからの配当は 税金ゼロ で受け取れる
ふだん、配当には約20%の税金がかかります。
NISAを使えば、この税金がゼロになります。
- ふつう:年60万円の配当 → 約12万円が税金で引かれる
- NISA:年60万円の配当 → そのまま60万円もらえる
長く続ける投資と、とても相性のよい制度です。
配当を「また投資」にまわすと、お金が育つ
まだ働いている世代の方には、受け取った配当を生活費にせず、 もう一度投資に回す 方法もおすすめです。
これを「配当の再投資」といいます。
年4%の配当を、20年間ずっと再投資しつづけると、元のお金は およそ2倍以上 にふえる計算です。
毎月のつみ立てと合わせれば、ゼロから1,500万円を目指す場合でも、負担をかなり軽くできます。
- 今すぐ必要な配当は「受け取る」
- まだ余裕があるうちは「育てる」
この使いわけが、長期投資のカギになります。
知っておきたいリスク
高配当の投資にも、次のようなリスクがあります。
- 株価が下がるリスク
- 配当が減るリスク(減配)
- 円やドルの動きによるリスク(米国ETFの場合)
そのため、 1つの銘柄に集中させず、いくつかに分けて持つ ことが大切です。
「利回りが高すぎる株」にはご用心
配当利回りが6%や7%をこえる銘柄は、一見とてもお得に見えます。
しかし、会社の業績が悪くなって株価が下がり、結果として利回りが高く見えているだけ、というケースも少なくありません。
こうした銘柄は、翌年に配当を減らしたり、ゼロにしたりするリスクも高まります。
目安
- 利回り 3〜5%くらいの水準
- 過去10年以上、安定して配当を出してきた会社
この2つを軸に選ぶのが、堅実な考え方の一つです。
働く・くずす・配当の「合わせワザ」がおすすめ
ここまで3つの方法をご紹介しましたが、大事なのは 「どれか1つ」ではなく「組み合わせて使う」 という発想です。
たとえば、こんな流れです。
- 65〜70歳:短い時間だけ働く+配当は「また投資」に回して資産を育てる
- 70歳〜:働くのを減らし、配当+少しの取りくずしで、ゆとりのある生活
1つの方法にたよりきると、そこがくずれたときに、とても不安です。
いくつかの収入の入り口を持つこと。これが、長生きの時代にいちばん強い備えになります。
まとめ:まずは「自分の年金額」を知ることから
この記事では、次のことをお伝えしました。
- 65歳の会社員の年金は、手取りで月19〜20万円ほど(夫婦の場合)
- 多くの方で、年60万円(月5万円)くらいの不足が出やすい
- 対策として、高配当の株やETFによる配当収入は有効
- 年4%の利回りなら、およそ1,500万円で年60万円の配当が見込める
- NISAを使えば、配当にかかる税金はゼロ
そして最後に、読者のみなさまにおすすめしたい行動は、たった一つです。
👉 まずは「自分の年金見込み額」を知ること
ねんきん定期便やねんきんネットで、今の金額を確認してみましょう。
ここから、すべてが始まります。
そのうえで、足りない分をどう埋めるかを、少しずつ考えていけば大丈夫です。
老後の安心は、「知ること」と「小さく始めること」から生まれます。
あせらず、ゆっくり。今日からできる一歩を、ぜひふみ出してみてください。
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※この記事は2026年時点のせいどや一般的な情報をもとにした解説です。特定の銘柄や投資行動をおすすめするものではありません。じっさいの投資は、ご自身の判断とリスク許容度に合わせてご検討ください。

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