日本の高配当株に、まとめて投資したい。
そう考えて調べ始めると、まず出てくるのが「日経高配当株50」と「日経累進高配当株指数」の2つです。名前はよく似ています。どちらも「日経」が作った「高配当株」の指数です。
では、何が違うのでしょうか。どちらを見ればよいのでしょうか。
結論から書くと、違いはひとことで言えます。
📊 日経高配当株50
「いまの配当利回りが高いか」を重視
📈 日経累進高配当株指数
「10年以上減配していない実績」+「いまの高配当」を重視
そして2026年は、ひとつ面白いことが起きました。
6月の銘柄入れ替えのあと、日経新聞社が公表した予想配当利回りは、日経高配当株50が約3.96%、累進高配当が約4.33%。配当の安定性で銘柄をしぼり込んでいる累進高配当のほうが、利回りでも上回ったのです(日経高配当株50の発表/累進高配当の発表)。
「安定を求めると利回りは低くなる」とは限らない。この記事では、この点を軸に、2つの指数の「中身」の違いを掘り下げます。
💡 この記事の守備範囲
今回は「指数そのもの」の比較です。ETF・投資信託のコストや成績まで含めた商品選びの比較は、日経高配当株50・累進高配当・日本版SCHDの商品比較【2026年版】にまとめています。
私は61歳、再雇用で働きながら高配当株を持っている個人投資家です。同じ世代の皆さんと同じ目線で、なるべくやさしく書いていきます。
- 日経平均高配当株50指数とは?
- 2026年の日経高配当株50はどう変わった?🔄
- 日経高配当株50の特徴
- 日経高配当株50の過去のパフォーマンス
- 高配当株の注意点|「高配当の罠」
- 日経累進高配当株指数とは?
- 2026年の累進高配当指数は大幅入れ替え
- 累進高配当指数の仕組み
- 2026年は累進高配当の利回りが高配当50を上回った
- 累進高配当株指数の構成
- 累進高配当株指数の過去のパフォーマンス
- 日経高配当株50と累進高配当株指数を比較
- 50代・60代の「自分年金」で考えると?
- 実際に投資する方法
- 分配回数だけで選ばない
- 日経高配当50と累進高配当、どちらを見るべきか?
- 2026年の高配当投資は「配当利回り」から「配当の質」へ🔍
- 私はこう考えています
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- あわせて読みたい関連記事
- 出典
日経平均高配当株50指数とは?
正式名称は「日経平均高配当株50指数」。略して「日経高配当株50」と呼ばれます。
しくみは、次のとおりです(日経平均プロフィル:指数概要)。
- 母集団は日経平均の225銘柄。日本を代表する大企業だけが対象です
- その中から、予想配当利回りが高い50銘柄を選びます(5月末が基準)
- 組み入れる比率は「配当利回り」で決め、売買のしやすさ(流動性)で調整します
- 銘柄の入れ替えは年1回、6月末
ポイントは、比率の決め方です。ふつうの指数は「会社の大きさ(時価総額)」で比率を決めます。日経高配当株50は「利回りが高い会社ほど多く持つ」しくみです。
ただし、売買が少ない銘柄を多く持ちすぎないように、流動性で調整がかかります。そのため、日経平均の中でも規模が大きく売買の多い会社が中心の顔ぶれになります。
2026年の日経高配当株50はどう変わった?🔄
2026年6月30日、定期入れ替えが行われました。採用は11銘柄、除外は8銘柄です(日本経済新聞社 2026年6月12日発表)。
| 新規採用(11) | 除外(8) |
|---|---|
| 大和ハウス工業/ZOZO/東急不動産HD/クラレ/エーザイ/デンソー/SUBARU/クレディセゾン/あおぞら銀行/第一ライフグループ(旧・第一生命HD)/T&D HD | デンカ/日本電気硝子/三井金属/アマダ/住友商事/三菱商事/みずほFG/NIPPON EXPRESS HD |
