週明け10月26日(月)の東京市場は、株は小幅高、円は少し安く、債券は下落(利回りは上昇)という動きで始まりました。
株価が上がった理由は、中東情勢です。アメリカとイランの対立が深まり、原油の値段が高いままです。そのため、石油や天然ガスに関わる会社の株が買われました。
「エネルギー株が上がっているなら、高配当株の持ち主としては良い話では?」と感じた方もいるかもしれません。ただ、守りを重視する投資家にとっては、喜ぶ前に確かめておきたいことがいくつかあります。
この記事では、この日の相場を3つの見どころに分けて、できるだけやさしく整理しました。
この記事のポイント
- 10月26日朝は、TOPIX(東証株価指数)が小幅に上昇。原油高でINPEXなど石油関連株が値上がりしました
- 北海ブレント原油は、前週末23日に1バレル116.72ドルで取引を終えました。4月以来の高い水準です
- 背景には、トランプ大統領の「イランと合意するか、攻撃を再開するか。決断の時が近い」という趣旨の発言があります
- エネルギー株の上昇は地政学リスク(戦争や対立の不安)頼み。長く続くとは限りません
- 円安と原油高が重なると、多くの会社で燃料・原材料の費用が増えます。石油関連以外の保有株にも目を配りたいところです
- 金利が上がると、債券と比べたときの配当株の魅力が少し薄れます。今週は米FOMCと日銀の会合も控えています
10月26日朝の相場をざっくり整理
まず、この日の朝の動きを表にまとめます。いずれも午前中の速報ベースの数字です。
| 市場 | 動き | 主な理由 |
|---|---|---|
| 株式(TOPIX) | 小幅に上昇 (9時15分時点で3,982ポイント台、前週末比16ポイント高) |
原油高で石油・資源関連株が買われた |
| 為替(ドル円) | 円が少し安く、1ドル157円台前半まで | 原油高と米国の金利上昇でドルが買われた |
| 債券(日本国債) | 下落(利回りは上昇) | 先週まで続いた上昇がひと休み |
| 原油(北海ブレント) | 前週末23日に116.72ドル。4月以来の高値 | 米国によるイラン再攻撃への警戒 |
ポイントは、株価全体が大きく上がったわけではないことです。上げを引っぱったのは、エネルギー関連など一部の業種でした。
なお、26日朝の時間外取引では、原油は少し値下がりしていました。原油の値段は、ニュース1本で上にも下にも大きく動きます。この点は、あとで触れる「見どころ1」につながります。
なぜ原油が高いのか――中東情勢のいま
原油が高い一番の理由は、アメリカとイランの対立です。
- トランプ大統領は10月25日、イランについて「合意するか、攻撃を再開するか。決断の時が近づいている」という趣旨の発言をしました
- 米国の国防総省が、11月3日の中間選挙のあとに作戦を再開する計画をつくったとも報じられています(最終決定はしていないとされます)
- 一方で、カタールの関係者がイランの首都テヘランを訪れるなど、話し合いで緊張をやわらげる動きも続いています
市場は「また攻撃があれば、原油の輸送が止まるかもしれない」と心配しています。その不安が、原油の値段を押し上げています。
北海ブレント原油は、23日に1バレル116.72ドルで取引を終えました。4月29日以来の高い水準で、1週間で約6%上がっています。
ここで大事なのは、「実際に原油が足りなくなった」のではなく、「足りなくなるかもしれない」という不安で上がっている面が大きいことです。合意のニュースが出れば、反対に大きく下がることもあり得ます。
見どころ1:エネルギー高配当株の追い風は「地政学頼み」
26日の朝は、INPEX(1605)や石油資源開発(1662)が大きく値上がりしました。どちらも、原油や天然ガスを掘り出して売る会社です。原油が高くなると、売上や利益が増えやすい仕組みになっています。
INPEXは、配当利回りの高さから高配当株として持っている方も多い銘柄です。保有している方には、うれしい値動きでしょう。
ただ、守りの投資家として気をつけたいのは、この上昇が「会社の実力」ではなく「中東の緊張」で動いている点です。
