2026年の米国株市場では、少し変わったことが起きています。長いあいだ「これを買っておけば」と言われてきたS&P500やオルカン(全世界株式)よりも、米国高配当株ETFのSCHDのほうが大きく値上がりしているのです。
ただ、1年の成績だけで投資先を決めるのは危うい判断です。この記事では3本を同じ日付・同じ条件でならべ直し、リターンだけでなく最大下落率や相関係数まで数字で確かめます。
📌 この記事の要点(2026年11月4日の米国市場終値時点)
- 2026年の年初来リターンはドル建てでSCHD +35.3%、S&P500 +13.3%、オルカン +12.7%。20ポイント以上の差です。
- ただし過去5年の年率リターンはSCHD +10.6%、S&P500 +11.9%。長い目で見ればS&P500がまだ上です。
- 2026年の上昇は配当が増えたからではありません。分配金は前年同期比+0.8%とほぼ横ばいでした。
- SCHDとS&P500の相関は0.67。S&P500とオルカンは0.98で、この2本はほぼ同じ動きです。
- 2020年のコロナショックではSCHDも-32.8%下落。「高配当だから下がらない」は誤解です。
※数値は特記のない限り2026年11月4日の米国市場終値を基準日とし、分配金を再投資した前提で筆者が算出。税金・手数料は含みません。
📈 2026年、なぜSCHDが注目されているのか?
2026年の米国株は、2023〜2025年とは景色が変わりました。背景には4つの出来事が重なっています。
1つめは、エネルギー価格と物価の再上昇です。 中東情勢の緊迫を受け、北海ブレント原油は2025年12月末の約61ドルから2026年10月末には約118ドルまで上昇しました。
2つめは、金利が下がらなかったことです。 FRB(米連邦準備制度理事会)は2026年9月16日に0.25%の利上げを行い、10月の会合では年3.75〜4.00%で据え置きました。声明文は「インフレは依然として高い」と述べ、2名の委員はさらなる利上げを主張して反対票を投じています。米10年債利回りも10月初めに5.3%台をつけました。
金利が高い時期は、遠い将来の利益を期待して買われる成長株より、いま利益と配当を出している企業が評価されやすくなります。
3つめは、AI関連株への見方の変化です。 AI向け設備投資は2026年も拡大しましたが、いつ利益になるのかという疑問も出てきました。資金の一部が高配当株・バリュー株へ移った面があります。
4つめが、11月3日の米中間選挙です。 民主党が議会で勝利し、翌4日の米国株は大きく上昇しました(ダウ平均約1,569ドル高、S&P500約1.6%高)。ただし同じ日、中東情勢の緩和期待から原油が急落したことも伝えられています。選挙結果だけが理由だとは決めつけられません。
SCHDの好調は一時的でしょうか。正直に書くとまだ分かりません。「高金利・資源高・バリュー優位」という今年の環境にSCHDの設計がかみ合った結果と見るのが自然で、それが2027年も続く保証はありません。
🔎 SCHDとは?高配当だけではない4つの選定基準
SCHDの正式名称は「Schwab U.S. Dividend Equity ETF」。米国のシュワブ・アセット・マネジメントが運用するETFで、2011年10月20日に設定され、「ダウ・ジョーンズ米国配当100指数」に連動します。中身をくわしく見た回は[こちらの記事](https://favorite-song.com/schd-vs-sp500-all-country-2026/)にまとめたので、ここでは要点だけ確認します。
大事なのは、SCHDが利回りの高い順に買っているわけではない点です。10年以上続けて配当を出している米国企業(REITは除く)から利回りが高いほうの半分に絞り、次の4つで採点します。
- フリーキャッシュフロー÷総負債(借金に対して自由に使える現金を稼げているか)
- ROE(自己資本利益率)
- 配当利回り