採用と除外の数が合わないのは、年の途中で銘柄が減っていたからです。運用会社の解説によると、前回の見直し以降に3銘柄が除外され、47銘柄で運用されていたとのことです(アモーヴァ・アセットマネジメント)。たとえば2026年3月には、カシオ計算機が指数から外れています。今回の入れ替えで、50銘柄に戻りました。
三菱商事・みずほFGでも外れる
目を引くのは、三菱商事・住友商事・みずほFGの除外です。どれも「高配当株」の代表として名前が挙がる会社です。
この指数は、毎年5月末時点の予想配当利回りのランキングで選び直します。株価が大きく上がると、配当が同じでも利回りは下がります。その結果、ほかの銘柄に順位で抜かれれば、人気銘柄でも外れることがあります。
個別の除外理由は公表されていません。ただ、しくみから考えると、「業績が悪いから外れた」とは限らないことは押さえておきたい点です。
日経高配当株50の特徴
2026年8月末時点のファクトシートから、特徴を拾ってみます(日経平均高配当株50指数 月次ファクトシート)。
- 50銘柄に分散。上位10銘柄の合計比率は約36%です
- 大型株18・中型株31・小型株1。日経平均に採用された規模の大きな会社が中心です
- 業種の上位は自動車(約14.5%)・保険・海運・鉄鋼。景気の影響を受けやすい業種が多めです
- PER約13.4倍・PBR約0.99倍。日経平均(PER約22.1倍・PBR約2.74倍)よりかなり割安な水準です
PER(株価収益率)は「株価が利益の何年分か」、PBR(株価純資産倍率)は「株価が会社の正味の財産の何倍か」を表す数字です。どちらも低いほど「割安」とされます。
つまり日経高配当株50は、高配当・低PER・低PBRの「バリュー株(割安株)」の集まりという性格が強い指数です。
構成比率の上位には、本田技研工業、川崎汽船、野村HD、日本製鉄、日本郵船などが並びます。景気がよい時期には強く、景気が落ちこむ時期には配当も株価も揺れやすい顔ぶれです。
日経高配当株50の過去のパフォーマンス
配当を再投資したと考える「トータルリターン」で見ると、直近の成績は次のとおりです。公式の月次データから計算し、ファクトシートの数値と一致することを確かめました。

日経高配当株50の青い棒を見てください。2021年+28.24%、2022年+24.60%、2023年+40.55%、2024年+25.17%、2025年+28.34%。2026年も9月末までで約+27%です。
特に2022年は、日経平均(配当込み)が−7.34%だった年です。金利の上昇で、銀行・保険・商社などの割安株が見直されたことが追い風になったと考えられます。
⚠️ これは過去の実績であり、将来の成績を保証するものではありません。高配当株に追い風が吹いた5年間だった、という見方もできます。
高配当株の注意点|「高配当の罠」
ここで一度、配当利回りのしくみを確認しておきます。
配当利回り = 1年間の配当 ÷ 株価
この式は、株価が下がっても利回りが上がることを意味します。例で見てみましょう。
① 最初:株価2,000円・配当80円 → 利回り4%
▼ 業績が悪化して株価が半分に
② 見かけ:株価1,000円・配当80円 → 利回り8%(ランキング上位に!)
▼ その後、配当が40円に減配
③ 実際:株価1,000円・配当40円 → 利回り4%。しかも株価は半分のまま
②の時点で「8%もある!」と飛びつくと、③で配当も株価も減ってしまいます。これが「高配当の罠」です。
日経高配当株50は、日経平均の大企業に限定しているぶん、極端な例は入りにくい設計です。それでも「利回りの高さ」を基準に選ぶ以上、株価が下がった銘柄ほど選ばれやすいという性質は残ります。この点は「利回りが高いだけ」の株を買ってはいけない理由でも詳しく書きました。
日経累進高配当株指数とは?