- 中東で合意が成立すれば、原油が下がり、株価も下がる可能性があります
- 資源会社の利益は原油価格で大きく変わります。配当も利益に連動して増えたり減ったりしやすい業種です
- 値上がりを見て買い増すと、高いところで買ってしまうおそれがあります
エネルギー株は、ポートフォリオ(持っている株の組み合わせ)の中で「インフレや原油高への保険」の役目を果たしてくれます。保険として一定の割合を持つのは一つの考え方です。ただ、上がったからといって割合を大きく増やすのは、守りの投資とは少し違うと私は考えています。
見どころ2:円安×原油高は、ほかの保有株の「費用増」になる
日本は、使う原油のほとんどを海外から買っています。しかも、そのおよそ9割を中東から輸入しています(2025年は94.0%。資源エネルギー庁の資料より)。
原油はドルで取引されます。そのため、原油高と円安が同時に起きると、日本の会社にとっては二重の値上がりになります。
例:原油が1割高くなり、円も1割安くなった場合
円で払う原油代は、およそ2割強(1.1×1.1=1.21倍)増えます。
この負担を受けやすいのは、たとえば次のような業種です。
- 空運・陸運・海運:燃料代が増えます
- 化学:石油からつくる原材料が値上がりします
- 電力・ガス:燃料費が増えます。料金に反映されるまで時間差があり、その間は利益が圧迫されがちです
- 食品・日用品:原材料費や運送費が増えます。値上げできるかどうかで差が出ます
高配当株のポートフォリオには、電力・ガスや化学、食品などが入っていることも多いと思います。エネルギー株が上がって全体の評価額が増えて見えても、中身では別の株が負担を受けていることがあります。
こうした費用の増加は、すぐには決算に出ません。次の決算発表で「燃料費・原材料費の増加で利益見通しを下げる」会社が出てこないかを見ておくと安心です。10月下旬から11月は、ちょうど中間決算の発表が続く時期です。
原油高で追い風になる業種と逆風になる業種の分かれ方は、原油100ドル超の局面で高配当株の追い風と逆風を整理した記事でも詳しく書きました。
また、家計にとっても、ガソリン代や電気代の値上がりにつながります。配当を生活費の足しにしている方は、支出の側が増えることも頭に入れておきたいところです。
見どころ3:金利上昇で「配当株の魅力」は少し薄れる
この日は、日本の債券も下落しました。債券の値段が下がると、利回り(債券を持ったときに受け取れる利息の割合)は上がります。
日本の長期金利(10年国債の利回り)は、9月に一時3%台まで上がり、10月中旬も2.9%台にあるなど、ここ30年ほどで見たことのない高さにあります。原油高は物価を押し上げるため、「日銀がまた利上げするのでは」という見方につながり、金利を上げる方向に働きます。
金利が上がると、配当株には次のような影響があります。
- 比べる相手が強くなる:配当利回り4%の株と、利回り3%の国債。値下がりのリスクがほぼない国債の利回りが上がるほど、配当株を選ぶ理由は少し弱くなります
- 借金の多い会社は利払いが増える:電力や不動産など、借入金の多い業種は負担が増えやすくなります
- 銀行・保険にはプラスの面も:貸出金利や運用利回りが上がり、利益が増えやすくなります
国債と高配当株をどう比べるかは、日本国債3%・米国債5%・高配当株4%を比べた記事で整理しています。
今週は、米国のFOMC(10月27〜28日)と日銀の金融政策決定会合(10月29〜30日)が続きます。日銀は今回は金利を据え置くという見方が多いものの、次の利上げの時期についての発言に注目が集まりそうです(FOMCと日銀の違いはこちらの記事で解説しました)。結果次第で、金利も為替も株も動く可能性がある1週間です。
守りの投資家として、今週確かめたい4つのこと
ここまでの話を、手元で確かめられる形にまとめます。
- 業種の割合を見る:エネルギー株の値上がりで、ポートフォリオの中の割合が大きくなりすぎていないか
- 「費用増」の業種を確かめる:電力・ガス、化学、運輸、食品などを持っていれば、次の決算で利益見通しがどうなるか