- 過去5年の増配率
この総合順位から約100社が選ばれます。入れ替えは年1回(3月)、組入比率の調整は四半期ごと。1銘柄・1業種の上限もあり、極端な偏りが出にくい設計です。順位が下がった翌日に外れるわけではありません。
株価が急落した会社は見かけの利回りだけが跳ね上がり、減配されれば配当も株価も失います。これが「高配当の罠」で、利回りだけで選ばない理由です。日本株の累進配当(減配しない方針)やDOE(株主資本配当率)も配当の安定を重んじる点では似ていますが、あちらは各社の「宣言」、SCHDは数字による選び直しという違いがあります。
SCHDの基本データ(シュワブ公式・2026年11月4日時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 経費率 | 年0.060% |
| 純資産総額 | 約1,228.9億ドル |
| 組入銘柄数 | 102銘柄(11月3日時点) |
| 分配頻度 | 年4回(3・6・9・12月) |
| SEC利回り(30日) | 3.10%(11月3日時点) |
| 分配利回り(過去1年) | 3.24%(9月30日時点) |
セクター比率(9月30日時点)は生活必需品19.97%、ヘルスケア19.20%、エネルギー15.38%、情報技術12.22%、資本財11.28%、金融9.14%など。上位10銘柄(11月3日時点)はテキサス・インスツルメンツ(4.80%)、P&G(4.30%)、コカ・コーラ(4.21%)などで、合計約41%です。
📊 SCHD・S&P500・オルカンの運用成績を比較
公平に比べるため、3本ともETFの調整後終値(分配金を再投資した価格)を使い、同じ開始日・終了日でそろえました。S&P500は連動ETFのSPY、オルカンはMSCI ACWI連動ETFのACWIです(国内の「オルカン」そのものの成績ではありません)。

表1:ドル建てトータルリターン(2026年11月4日まで/分配金再投資・税引前)
| 項目 | SCHD | S&P500(SPY) | オルカン(ACWI) |
|---|---|---|---|
| 2026年 年初来 | +35.3% | +13.3% | +12.7% |
| 過去1年 | +41.8% | +14.8% | +15.0% |
| 過去3年(年率) | +19.9% | +22.3% | +21.1% |
| 過去5年(年率) | +10.6% | +11.9% | +10.1% |
| 過去10年(年率) | +13.8% | +15.5% | +12.7% |
| 分配利回り(直近1年実績) | 2.91% | 0.99% | 1.42% |
※年初来は2025年12月31日終値→2026年11月4日終値。3年・5年・10年の起点は2023年11月3日・2021年11月4日・2016年11月7日。分配利回りは直近4回(ACWIは2回)の分配金合計÷11月4日終値の実績値。
読み取れることは2つ。2026年の差は本物で、直近1年では27ポイント近い差がつきました。いっぽう長期ではS&P500が上で、3年・5年・10年のいずれの年率リターンでもS&P500が上回ります。暦年で見るとさらにはっきりします。

SCHDは2022年(-3.3%、S&P500は-18.2%)には圧倒的に強かった一方、2023〜2025年は3年続けて大きく負けていました(2023年は+4.5%対+26.2%)。2026年だけを見て「SCHDのほうが優れている」と結論づけるのは、時期を選んだ見方です。
もう1つ、見落とされやすい事実があります。2026年のSCHDの分配金は第1〜第3四半期の合計で1株0.7759ドル。前年同期0.7694ドルに対し+0.8%とほぼ横ばいです。好成績は配当が増えたからではなく株価が上がったからで、分配利回りは2025年末の約3.9%から約2.9%に下がりました。買う時期で受け取れる配当は変わります。
💴 円建てで比較するとどうなる?