もう一方の「日経累進高配当株指数」。愛称は「しっかりインカム」です(日経平均プロフィル:指数概要)。
- 対象は国内に上場するすべての銘柄(TOKYO PRO Marketを除く)
- そのうち10年以上、減配せずに増配か据え置きを続けた「累進配当」銘柄にしぼります
- その中から、予想配当利回りが高い30銘柄を選びます(一定の時価総額と流動性も考慮)
- 比率は時価総額ウエート(会社が大きいほど多く持つ)
- 入れ替えは年1回、6月末
日経高配当株50が「日経平均の中から」選ぶのに対し、こちらは上場企業全体から選びます。ここが大きな違いです。
「累進配当」と「連続増配」は違う
よく混同されるので、整理しておきます。
- 累進配当:前の年の配当を下回らないこと。据え置き(同じ額)もOK
- 連続増配:毎年、配当を増やし続けること。据え置きはNG

図2の左が累進配当です。100円→100円→110円→110円→120円のように、据え置きの年があっても「減らさない」限り条件を満たします。
真ん中の連続増配は100円→105円→110円→115円→120円と、毎年増えています。条件はこちらのほうが厳しくなります。
累進配当は「増え方」より「減らさないこと」に重きを置いた考え方です。配当を生活費にあてたい人にとっては、ここが大事なポイントになります。
なお、日経には連続増配を条件にした「日経連続増配株指数」という別の指数もあります。こちらはiFreePlus増配・高配当日本株と日経連続増配株指数の記事で取り上げました。
2026年の累進高配当指数は大幅入れ替え
「10年以上減配していない会社」を選ぶ指数なので、顔ぶれはあまり変わらない――。そう思われがちですが、実際は違います。
2026年6月30日の入れ替えでは、30銘柄のうち12銘柄が入れ替わりました(日本経済新聞社 2026年6月12日発表)。4割です。
| 新規採用(12) | 除外(12) |
|---|---|
| 日本M&AセンターHD/ディップ/野村不動産HD/ツムラ/関西ペイント/サカタインクス/コスモエネルギーHD/栗本鐵工所/全国保証/第一興商/第一ライフグループ/平和不動産 | 飯田グループHD/宮地エンジニアリングG/三菱瓦斯化学/三井化学/日本ゼオン/日本化薬/アステラス製薬/小野薬品工業/ENEOS HD/AGC/三井住友トラストG/SBI HD |
日経の発表によると、未採用の銘柄から配当利回りの高い銘柄を採用し、採用中の銘柄から配当利回りの低い銘柄を外したとされています。化学・医薬品の大手が多く外れ、サービス・不動産・中小型株が入りました。
つまり、累進高配当だからといって、同じ30銘柄をずっと持ち続ける指数ではありません。毎年、利回りの順位で見直されます。
ちなみに、第一ライフグループは今回、両方の指数に同時に採用されました。2つの指数を両方持つと、こうした「重なり」が生まれる点も知っておきたいところです。
累進高配当指数の仕組み
累進高配当指数のしくみは、ひとことで言うと「配当の履歴による品質フィルター」+「高配当株の定期入れ替え」です。2つの指数の選び方を並べると、違いがはっきりします。
📊 日経高配当株50
▼
▼
📈 日経累進高配当株指数
▼ 第1関門
▼ 第2関門
▼
第1関門で「過去に配当を減らした会社」を先に外す。これが、先ほどの「高配当の罠」へのひとつの備えになっています。
一方で、10年という長い実績が条件なので、最近になって株主還元を強めた会社は入りにくいという面もあります。
2026年は累進高配当の利回りが高配当50を上回った
ここが今回いちばん伝えたいポイントです。2026年6月の入れ替え後に公表された予想配当利回りを並べます。
日経累進高配当(入れ替え後・5月29日時点)
4.33%
日経高配当株50(入れ替え後・5月29日時点)
3.96%
(参考)日経平均(2026年8月末)
1.43%
出所:日本経済新聞社の入れ替え発表、各指数の月次ファクトシート
| 時点 | 日経高配当株50 | 日経累進高配当 |
|---|---|---|
| 2026年5月29日(入れ替え後で試算) | 3.96% | 4.33% |
| 2026年8月末(ファクトシート) | 3.53% | 3.97% |
8月末時点でも、累進高配当のほうが0.4ポイントほど高い状態が続いています。
「配当の安定性で銘柄をしぼると、そのぶん利回りは下がる」。そう考えるのが自然です。ところが2026年は、そうなりませんでした。
理由のひとつは、選ぶ範囲の広さだと私は考えています。累進高配当は日経平均の外、つまり中小型株からも選べます。中小型株には、配当を減らさずに続けてきたのに、株価が大企業ほど上がっていない会社があります。そうした会社が利回りを押し上げていると見られます。
ただし、利回りは株価と配当予想で毎日変わります。来年も同じ順番になるとは限りません。「いつも累進のほうが高い」と覚えるのではなく、「必ずしも低いとは限らない」と覚えておくのがよいと思います。
累進高配当株指数の構成