- 買い増しは急がない:上がった株を追いかけず、買うなら何回かに分けて時期をずらす
- 金利と比べる:持っている株の配当利回りと、国債や個人向け国債の利回りを並べてみる
どれも、今すぐ売り買いするための確認ではありません。「何が起きても慌てないために、自分の持ち物を知っておく」ための確認です。
私はこう考えています
中国の古い兵法書『孫子』に、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という一節があります。相手と自分の両方をよく知っていれば、何度戦っても負けることはない、という意味です(『孫子』謀攻篇)。
相場に当てはめると、「相手」は中東情勢や原油の動きです。正直に言うと、ここは私たち個人投資家には読み切れません。トランプ大統領が合意を選ぶのか、攻撃を選ぶのか。専門家の見方も分かれています。
一方で、「己」、つまり自分のポートフォリオの中身は、自分で確かめることができます。どの業種を何割持っているか。原油が上がると得をする株と、損をする株はどれか。金利が上がると困る株はどれか。
私が今回の相場で大事にしたいのは、この「己を知る」ほうです。エネルギー株の値上がりは、ありがたい話です。ただ、それに引っぱられて「もっと買っておけばよかった」と考え始めると、守りの投資から離れていきます。
原油が上がる局面では資源株が支えになり、原油が下がる局面ではほかの業種が持ち直す。そういう業種のバランスで、どちらに転んでも配当が大きく減らない形にしておくこと。それが、再雇用で働きながら配当を育てている私にとっての「守り」だと考えています。
もう一つ気にしているのは金利です。国債の利回りが3%前後まで上がってきた今、「配当利回りが国債と大して変わらないのに、値下がりのリスクを取っている株」はないか。保有株を一度見直す良い機会だと感じています。
結局のところ、今週の相場で私がすることは多くありません。持ち物を確かめ、決算と中央銀行の発表を落ち着いて待つ。それで十分だと思っています。
まとめ
- 10月26日朝は、原油高でエネルギー関連株が上がり、TOPIXは小幅高。円は157円台前半、債券は下落(利回りは上昇)でした
- 原油高の主な理由は、米国とイランの対立による「供給が止まるかもしれない」という不安です。合意となれば逆に動く可能性もあります
- エネルギー高配当株には追い風ですが、地政学頼みの上昇です。割合を増やしすぎないことが守りにつながります
- 円安と原油高の組み合わせは、電力・化学・運輸・食品など、ほかの保有株の費用を押し上げます。次の決算に注目です
- 金利上昇で国債と比べた配当株の魅力は少し薄れます。今週のFOMC・日銀会合の結果も見ておきたいところです
相場が大きく動く週こそ、売り買いを急がず、自分の持ち物を確かめる時間にしたいですね。
参考資料
- ブルームバーグ「【日本市況】TOPIXは小幅上昇、原油高止まりで関連株高い-債券下落」(2026年10月26日)
- CNBC「Brent crude oil tops $116, a six-month high, as tensions swell in the Middle East」(2026年10月23日・英語)
- 財経新聞(フィスコ)「INPEX 大幅反発、中東情勢緊迫化で週末にNY原油相場が上昇」(2026年10月26日)
- 財経新聞(フィスコ)「東京為替:ドル・円は上昇、157円台前半で伸び悩み」(2026年10月26日)
- 資源エネルギー庁「エネルギーを巡る最近の動向について」(2026年6月・PDF、原油の中東依存度)
- 日本銀行(金融政策決定会合の日程)
※本記事は筆者個人の考えをまとめたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。記載のデータは2026年10月26日午前時点の速報をもとにしており、その後の値動きで変わることがあります。筆者は投資助言の資格を持っていません。

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