私たちが手にするのは円です。ドル建てで上がっても、円高が進めば利益は目減りします。円建ての収益率は次の式で計算できます。
(1+ドル建て収益率)×(期末のドル円÷期首のドル円)− 1
ドル建てで+10%でも、1ドル158円が142円(約10%の円高)になれば円建てはほぼゼロ。逆に円安なら上乗せされます。
表2:円建てトータルリターン(同じ期間・分配金再投資・税引前)
| 項目 | SCHD | S&P500 | オルカン |
|---|---|---|---|
| 2026年 年初来 | +37.0% | +14.8% | +14.2% |
| 過去1年 | +45.7% | +18.0% | +18.2% |
| 過去3年(年率) | +22.0% | +24.4% | +23.2% |
| 過去5年(年率) | +18.1% | +19.5% | +17.6% |
※ドル円は同じ日付の終値を使用。2021年11月4日は114.07円、2025年12月31日は156.41円、2026年11月4日は158.47円でした。

過去5年の円建てリターンが年率18〜19%と大きいのは、実力というより円安の影響です。この5年でドル円は114円台から158円台へ約39%の円安が進みました。今後円高に戻れば、同じドル建てリターンでも円建ての成績は小さくなります。
なお、ETFが内部で負担する経費(SCHDなら年0.06%)は、使った価格にすでに反映されています。いっぽう、次のものは含まれていません。
- 日本の税金(課税口座の場合、分配金・売却益への約20.315%)
- 国内の投資信託で持つ場合の信託報酬
- 売買手数料・為替手数料
- 米国での配当源泉徴収(通常10%。NISAでも取り戻せません)
国内の投資信託に置き換えると、この分だけ手取りは下がります。「ETFの成績=自分の手取り」ではありません。
⚠️ 最大下落率とリスクを比較
リターンと同じくらい大事なのが「最悪どれくらい下がるか」です。すべて日次データでそろえました(月末ベースとは混ぜていません)。

表3:過去5年(2021年11月4日→2026年11月4日)のリスク指標
| 指標 | SCHD | S&P500 | オルカン |
|---|---|---|---|
| 年率リスク(ドル建て) | 14.4% | 17.2% | 16.3% |
| 最大下落率(ドル建て) | -16.8% | -24.5% | -26.4% |
| シャープレシオ(ドル建て) | 0.47 | 0.47 | 0.39 |
| 年率リスク(円建て) | 17.5% | 20.2% | 19.1% |
| 最大下落率(円建て) | -21.1% | -23.9% | -20.9% |
※年率リスクは日々の値動きのばらつきを年単位に直した数字で、損失の上限ではありません。最大下落率もその期間に実際に起きた下げで、今後を保証するものではありません。シャープレシオは(年率リターン−無リスク金利3.83%)÷年率リスクで求めた簡便な値です(厳密な定義とは少し違います)。
ドル建てで見ると、SCHDは値動きが小さく下落も浅く済んでいます。ただしシャープレシオはS&P500と同じ0.47。「リスクあたりの効率」で見ると、この5年、両者はほぼ同じ水準でした。
注目してほしいのが円建ての最大下落率です。SCHDはドル建て-16.8%に対し円建てでは-21.1%と悪化します。2024年11月〜2025年4月に株安と円高が同時に進んだためです。為替はリスクを増やす方向にも働きます。
表4:危機ごとの下落率(日次・各期間内の高値からの下落)
| 局面 | SCHD | S&P500 | オルカン |
|---|---|---|---|
| 2020年コロナショック(2/19→3/23・ドル) | -32.8% | -33.7% | -33.3% |
| 2022年インフレ・利上げ(1/3→10/14・ドル) | -16.8% | -24.5% | -26.4% |
| 2025年の下落局面(暦年・ドル) | -14.0% | -18.8% | -16.5% |
| 2025年の下落局面(暦年・円) | -19.7% | -23.9% | -20.9% |
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分かもしれません。