2026年8月末時点のファクトシートで、中身を見てみます(日経累進高配当株指数 月次ファクトシート)。
規模別の銘柄数(■大型 ■中型 ■小型)
日経高配当株50(50銘柄)
日経累進高配当(30銘柄)
大型=東証の時価総額1〜100位、中型=101〜500位、小型=501位以下。日経高配当株50の小型株は1銘柄。
累進高配当は、大型株がわずか3銘柄。中型14・小型13と、中小型株が9割を占めます。構成銘柄の時価総額の中央値は約4,100億円で、日経高配当株50(約1兆7,000億円)の4分の1ほどです。
一方で、比率は時価総額で決めるため、上位の大型・中型株に比率が集まります。上位10銘柄は次のとおりです。
| 銘柄 | 業種 | 比率 |
|---|---|---|
| MS&AD | 保険 | 7.64% |
| 東京センチュリー | その他金融 | 7.32% |
| 武田薬品工業 | 医薬品 | 7.23% |
| 第一ライフグループ | 保険 | 7.21% |
| 三菱HCキャピタル | その他金融 | 6.87% |
| 積水ハウス | 建設 | 6.59% |
| 東ソー | 化学 | 6.18% |
| 野村不動産HD | 不動産 | 6.10% |
| 王子HD | パルプ・紙 | 5.76% |
| コスモエネルギーHD | 石油 | 5.03% |
出所:日経累進高配当株指数 月次ファクトシート(2026年8月末時点)
上位10銘柄の合計比率(集中度)
日経累進高配当
約66%
日経高配当株50
約36%
「中小型株が多い」のに「上位10銘柄で約3分の2」。一見ちぐはぐですが、銘柄数は中小型株が多く、お金の比率は大きめの会社に集まるという構造です。業種では、その他金融(リース)・保険・化学・医薬品の比率が高めです。
構成銘柄の一覧は、日経の構成銘柄ページで確認できます。
累進高配当株指数の過去のパフォーマンス
図1のオレンジの棒が、累進高配当のトータルリターンです。2021年+22.10%、2022年+30.57%、2023年+28.32%、2024年+37.23%、2025年+36.54%でした。
ここで大事な注意があります。この指数の公表開始は2023年6月30日です。それより前の数字は、ルールを過去にさかのぼって当てはめた「遡及計算(バックテスト)」です。実際にその時期にこの指数があったわけではありません。
バックテストは、あとから見て「うまくいくルール」を作りやすい面があります。2021〜2022年の数字は、参考程度に見ておくのが無難です。
もうひとつ、2026年は9月末までで約+16%と、日経高配当株50(約+27%)を下回っています。毎年どちらかが勝ち続けるわけではないことが、図1からも読み取れます。
ちなみに、ファクトシートの「5年の年率リターン」はほぼ同じ(高配当株50が30.42%、累進高配当が30.51%)でした。値動きの大きさ(5年の標準偏差)は、累進高配当が13.29%、高配当株50が14.20%と、累進のほうがやや小さめです。いずれも2026年8月末時点の過去の数字です。
日経高配当株50と累進高配当株指数を比較
ここまでの内容を1枚の表にまとめます。
| 項目 | 日経高配当株50 | 日経累進高配当 |
|---|---|---|
| 銘柄数 | 50 | 30 |
| 母集団 | 日経平均の225銘柄 | 国内上場の全銘柄 |
| 選定基準 | 予想配当利回りの高さ | 累進配当の銘柄から予想配当利回りの高さ |
| 配当履歴の条件 | なし | 10年以上減配なし |
| ウエート方式 | 配当利回り(流動性で調整) | 時価総額 |
| 大型株 | 18銘柄(36%) | 3銘柄(10%) |
| 中小型株 | 32銘柄(64%) | 27銘柄(90%) |
| 2026年入れ替え | 採用11・除外8 | 採用12・除外12 |
| 予想配当利回り | 3.96%(5/29) 3.53%(8月末) |
4.33%(5/29) 3.97%(8月末) |
| 分散性 | 上位10銘柄で約36% | 上位10銘柄で約66% |
| 特徴 | 大型の割安株。景気敏感株が多め | 配当実績で絞り込み。中小型株が多い |
| 注意点 | 高配当の罠を避けるしくみは弱い | 銘柄数が少なく比率が集中。2023年6月以前は遡及計算 |
出所:日本経済新聞社の指数概要・2026年6月12日の入れ替え発表・2026年8月末の月次ファクトシート。大型株=東証の時価総額1〜100位。
整理すると、こうなります。
- 日経高配当株50 = 「いまの高配当」を見る指数
- 日経累進高配当 = 「過去の配当実績」+「いまの高配当」を見る指数
なお、2026年8月末時点で比べると、積水ハウス・王子HD・東ソー・UBE・武田薬品・丸井グループ・MS&AD・第一ライフグループの8銘柄は両方の指数に入っています。2つをセットで持つ場合は、この重なりも頭に入れておきたいところです。
50代・60代の「自分年金」で考えると?
20代〜40代の資産づくりは、「資産を大きく育てる」ことが中心です。配当は受け取らずに再投資するほうが効率的、という考え方も多くあります。
50代・60代になると、目的が少しずつ変わります。「育てた資産から、毎年お金を受け取る」ことの重要性が高まります。公的年金の不足分を配当で補う、いわゆる「自分年金」です。考え方の全体像は50歳からでも間に合う「自分年金」の作り方にまとめています。
自分年金として考えるなら、見たいのは今年の配当額だけではありません。
- 5年後も、同じくらいの配当が出ているか
- 10年後、物価が上がったときに配当も増えているか
- 不景気の年に、配当がどれくらい減るか
この視点で2つの指数を見ると、性格の違いが見えてきます。
- 日経高配当株50:50銘柄の大企業に分散。景気がよい時期の配当は厚いが、景気敏感株が多く、不景気には配当が揺れる可能性がある
- 日経累進高配当:配当を減らさなかった実績を重視。ただし30銘柄で、中小型株が多く、上位への集中度も高い
どちらが優れているという話ではありません。「分散の広さ」を重視するか、「配当の履歴」を重視するか。投資の目的や、ほかに持っている資産との組み合わせで、見方が変わります。
債券や米国の高配当株と組み合わせる考え方は、配当4%の株より米国債5%か?でも整理しています。
実際に投資する方法
指数そのものは買えません。指数に連動するETF(上場投資信託)や投資信託を通じて投資します。2026年9月末時点で確認できた代表的な商品は次のとおりです。
| 商品 | 種類 | 信託報酬(税込・年) | 分配 | 純資産 | NISA成長投資枠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日経高配当株50に連動 | |||||
| NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489) | ETF | 0.308% | 年4回(1・4・7・10月) | 約5,573億円(9/30) | 対象 |
| Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型) | 投資信託 | 0.10725% | 年6回(奇数月) | 約649億円(9月下旬) | 対象 |
| 日経累進高配当株指数に連動 | |||||
| (アムンディ・インデックスシリーズ)日本・高配当株 | 投資信託 | 0.198% | 年2回(5・11月) | 約101億円(9/30) | 対象 |
出所:NEXT FUNDS(野村アセットマネジメント)、アモーヴァ・アセットマネジメント、アムンディ・ジャパンの各公式ページ、みんかぶ投資信託。数値は2026年9月末前後の時点。最新情報は各社の資料でご確認ください。
NISAの制度そのものは金融庁のNISA特設ウェブサイトで確認できます。
1489は証券取引所で株と同じように売買するETFで、Tracersとアムンディは基準価額で1日1回売買する投資信託です。アムンディのファンドは設定が2025年4月と新しく、純資産は約100億円とまだ小さめです。
コスト差がどれくらい効くのか、ファンド同士の成績比較などは、ETF・投資信託まで含めた商品比較として【2026年版】日経高配当株50・累進高配当・日本版SCHDを徹底比較で詳しく書きました。
分配回数だけで選ばない
「年6回分配だから優れている」「年2回だから劣っている」。そう考えたくなりますが、分配回数は受け取りのリズムの違いにすぎません。
年6回でも年2回でも、もとになるのは組み入れた会社が払う配当です。回数を増やしても、1年間に受け取る総額が増えるわけではありません。
大切なのは、次のような点です。
- 指数の中身(どんな会社が入っているか)
- 運用コスト(信託報酬は毎年かかる)
- 配当の原資(会社の利益から出ているか)
- 企業の利益と増配の余力(無理をして配当を出していないか)
- 配当の成長(年金のように、物価に負けずに増えていくか)
生活費として毎月に近い形で受け取りたいなら回数は便利です。一方で、使う予定のない分配金は再投資の手間が生まれます。分配型と無分配型の考え方は60代で新NISA口座を使う場合の「毎月分配型」vs「無分配型」で整理しています。
日経高配当50と累進高配当、どちらを見るべきか?