2020年のコロナショックでは、SCHDも-32.8%下がりました。 S&P500の-33.7%とほとんど変わりません。市場全体がパニックになる局面では高配当株も一緒に売られます。
SCHDが相対的に強かったのは、2022年のように「金利上昇で成長株が売られた」局面です。下落の理由によって効く・効かないが変わります。「SCHDはS&P500より必ず安全」という言い方は事実と合いません。
🧩 相関係数から考える本当の分散効果
3本を組み合わせると、どれくらい分散になるのか。円建ての月次リターン60か月分(2021年10月末→2026年10月末)から相関係数(2つの値動きがどれだけ似ているかを示す指標)を計算しました。1に近いほど同じ動き、0に近いほど別の動きです。

表5:相関係数(円建て月次・直近60か月)
| SCHD | S&P500 | オルカン | |
|---|---|---|---|
| SCHD | 1.00 | 0.67 | 0.67 |
| S&P500 | 0.67 | 1.00 | 0.98 |
| オルカン | 0.67 | 0.98 | 1.00 |
S&P500とオルカンの相関は0.98。 ほとんど同じ動きです。理由は中身にあります。オルカン(MSCI ACWI)は全世界に投資する指数ですが、米国が約65%(ACWIの公表値・2026年11月3日時点)を占め、上位銘柄には米国の巨大テック企業が並びます。「両方持てば分散になる」と思われがちですが、実態としては重なりが大きいのです。
いっぽうSCHDとの相関は0.67。こちらは「地域」ではなく「投資スタイル」の違いによる分散です。時価総額の大きい順に買う指数と、配当・財務・収益力で選ぶ指数では効きやすい相場が違います。この0.67が、SCHDを組み合わせる意味を示しています。
ここで2つ注意があります。1つは、値動きが似ていることと、投資先が同じであることは別だということ。ACWIの約35%は米国以外の株で、その分の広がりは残ります。相関0.98が示すのは「短期の値動きの分散が効きにくい」ことであって、地域分散そのものが消えるわけではありません。
もう1つは、0.67は「逆に動く」という意味ではないことです。2020年に3本とも30%以上下げたように、世界的な急落では一緒に下がります。株式同士の分散には限界があり、この点は後の債券・現金の話につながります。
🏦 楽天SCHDとSBI SCHDを比較
日本でも、SCHDに投資する投資信託を楽天証券・SBI証券などで買えます。主なものは次の4本です。
表6:国内のSCHD関連投資信託(2026年11月4日時点)
| 項目 | 楽天・SCHD (四半期決算型) |
楽天・SCHD (資産成長型) |
SBI・S・米国高配当株式 (年4回決算型) |
SBI・S・米国高配当株式 (年1回決算型・成長型) |
|---|---|---|---|---|
| 設定日 | 2024年9月18日 | 2025年7月25日 | 2024年12月20日 | 2025年9月12日 |
| 実質的な信託報酬(税込) | 年0.1238% | 年0.1238% | 年0.1227%程度 | 年0.1227%程度 |
| 純資産総額 | 2,839億円 | 103億円 | 2,502億円 | 33億円 |
| 決算頻度 | 年4回(2・5・8・11月25日) | 年1回(8月25日) | 年4回(3・6・9・12月28日) | 年1回(9月28日) |
| 分配金の実績 | 95円(2026年8月) | 設定来0円 | 95円(2026年9月) | 設定来0円 |
| NISA | 成長投資枠 | 成長投資枠 | 成長投資枠 | 成長投資枠 |
※信託報酬は各社が示す「実質的な負担(概算)」で、監査費用などその他の費用は含みません。楽天の2本は投資先ETF(SCHD)の経費率0.06%を運用会社がファンドに充当するため、実質負担は信託報酬と同じ年0.1238%程度。SBIの2本は0.0627%+ETF約0.06%=約0.1227%です。4本とも成長投資枠の対象で、つみたて投資枠の対象ではありません(金融庁の対象商品リスト・2026年10月23日時点で4本とも不掲載)。純資産は国内の公表日ベースで、米国ETFの11月4日終値と同時点ではありません。分配金0円は設定来の実績で、今後を保証するものではありません。
コストはほぼ横並びです。0.1227%と0.1238%の差は100万円あたり年11円程度。この差で選ぶ意味はありません。違いが出るのは次の2点です。
- 純資産総額:楽天(四半期決算型)2,839億円、SBI(年4回決算型)2,502億円とこの2本が大きく育っています。年1回決算型はまだ小さく、特にSBIの成長型は33億円。繰上償還を気にする方は規模の大きいほうが安心です。
- 決算月:楽天は2・5・8・11月、SBIは3・6・9・12月。生活費に充てるなら他の収入とずらす選び方もできます。
区別していただきたい点があります。 公表されている「運用成績」は各社で基準日が違います。楽天の2本は2026年10月末時点で+39.98%/+39.52%、SBIの2本は9月30日時点で+31.84%/+31.77%。1か月ずれているので、並べて優劣を判断してはいけません。 中身はどちらも同じSCHDです。
また、分配金が多いこと=成績がよいこと、ではありません。 四半期決算型は受け取った分だけ基準価額が下がり、資産成長型は分配せずに内部で再投資します(設定日が違うので、基準価額の数字をそのまま比べることはできません)。取り崩しが不要な時期なら分配しないほうが有利になりやすい——課税口座では税の繰り延べ、NISAでは投資枠を使わずに済むためです。
🔭 2027年の米国株とSCHDの見通し
ここからは将来の話です。以下はすべて「この前提ならこうなりやすい」という仮定に基づく整理であり、予測値ではありません。出発点として、2026年11月5日時点でFRBの政策金利は年3.75〜4.00%、直前の会合では2名が利上げを主張しました。「緩やかな利下げ」は既定路線ではなく、1つのシナリオにすぎません。
表7:2027年の4シナリオと各資産への影響(仮定に基づく整理)
| シナリオ | SCHD | S&P500・オルカン | ドル円 | 日本高配当株 |
|---|---|---|---|---|
| A:軟着陸・緩やかな利下げ | 追い風だが相対優位は薄れやすい | 割引率低下で有利 | 金利差縮小で円高方向 | 安定しやすい |
| B:AI関連の成長が再加速 | 相対的に劣後しやすい | 最も恩恵を受けやすい | 方向感は限定的 | 半導体関連以外は限定的 |
| C:インフレ再燃・高金利の長期化 | 2026年と似た追い風 | 高PER銘柄に逆風 | 円安方向になりやすい | 金融・資源に追い風 |
| D:米国景気後退・企業減益 | 3本とも下がる。差は原因と業種による | 下落幅が大きくなりやすい | リスク回避で円高方向 | 景気敏感業種に逆風 |
SCHDに追い風が吹きやすいのはCとDですが、どちらでもSCHDが必ず勝つわけではありません。 2020年のように、下落の原因によっては3本ともほぼ同じだけ下がります。減配が広がれば逆転もあり得ます。逆にBの展開になれば2026年の優位はあっさり消えるでしょう。どれが来るかは誰にも分かりません。だからこそ「当てにいく」より、どれが来てもある程度耐えられる配分を考えるほうが現実的です。なお円高局面(A・D)では米国株の円建てリターンが押し下げられる点にも注意が必要です。
SCHD・S&P500・オルカンの組み合わせ方(配分の参考例)
株式部分を100%としたとき、3本をどう配分するか。参考に3つの型を示します。

| 投資方針 | SCHD | S&P500 | オルカン | 特徴とリスク |
|---|---|---|---|---|
| 成長重視 | 15% | 45% | 40% | 上昇局面で伸びやすく、下落も深い |
| バランス重視 | 25% | 35% | 40% | 相場観に賭けない折衷 |
| 配当重視 | 40% | 20% | 40% | 配当は増えるが強気相場で見劣り |
どの型でもオルカンを40%としたのは、米国以外を確保するためです。相関0.98を踏まえると、S&P500とオルカンを持つ意味は「分散」より米国比率の調整にあります。
ただしこの3つは、いずれも株式部分の約86%が米国です(SCHDとS&P500は米国100%、オルカンも約65%が米国)。違いは地域ではなく、どのタイプの米国株を多く持つかにあります。
この配分は参考例であり、最適化の計算をして出した数字ではありません。年齢・収入・他の資産・リスク許容度で答えは変わります。
👥 50代・60代の投資家はSCHDをどう活用する?