ここでは勝ち負けはつけません。それぞれの「見どころ」を整理します。
📊 日経高配当株50を理解するポイント
✅ いまの高い利回り
✅ 大型株が中心
✅ 50銘柄に分散
✅ 割安なバリュー株の色が濃い
📈 累進高配当を理解するポイント
✅ 10年以上 減配なし
✅ 30銘柄に厳選
✅ 中小型株が多い
✅ 配当を続けてきた実績
「大企業に広く分散して、いまの配当を受け取りたい」のか。「配当を減らしてこなかった会社に、しぼって投資したい」のか。自分がどちらに近いかを考えると、見るべき指数が見えてきます。
2026年の高配当投資は「配当利回り」から「配当の質」へ🔍
ここ数年、日本企業の株主還元は大きく変わりました。
きっかけのひとつは、東京証券取引所が2023年から上場企業に求めている「資本コストや株価を意識した経営」です。これを受けて、多くの会社が次のような方針を打ち出しています。
- 累進配当:配当を減らさないと約束する
- DOE(株主資本配当率):利益ではなく、会社の正味の財産(自己資本)を基準に配当を決める。利益が落ちた年も配当がぶれにくい
- 増配や自社株買い:株主への還元そのものを増やす
DOEと累進配当の関係はDOE・累進配当・配当性向から読み解く「持続可能な高配当株」で詳しく解説しています。
こうした流れの中で、「利回り5%だから買う」という見方だけでは足りなくなってきたと私は感じています。見ておきたいのは、たとえば次の数字です。
- 利益:配当のもとになる、もうけ
- 営業キャッシュフロー:本業で実際に入ってきたお金
- フリーキャッシュフロー:投資を差し引いたあと、自由に使えるお金
- 配当性向:利益のうち何%を配当に回しているか。高すぎると余力が小さい
- DOEと自己資本:配当を支える財産の厚み
- 減配の履歴:過去に配当を減らしたことがあるか
指数を選ぶときも同じです。「利回りが何%か」だけでなく、その利回りがどんなルールで、どんな会社から生まれているかを見る。2つの指数の違いを知ることは、その練習になります。個別株で見るべき指標は決算シーズンに本当に見るべき5つの指標もあわせてどうぞ。
私はこう考えています
私自身、配当を生活の足しにする年齢になりました。再雇用の給料は現役時代より減り、数年後には年金生活が見えています。
正直に言うと、以前の私は「利回りの高い順」に株を選んでいました。4%より5%、5%より6%。数字が大きいほど得だと思っていたのです。
ところが、利回りにひかれて買った銘柄が減配し、株価も下がる経験を何度かしました。まさに先ほどの「高配当の罠」です。配当が減った年は、家計の計画まで崩れます。そこで気づいたのは、老後に必要なのは「高い配当」より「減らない配当」だということでした。
その意味で、累進高配当の「10年以上減配なし」という条件には共感します。しかも2026年は、その条件を付けても利回りが日経高配当株50を上回りました。安定と利回りを両立できる場面がある、というのは心強い話です。
一方で、30銘柄・中小型株中心・上位10銘柄で約3分の2という集中度は、気になる点です。1社の減配が指数全体に与える影響は、50銘柄の指数より大きくなります。また、2026年のように4割が入れ替わる年もあるなら、「減配しない会社をずっと持つ」というイメージとは少し違います。
日経高配当株50の「50銘柄・大企業中心」という安心感も、捨てがたいものです。景気に左右されやすいとはいえ、日本を代表する会社に広く分散されています。
ですから私は、どちらか一方を正解とは考えていません。土台として分散の広い指数、その上に配当履歴を重視した指数――という具合に、性格の違いを理解したうえで役割を分けるのがよいのでは、と考えています。これは私個人の考えで、皆さんの状況によって答えは変わります。
まとめ
- 日経高配当株50 = 「現在」を見る指数。日経平均の大企業から、いまの配当利回りが高い50銘柄を選ぶ
- 日経累進高配当 = 「過去+現在」を見る指数。10年以上減配していない会社から、利回りの高い30銘柄を選ぶ
- 2026年6月の入れ替えでは、高配当株50で三菱商事・住友商事・みずほFGが外れ、累進高配当は30銘柄中12銘柄が入れ替わった
- 入れ替え後の予想配当利回りは3.96%と4.33%。「累進配当株=利回りが低い」とは限らない
- 累進高配当は中小型株が9割、上位10銘柄で約66%と集中度が高い
- 累進高配当の2023年6月以前の成績は遡及計算を含む
⚠️ 最後に大切なことをひとつ。過去10年間減配していなくても、これから先も減配しないとは限りません。累進配当はあくまで過去の実績であり、未来の約束ではありません。
高配当投資では、配当利回りの高さだけでなく、その配当をどれだけ長く続けられるかという視点も持っておきたいものです。📌
よくある質問(FAQ)
Q. 日経高配当株50と累進高配当は何が違いますか?
A. 日経高配当株50は、日経平均の225銘柄から「いまの予想配当利回り」が高い50銘柄を選びます。日経累進高配当株指数は、国内上場企業のうち10年以上減配していない会社から、予想配当利回りが高い30銘柄を選びます。前者は「現在」、後者は「過去の配当実績+現在」を見る指数です。
Q. 累進配当とは何ですか?
A. 前の年の配当を下回らない、つまり「配当を減らさない」ことです。据え置きの年があっても構いません。毎年配当を増やす「連続増配」より、条件はゆるやかです。
Q. 日経累進高配当株指数は減配しませんか?
A. 減配しないとは限りません。指数が条件にしているのは「過去10年以上減配していないこと」で、将来の配当を保証するものではありません。また、指数の構成銘柄は毎年見直され、2026年は30銘柄中12銘柄が入れ替わりました。
Q. NISAで購入できますか?
A. 2026年9月末時点で、日経高配当株50に連動する「NEXT FUNDS(1489)」「Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」、累進高配当に連動する「(アムンディ・インデックスシリーズ)日本・高配当株」は、いずれもNISAの成長投資枠の対象です。取り扱いは証券会社ごとに確認してください。
Q. 1489と累進高配当ファンドはどちらが向いていますか?
A. どちらが優れているかは一概に言えず、目的によって変わります。大企業50銘柄に広く分散し、年4回の分配を受け取りたいなら1489の性格が合います。配当を減らしてこなかった会社にしぼり、中小型株も含めて投資したいなら累進高配当ファンドの性格が合います。コストや分配回数、純資産の規模も違うので、両方の資料を見比べて判断してください。
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出典
- 日本経済新聞社「日経平均高配当株50指数の銘柄定期入れ替えについて」(2026年6月12日)
- 日本経済新聞社「日経累進高配当株指数の銘柄定期入れ替えについて」(2026年6月12日)
- 日経平均プロフィル「日経平均高配当株50指数」/月次ファクトシート(2026年8月末)
- 日経平均プロフィル「日経累進高配当株指数」/月次ファクトシート(2026年8月末)
- アモーヴァ・アセットマネジメント「日経平均高配当株50指数(2026年6月の構成銘柄の見直しについて)」
- NEXT FUNDS(野村アセットマネジメント)1489 商品ページ
- アムンディ・ジャパン「日本・高配当株」商品紹介
- 日本取引所グループ「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」
免責事項
本記事は筆者個人の考えをまとめたもので、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。配当金や分配金は将来も同じ額が支払われるとは限りません。指数の過去の実績(遡及計算を含む)は、将来の運用成果を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。記載のデータは2026年10月1日時点で確認できたものです。

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