退職前後の世代では、SCHDの扱い方が現役世代と少し変わります。
退職前(資産形成期) まだ配当を使う必要はありません。課税口座では分配金に約20.315%の税金がかかります。NISAなら国内の税金は原則かかりませんが、受け取った分配金を買い直すとその分の投資枠を使います。どちらにしても、増やす目的なら分配しない「資産成長型(年1回決算型)」が向いています。
退職後(取り崩し期) 配当が生活費の一部になるなら四半期決算型の出番です。株を売らずに現金が入るため、「下がった時に売る」というつらい判断を減らせます(分配金は約束されたものではありません)。
NISAとiDeCoの使い分け SCHD関連の投信は4本とも成長投資枠の対象で、つみたて投資枠では買えません。iDeCoは金融機関ごとに商品が決まっており、SCHD連動の投信が入っている例は限られます。iDeCoはオルカンやS&P500などの基本インデックスを中心に据え、SCHDはNISAの成長投資枠で持つ分担が現実的です(ラインナップは金融機関でご確認ください)。
日本高配当株との重複 SCHDが持つのは米国株なので銘柄の重複はありません。ただし「配当を出す成熟企業に偏る」というスタイルの重なりはあります。
債券と現金の必要性 株式同士の分散には限界があり、2020年には3本とも30%以上下げました。株式の外に資産を置く必要があります。ただし「債券」と「生活費の現金」は役割が違います。 すぐ使うお金は円の預金で持つもの。債券は通貨(円建てか外貨建てか)・満期・途中で売るかどうかまで決める必要があります。外貨建ては円高で目減りし、満期前に売れば金利の動きで値下がりします。米10年債利回りが4.9%前後ある2026年は条件は以前より良いのですが、「債券なら安全」と一括りにはできません。
参考に、資産全体の配分例を挙げます。
| 資産 | 比率 |
|---|---|
| 日本高配当株 | 20% |
| S&P500 | 15% |
| オルカン | 15% |
| SCHD | 10% |
| 債券 | 30% |
| 現金 | 10% |
株式60%・債券30%・現金10%です。万人向けの推奨値ではありません。生活費の何年分を現金で持つべきかは、年金額や支出でまったく違います。
一括投資か積立か まとまった資金を一度に動かすと、買値がその日の一点に決まります。時期を分けても損失は避けられませんが、買値はならされます。
📝 まとめ|SCHDはS&P500の代わりではなく補完資産
この記事で確かめたことを整理します。
- 2026年のリターンだけで判断しない。 SCHDは2023〜2025年の3年間、S&P500に大きく負けていました。5年・10年の年率リターンでは今もS&P500が上です。
- SCHDには独自の選定基準がある。 利回りの高さではなく、キャッシュフロー・負債・ROE・増配率で選ばれた約100社です。
- 成長株と高配当株は補い合える。 効きやすい相場が違うという話です。
- 円建てで確認する。 過去5年の高いリターンは約39%の円安に支えられていました。
- 株式だけでは守れない。 2020年には3本とも30%以上下げました。ただし外貨建て債券も「安全資産」ではありません。
- 取り崩し期は、配当と資産全体の成長の両方を見る。 配当が多い=有利、ではありません。
SCHDはS&P500の代わりではなく、値動きの性質が違う補完役と考えるのが自然です。
まずは、ご自身の資産配分を紙に書き出してみてください。株式・債券・現金が何%か。株式の中で米国がどれくらいか。それが分かれば「SCHDを足すべきか」にも自分なりの答えが出せます。
❓ よくある質問
Q1. いまからSCHDを買うのは遅いですか?
上昇率だけで割高とは決められませんが、分配利回りは約3.9%から約2.9%に下がりました。受け取れる配当は買う時期で変わります。長期保有が前提なら、一度に買わず時期を分けると買値がならされます(損失を避けられるわけではありません)。
Q2. 楽天SCHDとSBI SCHD、どちらを選ぶべきですか?
実質コストは0.1238%と0.1227%でほぼ同じ。純資産総額も2,839億円と2,502億円で十分です。お使いの証券会社で買えるほうで問題ありません。
Q3. S&P500とオルカンは両方持つ必要がありますか?
相関係数は0.98でほとんど同じ動きです。「分散のため両方」というより米国比率を調整するためと考えるのが正確で、どちらか1本でも問題ありません。ただしオルカンの約35%は米国以外の株なので、保有する国の広がりは残ります。
Q4. 分配金が多いファンドを選べば有利ですか?
いいえ。分配した分だけ基準価額は下がります。課税口座では都度税金がかかり、NISAでも買い直せば投資枠を使います。取り崩しが不要な時期は資産成長型のほうが効率的です。配当利回りではなく、配当を含めた総合的な運用成果で比べてください。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。数値は2026年11月4日の米国市場終値および各社の公表資料に基づく筆者の算出・整理であり、正確性を保証しません。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で、最新の交付目論見書・運用報告書をご確認のうえ行ってください。本記事は税務・投資助言には当たりません。

コメント